表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物部の書評広場  作者: 物部がたり
た行————
46/100

知念実希人 『天久鷹央の推理カルテ』

 新潮社(新潮文庫) 『中編集』 【医療・ミステリー】 初版発行: 2014年10月 著者: 知念実希人 イラストレーター: いとうのいぢ 漫画化有り

 今回は天久鷹央(あめくたかお)シリーズの記念すべき第一作目、『天久鷹央の推理カルテ』を紹介します!。新感覚メディカルミステリーですよ。今までにありそうでなかった新ジャンルです。


「え? メディカルミステリー、今までにもあったじゃないか」


 いえ、メディカルミステリーというジャンルはなかったんですよ。『白い巨塔』や『ドクターX』などは医療界の権力争いや、病気の治療、手術を扱った作品などはあってもメディカルミステリーはなかった。


 しかし、この『天久鷹央の推理カルテ』は(なぞ)を推理する、推理ものになっています。白い巨塔のようなドロドロの権力争いは殆どなく、気軽に読めます。だから、ライトノベル的な作品なんですね。


 ライトノベルといって侮るなかれ! (なぞ)は一級品です。その謎を本作の名探偵役「天久鷹央」華麗に解決。それに怪事件ものなんですよ。


 例えば河童を見たという少年の話や深夜の病棟にでる人魂の話。そして、性交渉がないのに妊娠したという女子高生の話。オーダーメイドの毒事件などなど、常識では考えられない怪事件の数々を天久鷹央が解決するのです。


 鷹央は頭脳明晰なんですよ。読んだ本はすべて一言一句憶えている、病院の屋上に建てられた()には本の樹がはえています。本の樹というのは積み上げた、本の山の事ですね(笑)。


 そして、明るいのが苦手な鷹央は朝でもカーテンを閉めているので、薄暗いんですよね。例えるなら猫みたいです。


 本の樹、薄暗い、もう樹海状態ですね(笑)。え? 何で病院の屋上なんかに()があるかって? ああ、先代院長の子供なんですよ鷹央は。


 だから、好き放題です。鷹央の事を嫌っている幹部たちも多いいんですよね。(主に外科の先生)から「屋上に棲む座敷童」と陰口をたたかれているそうです。


 病院の怪談に屋上住む座敷童の話が出てきたときは思わずにやけてしまいました(笑)。


 それでは本作の主人公、天久鷹央の人物像を少し紹介しましょう。イラストを描いているのはあの灼眼のシャナや涼宮ハルヒの憂鬱などで知られる、いとうのいぢさんです!。


 天久鷹央 27歳 特徴童顔 猫みたいな二重まぶた 頭脳明晰 相手を呼ぶときはお前と上から目線。そうです! 27歳なんですよ。童顔で高校生に間違われるのだとか。猫みたいなツンデレタイプです。

 

 自分の気持ちを素直に伝えるのが大の苦手。キャラが立ってますよね(笑)。そして、ワトスン役は小鳥遊(たかなし)(ゆう)です。名字が小鳥遊でしょ、鷹央は小鳥(ことり)、と小鳥遊の事を呼ぶんですよ。


 みんなからは小鳥先生と呼ばれています。可愛いあだ名ですよね。だけど、本人は嫌みたいです。だって、身長が180以上あり空手の経験者ですよ。ごつい男なんです(笑)。なのに、小鳥だとイメージに合いませんよね(笑)。


 まあ、小鳥が鷲に勝てる訳もなく。え? 上手いこと言いましたか?。ありがとうございます。


 この、鷹央と小鳥のコンビが(なぞ)を解決していきます。それでは話を少し紹介していきましょうか。


 記念すべき一作目は『泡』というお話です。これが池に出た河童事件です。


 肝試しに池に来ていた小学生二人が河童を目撃します。親に言っても、クラスメイトに話しても信じてもらえない。まあ、そりゃあ、そうですよね。信じてもらえないのが当たり前です。


 で、少年は鷹央を頼って天医会総合病院に設立された特別部門のホームページに救いを求めるメッセージを送るのです。そして、色々あってその少年の証言を元に河童を見つけます。その河童と小鳥との一騎打ちは手に汗握りましたね。


 池から上がってきた河童が皿で小鳥に殴りかかり、小鳥はすんでのところで皿をかわします。一進一退攻防が続き……そして、小鳥の正拳突きが河童のみぞおちだったかな? に決まり、河童に勝利するのです(笑)。


 え? なんですか?。ジャンルが違うんじゃないかって?。ホラージャンルやファンタジージャンルだって?。……医療ミステリーでも河童ぐらい現れるでしょう!。さ、次々。


 次は『人魂の原料』です。深夜に病棟を巡回していたナースが人魂を見たのです。深夜の病院って不気味ですからねー。霊安室の周辺なんか考えるだけで怖いですよ(ブルブル)。


 私は深夜のお墓より、病院の霊安室の方が怖いと思います。皆様はどうですか?。


 そのナースの巡回の日にだけ現れる、というのがミソです。あ、ちなみに屋上に住む座敷童の話が出てくるのがこの話です。


 三作目は『不可視の胎児』です。この話が一番好きですね。よく出来た話んですよ!。そして一番感動する話もこの話です。ある女子高生が妊娠してしまい、中絶手術をします。女子高生がその事で病んでしまうんですよ。


 そして、自殺を考えてカッターナイフで手首を切ろうとした時! 死んだはずの赤ちゃんがお腹に戻ってきます。


 不思議な話なんですよ。もしそれが本当なら処女懐妊で知られるマリア様と同じですからバチカンが調べにきますよ(笑)。そして、実験台にされてしまうでしょうね。


 普通なら中絶してから、また男と合って性交渉をしたと思うでしょ! 本当に違うんですよ。だったら、どうして赤ちゃんを再び身ごもったのか?。よく考えられたお話でした。


 最後は『オーダーメイドの毒薬』です。皆様は完全犯罪をする方法を知っていますか?。それは新種の毒薬を使う事です。そうすれば誰にも分からない、ってアンナチュラルで言ってました(笑)。


 だけど、完全犯罪なんて考えないでくださいね。いや、本当に考えないでくださいね。このお話はある病状で運び込まれた少年の物語です。


 そして、その少年の母親に訴えられるんですよねー(鷹央が)。まあ、そりゃあ、上から目線のあの態度で来られたら腹が立つ気持ちも分かります。そして、特別部門は開始早々最大のピンチが訪れるのです。


 いかがだったでしょうか、私はまだ一巻しか読んでいませんが、面白かったので続きを読んでみたいと思いました。いま現在で十巻まで出ているそうですよ。


 書き忘れました、作者の知念実希人さんは現役の医者です。だから、病院の事や病気の事の専門家です。専門的な知識が作り出す珠玉の中編集です!。


 気になった方は読んでみたください。漫画版もあるみたいですよ。小説が苦手な方は漫画を読んでみるのも良いでしょう。


 この作品はいつかアニメ化すると思います。もしかしたらもうアニメ化の話が出ているかも知れなせんね。アニメ化したら絶対見ます!。ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ