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物部の書評広場  作者: 物部がたり
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東野圭吾 『秘密』

 文藝春秋(文春文庫) 【SF・ミステリー】 初版発行: 1998年 著者:東野圭吾 ドラマ化有り 映画化有り

 今回は東野圭吾さんの『秘密』を紹介します。この作品もドラマ化と映画化されているんですよ!。東野圭吾作品は凄いですねー、映画化作品ばかりです。


 この作品がきっかけで東野圭吾さんは人気作家の仲間入りをしたんですよ。意外ですね、最初から人気作家だと思ってましたが、東野圭吾さんでも知名度が低かった時期があったんですねー。


 映画と原作では少し、設定が異なるんですよ。小説の方では直子(藻奈美)は高校生の青春を描いているのに対し、映画では大学生でした。


 なぜでしょうか? 私が思うにはちょっと危ない性描写が書かれているので、大学生の設定にしたのではないかと思うのですよ。


 ここでは書きませんが、直子=藻奈美と杉田平介との性描写がありますので、気になった方は読んでみてください。これだけ聞いても何が危ないかは分かりませんよね。


 では説明していきます。杉田平介と直子は夫婦です。じゃあ別に危なくないじゃん、とお思いになるでしょう、しかし話はそう単純ではないのです。


 直子(藻奈美)と書きましたよね、そうです、ある事情で直子と藻奈美の体が入れ替わるのです。


あらすじ


【杉田平介は自動車部品メーカーで働く39歳。妻・直子と11歳の娘・藻奈美との3人で暮らしていた。


 1985年冬、直子の実家に行くために、直子と藻奈美の2人が乗ったスキーバスが崖から転落してしまう。直子と藻奈美は病院に運ばれたものの、直子は死亡してしまい、藻奈美は一時は回復不能といわれたにもかかわらず、奇跡的に助かる。しかしそれは、仮死状態になった娘・藻奈美の身体に、死んでしまった妻・直子の魂が宿っていたのだった。藻奈美の身体に宿った直子に、平介は戸惑いながらも周囲には決してバレないように生活する。


 やがて月日はたち、娘の身体に宿った妻との生活に、次第に心のずれが生じてくる。そして直子は、医学部を目指して進学校とされる高校を受験し、見事合格する。奇妙な2人の生活が限界を迎えたある日、長らく消えていた藻奈美の意識が再びあらわれるのだった。】


 ウイキペディアから引用させてもらいました。


 この秘密とは魂とは何かというお話ですね。私は専門家ではないので上手くは表現できませんが、魂が入れ替わるということは魂が存在するということではないでしょうか?。


 魂がどこにあるのか? 数多の思想家たちが探求してきた、難問です。それは小説家にも言えるのではないでしょうか?。東野圭吾も魂がどこにあるのか、を自分なりに証明したくてこの作品を書いた気がします。


 脳に魂があるという人もいるし、いやいやハート(心臓)だよという人もいます。私は前者の意見です。その他にも死んだら数キログラム軽くなる、という話を聞いた事があります。


 死んだら数キログラム軽くなる、という事は魂が抜けた、と解釈できますよね。つまり、魂とは物質で存在しているという事ではないでしょうか。面白いですよね。


 皆様は魂があると信じますか?。私の説明の意味わかりましたか? すみません上手く説明できなくて。


 要するに直子は体が入れ替わった原因を突き止めたくて、勉強を頑張るのです。直子はもっと、若い頃勉強しとけば良かったと、作中で吐露します。


 もっと、若い頃勉強を頑張っていれば、こんな平凡な人生じゃなかったかもしれない、とまあ、こんな感じで語っています。娘からもらった二度目の人生を無駄には使いたくないと、直子は猛勉強して夢をかなえようと奮闘するのです……。


 あらすじを見て分かっていただけたでしょうか、直子の体は藻奈美なのです。つまり、直子と性交するということは近親相姦になってしまいます。そんな平介の複雑な葛藤を東野圭吾は表現しています、はい。


 普通に考えたらあり得ない事ですが、東野圭吾が書けば妙にリアリティがあります。


 直子にはボーイフレンドができて、平介が焼きもちというより、嫉妬する心理描写が上手い。ボーイフレンドとの電話でのやり取りを録音しておくなど、異常? な行動もとります。


 だけど、自分の奥さんが違う男と親密なやり取りをしていたら、気にならない旦那はいないのではないでしょうか!。そういう、心理描写が上手いんですよ。


 そりゃあ、そうですよねー、自分の妻が違う男と仲良くしているんですからねー。直子の恋? の行方とは?。


 そして最後二人の選択に涙する、という文句が書かれていました。二人とはもちろん藻奈美と平介の事です。二人はどういう選択を選ぶのか、あなたも涙してください。


 果たして、藻奈美の意識は戻るのか?。


 こんな所でしょうかね、あ、一つ聞きます――体が入れ替わるって設定、新海誠監督の『君の名は』を連想された方がいるのではないでしょうか?。


 体が戻らずに入れ替わりっぱなしだったら、どういう結末を迎えるのか? もう一つの君の名はかもしれませんね。


 少しネタバレ的な事を書きますので、読んでいない方は飛ばしてください。


『作中では直子は藻奈美の体に魂が乗り移った、という設定になっていますが実は藻奈美は二重人格者だった。という噂も囁かれているのです。事故で母親を失ったショックから藻奈美は直子という人格を作り出してしまった、という事です。』


 本当のところはどうなのでしょうか? それは作者だけが知っている秘密ですね。果たして、藻奈美(直子)が墓場まで持っていくと決めた秘密とは?。

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