Lunatic Loyalty -後篇-
私の行いは間違っているのだろうか?
度が過ぎてるのか?
私の正義は操作されているのか...?
私は絶対忠誠を誓った。私は彼女が正しいと信じている。
なんだって正義だからな。
ただただ穢れは浄化させるのみ。
私は本来の目的を忘れてはいない。
全ては彼女の為に。
そして来たる時間。
私は静かな男と颯爽と教室へ戻る。
光の灯らぬ教室が最後の戦場となるだろう。だとしたらグラウンドはセミファイナルだ。
そして私はすぐさま着替え最後へ備えた。
私は今座っている。
廊下が騒がしい。いつも通りだ。
そして「K」がこの戦場へ足を踏み入れる。
そして「K」が私へ歩み寄る。空気が重く冷たく喧騒が全くもって聴こえない。
その拳は「K」の声よりも私へと辿りついた。
さあ始まりだ。絶対的忠誠を誓った正義と穢れ身と知れない不憫な罪、勝つのはどちらかぐらい予測は立てれるはずだ。
私はいつも通り手を出さない。これまでの戦いでもそうだった。
あくまで私は専守を心がける。
Kの拳は私を何度も破壊しようとするが無駄だった。怒りに我を忘れた者の攻撃など無力だ。
空振り空振り空ぶる。私の目の前で繰り広げられる踊りは見事なまでに愉快なものだ。
一撃。一瞬の不意が私を襲った。
小さきながらも野球部だからだろうか、少しばかりの痛みが走る。
しかしこんなもの序章だ。時間稼ぎをしているだけに過ぎない。
観戦者の中にはこの戦いのことを知らず茫然と立ち竦んでいる者も居る。
ある者は高らかに笑い、ある者は慄き、ある者は見守っていた。
この観戦者の中にどれだけ私の味方が居るだろうか。
そんなことどうでもよい。これは平等な裁判だ。
走った痛みもじきに消えていった。
しかしKは未だ踊りを止めない。奴はもう殴ることしかできない機械なのか。
私は避けることにのみ専念した。もうすぐだ。
開戦して10分経った頃だろうか。
Kには疲労が見え始めていた。
廊下を走り階段を駆け下り駆け上がり交差する教室の机の間を走る。
静かにただひたすら静かに。その時がくるまで避け続ける。
その時は私が思うより早く到達した。
Kの拳が私の肩を突き胸座を掴んだ。その光景を観戦者は全て見ていた。見たくなくても見えていた。
そう。肉体的には苦しめらなくとも私達は精神的に苦しめられていたのだ。
そして今、肉体的にも苦しめられている。
静かな静かな正義が全て反旗を翻した。
もう守りの必要はない。全てを攻撃に転じた。
その見た目通り身体は貧弱だった。
正義を以てして掌がKを裁く。
傍から見ればよくある喧嘩だがそうはいかない。
何発も、何発もこれまでの蓄積された怒りをぶつける。
Kが呻く。そうだ呻け。これまでの仕返しをたっぷりさせてもらおうじゃないか。
騒然していた観戦者の声がまた止んだ。
重々しい声が戦場を宥めた。
そして私は隔離されていた。
まだ寒さの残る時期。風邪を患っていた私にはこの部屋は寒すぎた。
なんだかこの部屋は懐かしい。
私はもう眠れることはなく全てを追及されるだろう。
これで良かったのだ。
私はこの戦いを以て償わせた。
正義の為に戦った私は無駄ではない。
これで未来への道が閉ざされようとどうでもよい。
これが私のできる彼女への罪償い...≪オプティマス≫なのだから...




