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ガールズサイド 〜あの時ギャルは〜


「おっはよ~」

「おはよー!」


「ふぁ~」

「でっかいあくび、眠そうじゃん」

「昨日、つい夜更かしした」


 翔輝高校1年1組の教室で派手なギャル二人が話をしていた。


一人は新妻にいつ ゆい。長めのサラサラとした金髪 細身のスラっとした長い足を短いスカートから大胆に出している。


 もう一人は 姉帯あねたい 明日香あすか。男子と比べても高い身長に 男子なら思わず見てしまう発育の良い身体。


 そんな二人が一緒にいるのだから、男子からはいつも注目の的になってた。男子の視線というものは、女子からすると大変分かりやすいものであり……


「あすかぁ、今日もあんたの胸は主張が激しいねぇ」

「わたしの胸は何も主張してないよ、普通に結が注目されてるんでしょ」


「……」

「……」


「時々、うっとおしいよね」

「うん、まぁ……」


 乙女の悩みである。



「そういえば結、この前サッカー部のキャプテンに声かけられてたよね、あれどうしたの?」

「ああ、あれね。 なんかチャラすぎて引いた」

「結の見た目でチャラすぎって……」

「いいじゃん! わたしは誠実そうな男の人がいいの!そういう明日香だって、野球部? の先輩に声かけられてたじゃん あれどうなったの?」

「あ~興味ないかなって」

「興味ないって、あんた」


 友人の様子に脱力する結であった。


「じゃあ明日香はどんな人が好みなのよ?」

「わたしは、もっと こう かわいい感じの 」

「あぁ、まぁあんたはカワイイもの好きだしね」

「そうそう!」




「おはよう!」


 二人が女の子らしい会話に花を咲かせていると、元気のよい挨拶が飛んできた。振り向いてみると、一人の男子生徒が立っている。


 結より若干背の低い、男子の中ではかなり小さいほうだろう。ともすれば中学生かと思ったが、翔輝高校の制服を着ているので高校生だ。黒色のあまり特徴のない髪型で、不真面目そうな感じはかけらもない。


 一見、没個性な感じもするが、とても温和そうな笑顔には、他の人にはない安心感を感じた。


「おはよう」

「ん?おはよう……どうかした?」

「えっと、ごめんね、鞄だけ置きたくて」


 結の若干の戸惑いを感じとったようで、男の子は慌てたように言い鞄をぶんぶんと振っていた。


「え? あぁ、ここ席? えっと……」


 自分が今座っている席の人物だと理解した結だったが、どうやらクラスメイトのような男の子の名前がわからなかった。


「あ、ぼくは……」とっさに、男の子が名乗ろうとしていたが、


「ちょっと、クラスメイトの弟月君だよ、覚えてないの?」と隣からフォローが入る。


「ん~、ごめ~ん」


 意外に思いつつも、明日香は隣の席だし知ってるか、と納得し結は席を立とうとするが、


「全然大丈夫だよ、じゃあ話の途中にごめんね」と男の子は鞄だけかけて行ってしまうようだった。


「あれ、席いいの?」

「うん、委員会に行くから大丈夫だよ、それじゃあ」


 気を遣わせたのかな、と思いつつも席に戻る結。ふと、先ほどの疑問を友人に聞いてみることにした。


「明日香は名前覚えてたんだ。隣の席だから?」


 この友人、見た目が派手で男にはかなりモテる。だが、こんな見た目で男と付き合ったりは自分が知っているかぎり一度もない。知らない人からしたら絶対に信じてもらえないが、本当なのだ。

 まぁ見た目どうこうは自分も人のことは言えないが、男に興味がないのかと思っていたくらいだ。


「え、だってなんかカワイイじゃん」

「あぁ、まぁそうかな……」


 一見はただの目立たない系地味男子だったが、確かに優しそうな笑顔は可愛かったのかもしれない。


「明日香はカワイイもの好きだからね。」

「うん! それに、あの子とは挨拶しか話したことないんだけど……」

「え、隣の席なのに挨拶だけなの?」

「だって、いきなり話しかけてビックリしないかなって思って……」



「明日香ちゃんの乙女な部分初めて見たよ」

「なにそれ、でね、挨拶は必ずしてくれるんだけど、その時しっかりと目を見て挨拶してくれるの」

「あぁ~、それはポイント高いのかな。明日香は出るとこ出てるからね」


「別に普段は気にしないんだけど、なんか嬉しくない?」

「わかる~」


 なんだかギャルからポイントが高い地味系男子君だった。

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