Lunatic Loyalty -前篇-
高貴なるあの御方へ祝福を。
低俗なる私へ罵倒の嵐を。
全てを敵に回した処刑人Kを裁く遊び。
運悪く此処へ来たのかそれとも私はこのために此処へ選ばれこのままの場に留まっていたのか。
もう3年間見てきた狭いグラウンドが今や古戦場に見える。
この計画はあの方の為でもあり私を擁護してくれた全ての人への報恩でもある。
そして今回は当初の計画が全て失敗に終わったためのラストアンサーである。
最後ということでレクをしよう、という提案が事の発端だった。
いかにも学生らしい、そして幼心を思い起こさせる提案だ。
学年全体が一斉にやる...そうだ。
Kを断罪するのには広大すぎるこの戦場も一時すれば埋まる。
いつしかまずは完全な悪の立場へ立たせることが目的となっていた。
少し冷えた風が通り過ぎ雲が広がっていく。
それに応えるかのように颯爽と今回の断罪の観戦者が走り集まってくる。
Kは見えない。
早退を仄めかす発言をしていたがどうなのだろうか。
今日だけは居て欲しいという矛盾は逆転してしまったのか?
それでも司会は進行を続ける。
その時現れたのがKである。奴はそう、所謂不良グループの1人である。
といっても田舎だ。都会ほど派手な事はしていない。というか見てて微笑ましい不良とは違う何かだ。
ただ男の方はいいが女の方は気持ち悪い。だからああいうグループに入ってるのかもしれない。
Kはそいつらと話していたのだろう。
謎のグループに入りながらも授業は出る。邪魔しかしないが。
さてレクは時間通り始まった。
予算不足故の簡易的なものから綱引きという定番?なものまで。
リレーがあることによって運動会みたいだ。懐かしい。
勿論1,2年は普段通りの授業だが休憩中は窓から顔を覗かせていた。
そういえばこっちには休憩がなかったな。
それはそうとなかなかKが突っ掛かってこない。
昨日あれだけ挑発して今日も怒りを誘うような言動をしたのに一向に進む気配が無い。
そして全ての時間が終わった。
しかしこれは断罪の時間が始まると言うこと。
予想外の展開ではあったがすぐに打開策は出来ていた。
大衆の中で断罪が出来ないのは残念でならないがしょうがない。
せめてものあの方だけには見せなければ私はどうなるのだろうか。
次回最終話。




