司馬遼太郎 『坂の上の雲』
文藝春秋文(文春文庫) 『全8巻』 【時代劇・明治・ヒューマンドラマ】 初版発行: 1969年4月 著者:司馬遼太郎 ドラマ化有り
日本の歴史小説家と言えばこの人をまずは思い浮かべるはず、そう! 司馬遼太郎さんです。数々の歴史小説を世に送り出した偉大な人ですね。
私が司馬遼太郎さんの作品で初めて読んだのが今回紹介する『坂の上の雲』です。司馬遼太郎の作品はどれも、歴史小説オススメベスト100みたいに調べれば大抵は入っています。それだけ、面白くて人気がある、作品であり小説家です。
司馬遼太郎を研究している人がいるぐらいです。文豪ストレイドッグスで現れてもいいぐらいですよ!。
あらすじ
【まことに小さな国が、開化期をむかえようとしている。
明治維新を成功させ、近代国家として生まれ変わった極東の小国・日本。時に世界は帝国主義の嵐が吹き荒れ、極東の端に位置するこの国も西洋列強の脅威から無縁ではなかったが、しかし逆境の中にありながらこの誕生したばかりの小国には亡国の悲愴さを吹き払う壮気があった。
近代化を遂げて史上初めて「国民国家」となったこの国は、民族が一体となるその昂揚感の下で国民の端々までもが列強に伍する強国への飛躍を夢見て邁進していた。
殊に維新の成立と同時期に生を受け、新興国家の青春時代に自らの青春を重ねる若者達は、一人一人が国家の興亡を担わんという客気を胸に成長した。
旧伊予国松山出身の三人の若者も、同様の気概を抱いて世に出ようとしていた。陸軍に入り、騎兵部隊の創設に生涯をかけることを誓った秋山好古。
好古の弟で海軍に入り、海戦戦術の開拓に人生を捧げる決意をした秋山真之。そして真之の親友で文芸の道に入り、俳句・短歌といった伝統文芸の近代化を目指さんとする正岡子規。
彼らもまた多くの若者達と同様の志を持ち、さながら坂の上の青い天に輝く一朶の白い雲を目指すが如く、昂揚の時代の中でその一歩を踏み出そうとしていた。】
ウイキペディアから引用させてもらいました。ウイキペディアにはいつも助けられっぱなしです。日露戦争間際の日本から、終結までを舞台にしたお話です。
司馬遼太郎さんの神視点で綴られるレポートの様な文体、つまり客観的な語り口は実際にその光景を見て書いているかの様です。
自分が見てもいない歴史をここまで、正確に心理描写を交えながら書けるのか、私は不思議に思っています。他人の人生をここまで書き切れるのか。
それは司馬遼太郎だからできる、膨大な知識と感性だからだと思います。
創作の人物なら私でも少しは書けますが、実際に存在した歴史上の人物の心理や行動をここまで書けません。
歴史小説の歴史は「当てにならん」という人がいますが、私はそうは思っていません。確かに作者の主観は入っているものですが、歴史小説というジャンルを取るなら、たどった歴史は曲げません。
ちゃんとこういう人物がいて、こういう風に歴史に関わってきたという物語は変わらないのです。何より、教科書などで知った歴史よりは生き生きとしています。
それに、ストーリーとして覚えるので、記憶にも残ります、小説の中の偉人は生きているかのようです――私の場合は、そう思います。
簡単にストーリーにも触れておきましょうか、――主人公は三人の愛媛県・ 松山出身。秋山好古、好古の弟の秋山真之、そして真之の親友、名を常規――幼少の頃は処之助、こっちの名前の方が聞き馴染みがあるでしょう俳人の正岡子規です。
好古はすっごく優秀だったそうです。軍人になってからも、出世の道を一直線に走ってきた男。パーフェクトヒューマンです。
真之も軍人になるのですが、好古は軍人にはなって欲しくなかったようなのです。この時代で名を挙げるのは軍人でしたからねー。
そして子規は幼少の頃から体が弱かった。子規は今までの俳句の考えを新しくした人物です。今でいう革新派でした、どういう風に革新したのか詳しくは知らないので、興味があったらご自分で調べてください。
長くて読む気がしない、というあなた、三巻まで読んでみてください。三巻で子規が亡くなります、後の巻は戦争ばかりなので言っちゃあ悪いけどマンネリ化してきますが、三巻までは面白いです。
子規の最後は感動ものですよ、三巻まで三巻までで良いんで読んでみてください。
いつの時代も人間がいる限り、ドラマに溢れています。激動の時代を駆け抜けた三人の人生をどうぞご覧あれ。




