廃墟にて4
「いってぇ」
「おいおい大丈夫かよ」
「ビンタはひでぇよ」
「はっならあんな棒っ切れ1つ以外の武器も用意しとけ」
そんな話をしながら、軽トラの上で団長と話す。ビンタされたあと軽トラに乗せられたのだが、その時に身体検査を受け武器やそもそもなにも持っていないことに同情されたのか、団長が親身になって話しかけてくる。
「であんたどうしてあんなところに」
「それがあの辺りの近くに捨てられて、逃げ込んだ先があそこだったんだよな」
「捨てられただと」
「ああ気づいたらあそこにいた」
「奴隷か、それとも」
「そこら辺もよく覚えてない」
「だから知識がほしいってことか」
「ああ」
「まあ知識っつってもな」
そう言って話始めたのは俺からしたら未来の話だった。
2199年7月24日、17時47分、世界各地で長距離攻撃を開始して滅んだらしい。これはその攻撃の生き残りが伝えてきた話で詳しいことはわかっていないが悲惨なものとなり、その攻撃が止み何もかも終わったあとの空はきれいなものだったと伝わっている。それからはそれぞれ生き残るために助け合い、奪い合い、騙し合い、殺し合いながら、町や組織を作り勢力を拡大していった。そして今現在2299年なのだが勢力はある程度纏まりそれぞれしのぎを削っているらしい。一番大きな組織がジエイ隊、元々は自分達のみを守るための組織だったのだが町ができるにつれ所属する町が増え勢力を拡大していった。次に政府軍。これは一番長く続いている組織であり活動内容はジエイ隊と被っているのだが、こちらの方が装備が優秀だが税金として色々持っていかれたりするらしい。この二つが大手の組織でありそれに追従する形で様々な組織があるらしい。例えば彼らが所属する傭兵組織はだれでもどこでも利用できる組織だが装備もまちまちだったり、トレジャーハンター組織は個々の働きが多い上に出入りが激しいらしく組織としての力はかなり低い。と言うような感じのようだ。
次に装備に関してだが、滅ぶ直前は戦争直前だったためか保存食や銃、太陽光発電、充電式の電気自動車などがそこら中に転がっていたが、今では大分消費し、多くの町では新しい貯蔵地を求めているらしい。求めていない町は農業を行おうとしていたり、銃の修理や車の整備などで稼いでいたりするところなのだが、多分ほぼすべての人が貯蔵地を求めているとのことだ。
最後にこの辺りの驚異としてだが、初めはレイダーと呼ばれる荒くれもの集団、次に組織に所属したあとの敵対組織。これらは人間なので装備を持っており殺して奪えば収入になり旨味があるらしい、今回も俺の件がなければ旨味しかない仕事だったようだ。
「あとはこの砂漠の主ぐらいだな、あれに遭遇したら死んだもんだと思った方がいい」
「主って」
「あれに目をつけられたら最後、基本的に町が滅ぶ」
恐ろしい主がいるようだが、基本的には生息地がある程度わかっているので地図にも書かれているのだが、間違えて侵入した者や命知らず、不幸にも判明されていなかった生息地に入ってしまった者など死者が絶えない。
最後に司法やお金に関しては町には町独自のルールが定められているがほとんどの町は殺しと盗みがご法度と言うだけらしい。ただ政府軍の支配下は規律が厳しく外に出ることさえ難しいとのことだ。お金に関してだが。
「これが金だ」
「これが」
そう言って渡されたのはタバコのパッケージだ、なんとタバコがお金になるらしい。基本は物々交換でもいいのだが、タバコなら数もあり軽いために重宝されている。価値としては新しく作られたタバコは安く、旧世代のタバコは高い。もし旧世代のタバコのカートン、未開封何てものをサルベージしたら一攫千金になるようだ。それでなくてもサルベージは稼ぎがよくもしも貯蔵地を発見したらもはやなんでもできるとかなんとか。
「でこれがライフル分の料金だ」
そう言って埃っぽいが新しそうなタバコの箱を2つ渡してくる。
「ちょっと安いが知識分と移動費込みってことにしておいてくれ」
「いやライフル分だけって」
「あのライフル改造に整備にと金かけたからな勿体ないんだ」
「いやあのアーニャとか言う」
「あれには少し反省させたいから、お前の護衛件案内役に使ってくれ、期間は俺たちが新しい仕事を見つけるまで、報酬はこちらから払う、あんたは彼女の食事とかは気にしなくていい、色々学んでくれ」
「ありがとう」
「気にすんな、本当だったらあいつは死んでたんだ反省できるときにさせとかないと」
「そういえば投降するときって」
「基本は無理だな」
「うへぇ」
「だからあんたついてたのかもな、おい見えてきたぞタントの町だ」