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海で溺れたら人工呼吸!


 ぼくがナンパもどきにあってからというもの。ぼくの両手は姉帯さんと新妻さんにそれぞれ握りしめられていた。


女の子と手を繋いでるなんて、これなんて夢?嬉しさが爆発しそうと、初めは思った。思ったけど……


 ぼくより身長の高いふたりに両脇から手を繋がれていると子供連れの家族か、捕らえられた地球外生命体の気分になってきていた。


 まぁ、そうは思いつつも女の子と手を繋ぐ幸福を感じていたいため、何も言わぬぼくだった。


 ちなみに、ふたりの水着姿はかなり刺激的だ。一度は買いに行ったときの試着で着ているところを見ているのだか、実際に開放的な海で見ると迫力が違う。


 姉帯さんの大きな胸とお尻を隠しているのは今や薄いビキニだけだ。新妻さんの白い肌、スラッとした細い脚も惜しげもなく露わになっている。


 そして心なしか、ふたりともスタイルが良くなっているような気もするし……なかなか伝えることが出来なかったが、タイミングを見てふたりの水着が似合っていることを伝えてみた。


「ふたりとも水着が似合ってるね!ぼく思わず見惚れちゃいそうだよ」


「あ、ありがとう弟月くん」


 顔を赤くしてモジモジする新妻さん、いつもは制服だからわからなかったが、白い肌が身体まで赤くなっていた。


「弟月くんになら、もっと見てほしいな」


 身体をかがめてぼくの顔の前に胸を突き出してくる姉帯さん。メロンがふたつ目の前で揺れていた。


 慌てて目をそらすぼく。いつも刺激的だけど、ビキニのふたりは破壊力抜群だった。


「けっこう冷たいね~!」

「うん、気持ちいいね、弟月くん」

「砂浜は暑かったもんね」


 今はふたりに手を引かれて海に入っていた。真夏の日差しに焼かれていた砂浜と違って海の水は冷たく気持ちよかった。


「姉帯さん、浮き輪おっきいね!」

「三人で入れそうでしょ。浮き輪があるし深いところまで行ってみよっか?」

「ちょっとだけね、弟月くんもいるんだから。あまり危ないことはしないように!」


 新妻さんが本格的に子供を心配する親のようになっていた。三人で沖まで進んでいくと、身長の一番低いぼくが真っ先に脚がつかなくなる。


「うわ!もう脚つかないよ!」

「あ、じゃあ浮き輪の中に入りなよ。ウチらで引っ張るから!」

「え、いいの?ありがとう」


 浮き輪に入り、ふたりに引っ張られて進んでいくと次は新妻さんも脚がつかなくなった。


「結も浮き輪の中に入りなよ。私はまだ大丈夫だから」

「ん、あんがと」


 そう言って浮き輪の真ん中に入ってくる新妻さん。大きな浮き輪だが、ふたりで入るとさすがに狭い、ぼくは今浮き輪に周りを囲まれた状態で新妻さんと密着していた。


 新妻さんはもちろんビキニだ。つまりはほとんど素肌。ぼくも水着だからほとんど素肌。新妻さんのお肌はスベスベで、素肌でダイレクトに感触を感じてしまう。意識するなというのは無理な注文だった。


 なんとか新妻さんに触れないように浮き輪にしがみつくぼく。何故か浮き輪じゃなくてぼくに抱き着いてくる新妻さん。


「に、新妻さん⁉」

「ん?どうしたの弟月くん?」


 ぼくのお腹に手をまわして抱き着いてくる新妻さん。あぁ、ギュッとしないで……


「新妻さん、ちょっとくっつきすぎなんじゃ……」

「だって捕まってないと溺れちゃうかも」


 う、浮き輪がありますよ!


「ああーー⁉ 結ずるい‼」浮き輪を引っ張っていた姉帯さんがぼくと新妻さんの状態に気付く。


「私も!私も浮き輪に入る!」

「ちょ、姉帯さん⁉」


 助けてくれると思った姉帯さんは何故かただでさえ狭い浮き輪の中に無理やり入ってきた。


 浮き輪の穴に三人は無理がありすぎた。ふたりでも密着していたのに、三人となるとふたりの身体に押しつぶされそうだった。し、しかも……


 顔に押し付けられる柔らかい感触。顔中が左右から柔らかい何かに押しつぶされて何も見えない。見えないけど、これは、ふたりのむ、む、胸ではなかろうか。この感触、絶対そうだ!


 ていうか苦しい!助けを求めようにもふたりの胸に押しつぶされて声がでない。このままでは胸で窒息しそうだ!溺れてるわけじゃなくても窒息するんだなぁ。あぁ、ここは海のはずなのに、川が見える……



「ちょっと明日香!さすがに狭いって!」

「だって~結だけズルい!」

「後で交換するから!交代でいいでしょ!」

「う~ん、そういうことなら。あれ?弟月くんは?」

「あれ?……胸のところになんかない?」

「確かに、胸に感触が……お、弟月くん⁉」

「ちょ!息してない⁉」

「じ、人工呼吸⁉︎人工呼吸‼︎」


 ふたりの慌てた声をバックに意識が遠のいていった……




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「……は⁉」気が付くと目の前にふたりの顔があった。何故かふたりが目を閉じて顔を近づけてくる。


「ちょ、ふたりともちょっと待った!」

「あ、弟月くん!よかった~」

「気が付いた⁉ よかったよぉ」


「こ、ここは……?」


 辺りを見渡すと砂浜に横になっているようだ。気絶したぼくをふたりが連れてきてくれたのだろう。


「だ、大丈夫?弟月くん?」

「ゴメンね。ウチらのせいで……」

「いや、全然気にしてないよ。むしろ助けてくれてありがとう!」

「でもお姉さんたちがはしゃいだせいで弟月くんが……」

「いやいや、むしろ沖から連れてきてくれてありがとう!だから気にしないで、ね?」


 ぼくの言葉を聞いてホッと胸をなでおろす姉帯さんと新妻さん。すごく心配してくれたみたいだ。ぼくとしても役得のようなこともありましたので、はい。


「で、でもまだ心配だから一応人工呼吸を……」

「いや!新妻さん、もう目覚めてるから!大丈夫だから!」

「一回だけ、一回だけだから!お姉さん頑張るから!」

「姉帯さんも⁉ もうぼく起きてるからーー!」


 まだまだ海で遊ぶ三人だった。

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