小野不由美 『屍鬼1~2』
新潮文庫 全5巻 ジャンル:伝奇ホラー 初版発行: 1998年9月 著者:小野不由美
アニメ化あり 漫画化あり
はい、今回は小野不由美さんの『屍鬼』を二巻まで読んだので、記しておこうと思います。まず注意しておきますと、かなりネタバレを書きますから、読もうと思っている方はご注意ください。
小野不由美さんと言えば、『十二国記』や『ゴーストハントシリーズ』などで知られていますよね。
実はですね。小野不由美さんの小説を読むのは初めてなんですよ。『十二国記』を読んで見たいな~とは思っていたのですが、長いでしょ。だから、なかなか手を付けられずにいました……。
で、『屍鬼』も読んで見たかったのですが、結構長くて手が出なかったんです。けど読んで見たい気持ちが勝り、一念発起して今回タイトルの通り屍鬼を読みはじめました。
あらすじを引用させてもらいますと、こうです。
「人口わずか千三百、三方を尾根に囲まれ、未だ古い因習と同衾する外場村。猛暑に襲われた夏、悲劇は唐突に幕を開けた。山深い集落で発見された三体の腐乱死体。周りには無数の肉片が、まるで獣が蹂躙したかのように散乱していた――。闇夜をついて越して来た謎の家族は、連続する不審死とどう関わっているのか。殺人か、未知の疫病か、それとも……。超弩級の恐怖が夜の帳を侵食し始めた。」
屍鬼ってアニメ化されているでしょ。アニメは見たことありませんが、絵は見たことあるんです。だから、ゾンビ系の話だとあらかじめわかった状態で読みはじめて、「あれ?」ってなりました。
とにかく、ストーリ展開が丁寧なんです。あの分厚い一巻の話は殆ど、村人たちの噂話で展開されるのですよ。田舎は娯楽が少ないから、噂話が多いんですよね。というのは、都会の人の勝手な先入観です。
田舎に住んでいようが、都会に住んでいようがご近所さんの噂話はみんな好きなんですよ。他人の不幸は蜜の味と言いますでしょう。いや~人間不信になりますね(笑)。
ある一家が物語の舞台となっている、外場村というところに、洋館を移設するのです。移設が終わっても、その家族がやって来ない?
不思議に思った村人たちは、色々な憶測を巡らせます。一巻はこの兼正(村の人たちは、引っ越して来た屋敷の人々を屋号で呼んでいる)の噂話でほぼ終わりました。
ストーリの運びがゆっくりなように思えますが、多分必要な過程なんでしょうね。ゾンビ系の話だとすでに知っているから、驚きは低いですが、もし何も知らずに、ゾンビが登場したらそりゃあ意表を突かれると思います。
登場人物が滅茶苦茶多いので、憶えるだけで大変なんですよ。登場人物紹介の重要性をこれ以上感じた作品はありませんね。とりあえず、主要と思われる、登場人物を四人ほど上げますと、
・尾崎 敏夫
村に唯一ある尾崎医院の院長。突然死の原因を調査している。
・室井 静信
主人公格の一人。32歳。寺院の息子。独身。村の人々からは「若御院」と呼ばれている。小説を書いている。プロの小説家。
・桐敷 砂子
桐敷家の娘として村の外から一家で兼正の家に越してきた。静信の小説のファンらしい。日光を因子とした全身性エリテマトーデスの罹患を理由に日中には外を出歩かない。今のところ、謎だらけ。
・結城 夏野
両親は入籍しておらず、戸籍上母方のせいである小出で生活している。両親の勝手な都合で、外場村に越して来た。夏野は外場村から出たいという意思が強い。
多分、二巻まで読んだ限りでは、この四人が主要っぽいです。とにかく、登場人物が多いので覚える必要はないと思います(あくまで私の見解)。
この紹介を書くにあたって、屍鬼を調べていたら、かなりネタバレを知ってしまいました(笑)。
まあ、一言でいえば、面白そうですよね。今作はスティーブン・キングの「呪われた町」のオマージュ作品だそうです。これからどう話が展開していくのか楽しみ。
では『屍鬼3~5』でお会いしましょう。ありがとうございました。




