道尾秀介 『向日葵の咲かない夏』
新潮社(新潮文庫) 長編ページ数: 268 【ホラー・ミステリー】 発行日: 2005年11月 著者:道尾秀介
今回は道尾秀介さんのホラーミステリー小説『向日葵の咲かない夏』を紹介します。どんな作品か一言でいうと「イヤミス」です。とにかく読了後のモヤモヤした感じ、ネットで解説を調べたくなります。
これは狂気の物語です、読む方は注意してください。
とにかく読了後が怖い、夏の暑い時期になれば、この作品を思い出すことでしょう。ストーリが記憶に残るのではなくて、文体が持つ独特の雰囲気がなぜか記憶に残る小説です。
さすが、日本の屈指のミステリー作家ですねー。私が初めて読んだ道尾秀介さんの作品がこの『向日葵の咲かない夏』なんですよ。この作品をきっかけに道尾秀介さんの作品を色々読んでみました。
やっぱり、道尾秀介さんの作品の中で一番記憶に残っているのはこの『向日葵の咲かない夏』でした(笑)。妙に記憶に残るんですよねー。
それでは道尾秀介さんのプロフィールをウイキペディアから引用させてもらいます。
【作家デビュー前
17歳のときに、当時付き合っていた彼女の影響で小説を読み始める[5]。当時は太宰治と川端康成を好んで読んでいた[6]。テレビ放送された映画『獄門島』をきっかけに横溝正史を読み始める[6]。19歳のときに作家になろうと思い[5]、大学1年で小説を書き始める[5]。
1998年、大学を卒業し住宅機器メーカーに就職する[2]。1999年、「どうして犬は」が『小説現代』の「ショートショートコンテスト」に入選し掲載される。審査員の阿刀田高は「とてもよいできだ」「内容はたわいないが、技術的にはショートショートの合格ラインをみごとにクリアしている」と評した[7]。2002年、「手首から先」で第9回日本ホラー小説大賞短編賞の最終候補作になる[2]。 この頃、ホームページ「シロウト作家の訴え」を作り「オグロアラダ」「手首から先」などの自作小説を公開していた。
作家デビュー後
オフィス用品の商社で営業職として勤める傍ら[8]、2004年、『背の眼』で第5回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞し小説家デビュー。ホラーサスペンス大賞に応募した理由は、この回から選考委員に綾辻行人が加わったからだと語っている。2005年、商社を退職し専業作家になる[8]。
2006年に発表した4作目の長編『シャドウ』など3長編が『このミステリーがすごい!』などのミステリー・ランキングで上位にランクインする。この頃からレベルの高い推理小説の書き手として注目を集め、相次いで文学賞にノミネートされるようになる。
2008年に発表したふたつの長編『ラットマン』『カラスの親指』が共に高く評価され、『このミステリーがすごい!』2009年版で作家別投票第1位に選ばれる。
2009年、『向日葵の咲かない夏』の新潮文庫版が年間83万部を売り上げ、オリコン年間本ランキングの文庫部門で第1位になる[9]。その後も売上を伸ばし続け、2011年には100万部を超えるベストセラーになった[10]。
デビュー以来一貫してミステリー作品を発表し続けてきたが、2009年に刊行された10作目の長編『球体の蛇』は、初めて「ミステリーではない」ことを意識して執筆された。
2011年、初めて取材旅行をした[11]『月と蟹』で第144回直木賞を受賞(木内昇『漂砂のうたう』と同時受賞)。5回連続で直木賞の候補になったのは戦後最多記録である。直木賞の副賞である賞金は、東日本大震災の被災者に全額寄付された[12]。】
彼女の影響で小説を読み始めたそうですねー。たった数年で作家になろうと思って、小説を書き始めるなんて凄いですよね。やっぱり文才があったのかな?。はい、長くなりましたがあらすじ紹介していきましょう!。
あらすじ
【明日から夏休みという終業式の日、小学校を休んだS君の家に寄った僕は、彼が家の中で首を吊っているのを発見する。慌てて学校に戻り、先生が警察と一緒に駆け付けてみると、なぜか死体は消えていた。「嘘じゃない。確かに見たんだ!」混乱する僕の前に、今度はS君の生まれ変わりと称するモノが現れ、訴えた。―僕は、殺されたんだ。半信半疑のまま、僕と妹・ミカはS君に言われるままに、真相を探る調査を開始した。】
これは主人公の少年のひと夏の物語です。とにかく、不思議で静かな恐ろしさがある作品です。読んでいて夏の生温かい空気、肌を焦がす太陽の暑さを体感的に感じたほどです。
とにかく、不気味……同じ事ばっかり書いてんじゃん、とお思いになるでしょうが、この作品を一言でいうなら不気味なのだから仕方ない。
あの湊かなえさんに匹敵するほどの、イヤミスです、湊かなえさんの作品が好きな人は読んでみてください。
小説って読了して何日か経ってから、本当の読書感覚を味わえると思うのですよ、私は。私の場合は作品のにおいの様な物が脳内で漂って、例えるなら料理の味みたいなものでしょうか。
前に食べた料理の味を思い出すような、あの感覚を読了作品から味わえるのです。
S君の家に行くと、S君が首を吊っていた理由とは? しかし死んだはずのS君があるものになって主人公の前に現れます。
そのあるものとは? 初めて読む方はファンタジーかミステリーか分からなくなるかも知れませんが、一読後にどんなジャンルだったか分かると思います。
そしてこの作品は私の記憶に残った怖いお話の一つです。動物を殺害する描写とかもあるので、そういうのが苦手な人は読まないでください。私もそういうのは苦手だけど、何とか読みました。疲れましたけどね。
この作品ではこれ以上、何を語ればいいか分からないからこの辺で終わりにします。最終章で明かされる衝撃のラスト、他の作品ではこれほどの衝撃を味わえないと思います。
未知の衝撃を求める人は一読の価値があるので読んでみてください。そしてもう一度、これは狂気の物語です……。




