星野道夫 『旅をする木』
文藝春秋(文春文庫) 【エッセイ】 著者:星野道夫
今回は星野道夫さんの『旅をする木』をご紹介します。星野道夫さんという方を知ってますか?。――星野さんは小説家ではありません、実は写真家なのです。
星野さんのプロフィールはこちら
【1952年千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、アラスカ大学野生動物管理学部に入学。以後、アラスカをアラスカを生活の基盤にして撮影・執筆活動をする。
86年にアニマ賞、90年に木村伊兵衛写真賞受賞。96年8月8日カムチャッカ半島での取材中ヒグマの事故により急逝。「イニュニック〔生命〕アラスカの原野を旅する」「ノーザンライツ」「長い旅の途上」、写真集に「alaskak風のような物語」「アークティック・オデッセイ遥かなる極北の記憶」などがある。】
旅をする木の作者紹介から引用させてもらいました。ヒグマの事故とありますが、それはある番組の取材の際に起きた事故でした。
あなた様も一度は見たことがある番組ではないでしょうか、――その番組とは動物奇想天外! です。
動物奇想天外! のスタッフと番組の企画である、ヒグマを撮影するためでした。季節は7月だったそうで、7月のヒグマはエサである鮭が豊富だから襲ってこないという、判断で湖畔にテントを張ったそうです。その日に悲劇が起きました。43歳のことでした。
バラエティーって結構危険な事をしているじゃないですか。私たちは面白おかしく見ていますが、本当に芸人たちは命懸けでやっているんですね。バンジージャンプとか、世界の果てまで行ってQとかでも危険は付きまとっているんですよ。
テレビ関係者も命を懸けて、良い番組を作ろうと頑張っているのです――。
さ、気を取り直していきましょう!。とにかく、この作品は美しいです。物語ではありません、星野道夫さんの暮らしたアラスカの雄大な自然をみずみずしい文章で綴ったエッセイです。
読んでいるだけで、まるでアラスカの景色をこの目で見ているかのような錯覚を覚えます。
まるで『レヴェナント蘇りし者』のあの光景です。あの映画の舞台はアラスカではなかったと思いますが。それだけ、自然の描写が美しいんです!。自然描写が綺麗な人の作品、私は好きですね。例えば、上橋菜穂子さんがその例です。
上橋菜穂子さんさんの作品を読んだことある人だったら分かると思いますが、本当に綺麗なんですよ。
アラスカの、息をするだけで、肺が痛む極寒の感覚が文章から鮮明に伝わってきます。エッセイとは他人の人生を小説よりも追体験できる文学です。
他人の辛かった記憶、楽しかった記憶、嬉しかった記憶、悲しかった記憶。そのすべてがエッセイなのです。
そして星野さんは本当に綺麗な日本語を使う人です。そして美しい感性を持っている人です。最近は短縮の言葉ばかりが目につきます、短縮語が悪いと言っているのではありません。短縮語だって、時代とともに変化して生まれた言葉ですからね。
しかし、昔ならではの綺麗な言葉も美しいのです。使う言葉にはその人の性格が現れます。書物は言葉の結集体です、これを読んでいるあなたも色々な言葉に触れ感性を磨いていってください。
そのためにこのエッセイはオススメです。
はい! 堅苦しい話になってしまいました、良ければ旅をする木を読んでみてください。本当に綺麗な描写や自分が旅をしている感覚になる作品です、旅行が好きな方は是非読んでください。




