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物部の書評広場  作者: 物部がたり
あ行————
14/100

上橋菜穂子 『守り人シリーズ』

新潮社(新潮文庫) ジャンル:ファンタジー 巻数10巻と外伝多数  


刊行期間:1996年7月 - 2007年2月 著者:上橋菜穂子 


アニメ化あり ドラマ化あり ラジオドラマ化あり 漫画化あり

 壮大な大河ファンタジー小説、守り人シリーズと旅人シリーズ。守り人シリーズとは、女用心棒の短槍使いバルサを主人公にした疾走感と躍動感のあるストーリの作品群。


 そして、旅人シリーズとは、新ヨゴ王国の皇太子チャグムを主人公にした政治劇です。チャグムが色々なトラブルに巻き込まれ、解決していくという作品。


『精霊の守り人』から、『天と地の守り人』まですべて紹介を書こうと思ったのですが、長くなるので、ギュッと省いて簡単に話の流れだけを紹介することにしました。


 さわりだけを簡単に紹介するので、気になった方はご自身で調べてください。それでは簡単に紹介していきましょう。


 壮大な物語はここから始まった。『精霊の守り人』です。まあ、私が紹介するまでもなく、すっごく有名なのですが……。NHKでアニメ化、ドラマ化されていますからね。


 そして児童文学のノーベル賞ともいわれる、アンデルセン賞を取得しています。もう世界中で知られている物語ですね~。


 精霊の卵を身に宿してしまった、新ヨゴ王国の皇太子チャグムは(みかど)から命を狙われてしまいます。まあ、この帝は酷い人で、実の子でも平気で殺すという方ですね……。昔はよくあったことですが……。


 牛車に乗って橋を通っていたとき、チャグムは橋から落ちてしまい、そこにふと居合わせた、バルサに助けられるのです。チャグムを助けたお礼ということで、バルサは宮廷に招待されることになる。


 で、チャグムの母親二ノ妃はチャグムを助けたい、という思いから流れ者だけと腕の立つ、バルサにチャグムを預けることを決める。二ノ妃も不安だったと思います。


 まったく見ず知らずの用心棒なんかに、愛する我が子を預けるのですから。そして、チャグムはバルサに引き取られ、11歳から12歳までの一年間をバルサと過ごし、精神的にもそしてよき帝へと成長してゆくのです。


 作者の上橋菜穂子さんはプロットを作り込む人ではないようで、キャラクターたちが動くままに物語を書くスタイルの方だと、本人が言っています。


 だから、守り人シリーズを書き始めたときも、明確な終わらせ方を決めていなかった、と。明確な終わらせ方を決めなくて、キャラが勝手に動いてくれるなんて、すごくうらやましい。


 まあ、たしかに終わらせ方を決めてしまうと、方にはまり切った作品になってしまいますからね。それは分かっているのですが、やっぱり終わらせ方を決めておいた方が安心という(笑)。人それぞれですが。


 このシリーズが大河小説へとかじを取ったのは、第四弾の『虚空の旅人』からだったそうです。バルサが鬼へと転じた幼馴染を助けている、ときとかも、宮廷で息苦しく過ごしていたチャグムが哀れでならなかったのでしょうね。上橋菜穂子さんは。


『精霊の守り人』でバルサと別れ、宮廷で退屈な日々を過ごしていた、チャグムが隣国のサンガル王国の〈新王即位ノ儀〉に出席するため星読み博士シュガと共に遊びに行く、という話。


 よほど宮廷から出られることが嬉しかったのか、チャグムは、年に一度王が変わってくれればいいのにな、みたいなことをつぶやくほどです。その後シュガに諭されてしまいますが(笑)。


 旅人シリーズは新ヨゴ王国を巡る、政治劇を軸に展開されます。サンガル王国は水の都で、〈ナユーグル・ライタの目〉という神の使いになってしまった、少女と兄暗殺疑惑をかけられている王子を救うお話。


 そして第五、六弾、『神の守り人』ではバルサがある兄妹を助け、奮闘するお話。兄妹の妹の方に〈サーダ・タルハマヤ〉という鬼神を身に宿し、その鬼神を狙う者たちに追われる、というお話。


 第七弾、『蒼路の旅人』は物語が終わりへと、向かい始めるお話。帝と始めからそりが合わなかった、チャグムはあることを口走ってしまい、祖父の艦隊へ送られてしまうことに、そして! そして! この回でなんとチャグムが……。というお話。


 最終章は『天と地の守り人』は……、ちょっとかなりネタバレになるので、書かないでおきます。まあ、色々とね。ネタバレを書かずには、さすがに最終章を語ることはできませんので。


 とにかくこの物語は、世界観が壮大で、すごい! です。何がって? 何から何まで、これぞ上橋菜穂子っていう作品。シャーマン的世界観と、和風でも洋風でもない、世界観。


 和風か洋風かと問われれば、和風に近いのですが、どこか和風とは違うのです。良く練られた世界観なのですよ。この世界観は上橋菜穂子さんにしか書けない、と思います。


 上橋菜穂子さんは情景描写がとにかくうまい。風や草木、太陽や月明かりなどの、何から何まで、ありとあらゆる情景描写が綺麗です。だからこそ、ここまでの世界観を描けるのでしょう。


 オススメファンタジー小説はと訊かれれば、ベスト10に絶対この、『守り人シリーズ』と、『獣の奏者』を入れます。あとは『ハリーポッター』などなどですね。

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