川村元気 『四月になれば彼女は』
文藝春秋文(文春文庫) ジャンル:恋愛小説 初版発行: 2016年11月 著者:川村元気
川村元気さんの作品は、どうしてこうも物悲しいのだろう……。はい、今回紹介するのは『世界から猫が消えたなら』で知られる川村元気さんの作品です。
私がはじめて読んだ川村元気さんの作品が今言った、『世界から猫が消えたなら』なんですね~。『世界から猫が消えたなら』で感想を書いたと思っていたら、書いていませんでしたね。
つまり、今回はじめて川村元気さんについて書きます。川村元気さんは映画プロデューサーをしている方です。川村元気映画って調べてみてください。誰もが聞いたことがある、映画のプロデュースや企画、脚本を書いていますから。
どうりで文章とストーリー構成が上手うはずですね。私は、『世界から猫が消えたなら』と『世界からボクが消えたなら』そして今回紹介する、『四月になれば彼女は』しか読んでいませんが、どちらもこの人の持ち味があると思いました。
どう表現したらいいのでしょうか……そうですね。どう表現したらいいのか今は思いつきませんが、とにかく読了後、心に喪失感のようなものを感じるというか、悲しく優しい何かが残ると言いますか……上手く表現できません……語彙力なくてごめんなさい……。
で、『四月になれば彼女は』を読んで思ったのは、現代社会の男女のあり方(恋愛)を風刺したような作品だったということです。
主人公は藤代という精神科医をしている、男性です。その藤代はもうすぐ結婚を控えていて、普通なら人生で一番幸せかもしれない、という時期なのにどこか冷めてる、というか幸せそうではない雰囲気なんです。
結婚相手である弥生という女性とは、もうかれこれ二年くらいセックスレスが続いていると書かれています。そんな状態でどうして藤代と弥生は結婚を決意したのか?
セックスだけが愛の形ではないと私は思っているから、べつにそのことで冷めてると言ってるわけではないのですが、話が進んで行くにつれ、何かザワザワとした感情を覚えずにはいられないんですよね。
そんな状況が続いているからなのか? 主人公の藤代は弥生の妹と一線を越えそうになるし、純愛小説か? と聞かれればどう答えたらいいのかわからないです。
これが現代社会の恋愛なのかな? って感じです。そんなある日、藤代のもとに学生時代付き合っていた、ハルという女性から手紙が来ます。
そのハルという女性は「世界一の絶景」との呼び声も高い、南米・ボリビアのウユニ塩湖に来ているとその手紙には書かれていたのです。
そこから物語がはじまるんですよ。その手紙に書かれた情景描写が本当に綺麗で、難しい言葉を使っていないのに、美しいんですよ。童話的な美しさと言いますか、とにかく情景描写が美しい。
どうして藤代とハルは別れてしまったのか? どうしてハルは今更、手紙を寄こすのか? そのあたりがこの作品の謎ですね。
藤代と弥生はどうなるのか? 現代社会の愛のカタチとは何なのか? 川村元気が現代社会に投げかける、“愛する„とはどういうことなのか? 後はご自身でお確かめください――ありがとうございました。




