綾辻行人 『十角館の殺人』
講談社(講談社文庫) 【ミステリ】 初版発行:1987年 著者:綾辻行人 漫画化有り
今回は新本格ミステリブームの先駆けとなった名作『十角館の殺人』を紹介します。オススメミステリ小説、と検索すれば、必ず目にするこの作品をあなたは読んだことがありますか?。読んでいないのであれば、読んだ方がいいです!。
犯人が明かされた時の衝撃と言ったら、――絶対に犯人をネットで調べないでくださいね、なぜならあの衝撃を味わえなくなるから。
何と、何と、何とこの作品、漫画化したんですよ!。読んだことがある人なら、考えられないでしょ! 『十角館の殺人』の漫画って。どうやって、人物を表現するんでしょうね?。同作者のアナザーという、アニメは上手い事表現してましたよね。ああいう風にするのでしょうか?。
原画を務めているのは清原紘さんです。そう、清原紘さんと言えば『万能鑑定士Q』シリーズの表紙を手掛けた人ですね。私も初めは十角館の殺人をどうやって、漫画にするんだ! と思いました。
物語が気になったら、小説が苦手な方でも漫画を読んでみてください。はい、それでは作者紹介をしましょうか。
【綾辻 行人(あやつじ ゆきと、1960年12月23日 - )は、日本の小説家・推理作家。本名は内田 直行。京都府京都市出身。妻は同じく小説家の小野不由美。新本格ミステリー作家として知られ、主な代表作に「館シリーズ」、『Another』がある。
本格ミステリ作家クラブ執行会議。日本推理作家協会会員。元本格ミステリ作家クラブ事務局長。】
ウイキペディアからの引用です。皆さん本格ミステリと聞けば何を思い浮かべますか?。――そうです! 絶海の孤島、密室、連続殺人、切断遺体、とかですよねー。え、それだけじゃない、と思いますか? 私が今思いつく本格ミステリはこれぐらいです、ごめんなさい。
この十角館の殺人には新本格と呼ばれ、足りえる要素がぎゅうぎゅうに詰め込まれています。正にミステリのフルコースですねー。それか、宝箱やーです。
それではストーリーを簡単に紹介していきましょう。 メインとなる登場人物は十人? ほどです、本当はもう少しいますが長くなるので割愛させてもらいます。
【ポウ
医学部四回生。口髭をたくわえた大柄な男性。無口だがときどき毒のある台詞を吐く。オルツィとは幼馴染。】
【カー
法学部三回生。中肉中背だが骨太で猫背な男性。三白眼で、青髭の目立つ顎はしゃくれている。捻くれた性格で、なにかにつけて他のメンバーに噛み付くことが多い。】
【エラリイ
法学部三回生。色白で背の高い男性。金縁の伊達眼鏡をかけている。会誌『死人島』の現編集長。マジックが趣味。】
【ヴァン
理学部三回生。中背の痩せた男性。不動産業を営む伯父のつてで角島での合宿を可能にする。】
【アガサ
薬学部三回生。ソフト・ソバージュの長い髪をした女性。男性的な性格。】
【オルツィ
文学部二回生。頬にそばかすの目立つ、ショート・ヘアの小柄で太めな女性。引っ込み思案な性格。日本画を描くのが趣味。ポウとは幼馴染。】
【ルルウ
文学部二回生。銀縁の丸眼鏡をかけた童顔で小柄な男性。会誌『死人島』の次期編集長。】
【江南 孝明
研究会の元会員。苗字の読みは「かわみなみ」だが、島田は「こなん」と呼んでいる。研究会時代のニックネームは「ドイル」。】
【守須 恭一
研究会会員。江南の友人。】
大体今紹介したのが主要登場人物たちです。この登場人物たちが殺されていくのです。ミステリ好きならお気づきでしょう、登場人物たちはミステリ作家の名前で呼び合っているのです。
痛いですか? いや、痛くない、痛くない、やっぱり痛い?。有名な作品は有名足りえる理由があります。
正に本格ミステリですね。
私も犯人が分かった時は雷に打たれた様な衝撃を受けました。大袈裟かもしれませんが、衝撃を受けたのは本当です。そして、トリックも現実的! 多分実際に実現可能です(実現可能とは言え、マネしないでくださいね)。
そして、この作品はアガサ・クリスティーの『そして誰もいなくなったの』のオマージュ的な作品、いや、綾辻行人がたどり着いた、ミステリの新境地なのです。
ミステリとは、作者と読者の知的遊びなのだと言われています。私もミステリーを書いている身として、ミステリーのトリックを考えることがどれだけ大変なのか身をもって知っています。それだけ、ミステリとは他のジャンルと違って伏線やトリック、ストーリー構成などを考えるのが難しい作品です。
自分が書くようになって、ミステリを見ると、その度に私はいたく感心いたします。良くもまあ、綾辻行人さんはこんなトリックを思いつくものだと、いや、綾辻さんだけではありません、他のミステリ作家さんたちも良くもまあ、色々なトリックを思いつくものだ、と感服させられます。
今ではミステリは人気ジャンルです。しかし、綾辻行人が現れるまでは、ミステリは低迷期に入ってました。低迷期に入っていた、ミステリを再び人気ジャンルに押し上げた傑作ミステリがこの作品なのです。新本格を作った、今まだ色あせない『十角館の殺人』をご自身の目でお確かめ下さい。