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タントの町で3

 目が覚めると知らない天井だった。

「って思うのが様式美なんだけどこう精神的に来るものがあるな」

 見上げた天井は元居た自分の部屋の天井ではなく別の天井だ。そうこれは夢とかではなく現実だ、いや食事とか痛みとかで薄々、いや8割方は現実だとは思えていたのでダメージは少ないがへこむものはへこむ。いや異世界が世紀末であることではなく、チートらしいチートのようなものを持っていないと言うことだ。なぜそれがわかるかと言うと神の声とかを聞いた覚えがないし、頭のなかでステータスと考えてみたがどこかで見たことがあるようなものは一切でなかった。

「であんたはなんで朝から黄昏てんのよ」

「いやちょっと人生を振り返ってた」

「そう、で今日はなにするつもり私としてはめんどくさいことは嫌だから宿で、いやそれもそれで面倒ね」

「ならさ、仕事したいんだけどなにかないかな」

「仕事、ならムツミおばさんに聞きなさいよ」

「そっかありがとう」

 聞きたいことはそれだけだ、後は下に行って仕事がなにかないかを聞く、そしてそれが溝さらいだろうが皿洗いだろうが靴磨きだろうがやるだけだ、じゃなければ生活保護なんてものは確実にないこの世界では生きていけない、そう思いながら装備を点検する。と言ってもM19をベルトに挟むだけなのだが。

「いってらっしゃい」

 けだるそうにそう言われ下に向かう、と言うか今さらだが部屋が同じだったようだ。


「あらあら仕事が」

「ええ」

「紹介したくてもねぇ」

「何でもしますよ」

「そもそも仕事ないのよねぇ」

 芳しくなかった、世紀末でインフラすら怪しければ何かあると思ったのだが何もないとは。ムツミさん曰く需要と供給が過不足ない状態なので町が平和であるとのことだ。要するにどんな小さいごみ処理でも奪い合う事がないので問題が起こりにくく、騒ぎが起こりにくい。もし仕事があるとしたら緊急事態の時のみだとの事、そしてその時は基本的に拒否権はない。一応あるが負けは死でしかないのでほぼ強制参加だそうだ。

「まぁあるとしたら町の外かしら」

「外と言うのは」

「武器集めに物探しに敵の排除、何でもあるわねそう言った依頼なら何件もあるけど見てみる」

「はい」

 そう言って渡されたのは紙に書かれた日本語の束だ。と言ってもすべてカタカナなので読みにくく、さらに言えば紙はほとんどすべて黒ずんでいたり汚れていたりしてさらに読みにくい。まぁ読めないわけでもないので読み進めていくのだがほとんどすべてがムツミさんが言うような武器集め、物探し、敵の排除のどれかだ。要するに生きるためには命がけの仕事しかない。

「あなた字が読めるの」

「えっとはい」

「すごいわね」

「ならこれをいかせる仕事は」

「特にないわね」

「そうですよね、はははぁ」

 少し期待したのだがなかった。

「外に行くしかないか」

 と言うわけで部屋でだらだらしてるであろうアーニャをつれて、町の外に出てみることにした。

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