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乗り切れ 期末テスト 〜その1〜


 姉帯さんと新妻さんの水着を一緒に買いに行ってから数日。ぼくの頭には、まだふたりの水着姿が残っていた。しっかりしなければ、いい加減切り替えてこー!


 夏休みも間近に迫ってきたこの時期。浮かれたくなる生徒たちを現実に引き止めている。大事な行事が残っていた。


 誰もが、なければいいと思う。早く夏休みになってほしい、しかし、その前に立ちはだかる行事、それは……



『期末テスト‼︎』


 学校生活にテストは付き物。わかってる。わかっているけど、夏休みに向かって既に浮かれ気分の学生にとっては、どうにかなくなって欲しいと思わざる得ない難関であった。


「ねぇ テスト ヤバくない?」

「うん……ヤバい」


 当たり前のようにぼくの席の周りに座っている姉帯さんと新妻さん。球技大会でスポーツもできることが判明したふたりだが、どうやら勉強は別問題らしい。


「弟月くんはどう?テスト 大丈夫そう?」

「ぼく、得意な科目と苦手な科目の差が激しくて、国語系と理社はいいんだけどね。数学と英語はヤバいかも」

「お姉さん数学なら自信あるな!歴史とか生物とか無理ゲーだけど……」

「明日香は数学だけは昔から点数いいよね。私は国語系がダメだ、古文漢文はもうぜんぜんダメ」

「みんなそれぞれ苦労しそうだね」


「はぁ……」×3


「……あれ、ちょっと待って!」

「どうしたの新妻さん?」

「三人で得意科目を教え合えばよくない⁉︎」


 今世紀最大の閃きが来たように新妻さんは興奮しているようだ。


「弟月くんは国理社、私は英語で明日香が数学!ほら、教え合えばみんなカバーできるでしょ!」

「おお〜 結!頭いい!」パチパチ


 確かに、それぞれの苦手科目を得意な人が教えるとカバーできる組み合わせだ。しっかりやれば、かなり効率がいいかもしれない。


「もう来週テストだし、今日から三人で最後の追い込みなんてどうよ?」

「苦手科目を教えてくれる人がいるときっと捗るね。でも、場所はどこにする?教え合うなら図書室はちょっと向かないよね」

「今日の放課後はファミレスにでも行こうよ。弟月くんにお姉さんが数学をしっかり教えてあげるね」


 そこまで言うと姉帯さんが近くまで寄ってくる。


「心配しないで 手取り足取り しっかり教えてあげるね♪」


 ぼくの右手を取って姉帯さんが優しく囁く、あ、やめて、手をにぎにぎしないで!


「弟月くん、英語でわからないときは私に聞いてね。しっかり教えるから」


 新妻さんは、ぼくの左手を握って、すごく優しい目で手を見つめ、そのままナデナデし始める。気持ちよくて変な声が出そう。


 しばらくの間、ふたりに両手をナデナデ、ニギニギされたまま気持ちよくて変な顔をしていたぼくだったが、絶対零度のクラスメイト男子たちの視線に我を取り戻すのだった。





☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




時は進み放課後


 ぼくたちはテスト勉強のため、駅近のファミレスに来ていた。食事時間ではないため、客数は多くなく、お好きな席にとのことで端っこのボックス席に三人で座る。


「よし!張り切ってテスト勉強といきましょうか!」

「あ、あの……」

「弟月くん、お腹減ったら何か頼んでいいんだからね」

「ありがと、じゃなくて、おかしくない?」


 ぼくの言葉に両脇で首をかしげるふたり。わからないかな、ふたりが両脇にいるのがおかしいんだよね。


「対面の席もあるのに、三人でこっちに並ぶと狭くないかな?」


 実際にぼくの身体は、ふたりの身体と密着していた。肩と肩は常に触れ合っているし、手を下に置こうものなら健康的で柔らかそうな太ももに触ってしまうことになる。


「一人反対だと寂しいでしょ。お姉さん平気だから気にしないで、ね」

「私も気にしない。狭いならこっち詰めるから弟月くんも もっとこっちに来なよ」


 新妻さんはぼくの肩に手を回して、グイッと自分の方へ引き寄せる。そのまま新妻さんの胸に抱き寄せられたぼく。お互いがドキっとした感覚が伝わってくる。


 いい香りにボーっとしつつ顔を上げると直ぐそばに新妻さん顔があった。近距離で見つめ合うふたり、赤い顔の新妻さんが、そのまま顔を近づけてくる。ぼくは、そのまま近づいてくる新妻さんの顔見たまま……グイッと反対に引っ張られた。


 引っ張られた先には、柔らいクッションがあった。ふかふかでいい匂いのするクッション。いや、姉帯さんの胸だ これ。


「弟月くん お姉さんの方も余裕があるからこっちにおいで、なんなら私の膝の上でもいいよ」


 ぎゅっと後ろから抱きしめられる形になって、姉帯さんの豊満な胸の感触に意識が飛びそうになってしまう。


「ちょっと明日香!今私と弟月くんの世界だったでしょ!」グイッと新妻さんに引き戻される。


「そんなことないよね。弟月くんはお姉さんの胸の中が幸せそうだもの」また姉帯さんが引っ張り返す。


「いや、私と」

「いや、こっちに」

「いやいや」

「いやいや」


 しばらくはぼくの引っ張り合いが続き、勉強を始めたのは随分と時間が経ってからだった。



「弟月くん ここってなんだっけ?」

「ここはね……だよ」

「弟月くん この漢文なんだけど……」

「あ、それはね……」


 始まってしまえば、ふたりともすごい集中で勉強していた。これならかなりカバーし合えると思う。


〈ふにっ


 集中していたぼくの左ひじに柔らかな感触を感じた。横目で見てみると……ぼくの左ひじは姉帯さんの横乳に突き刺さる形になっていた!


 むにっと、ひじに当たっているところがへこんでいる。姉帯さんは集中しているのか、まったく気にした様子はない。


 ぼくも集中しようとするが、定期的に感じる胸の感触が集中をひじに集めてしまう。


 気を紛らわせようと新妻さんの方を向く。するとある一点に視線を奪われてしまう。新妻さんのワイシャツのボタンの隙間から内側のブラジャーが、見えてしまっていた。


 水色だ!



 ダメだダメだ!勉強に集中しなければ!そう思いつつも、ひじに感じる胸の感触と隙間から見える水色に、視線と集中を奪われ煩悩と戦いながらの勉強会になってしまったのだった。


 追い込み一日目 まったく頭に入ってきませんでした……

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