廃墟にて3
ライフルを背負い鉄の棒で彼女をつつき先導させる。
「団長になんの話があるのよ」
「何でもいいだろ、ほらさっさと行け」
先導させながら、その見知らぬ団長に何を要求するかを考える。ひとまず文明圏への移動、食料ならびに生存手段の確保、最後に知識だ。その3つは最低限必要で、っとそこまで考えてふと気づく。
「言葉が通じてる」
「何かいった」
「言ってないさっさと歩け」
驚きで声が出ていたようだ。それはおいておくとして言葉に関してだが今自分の言葉は日本語で話している。口からでる音から判断しても、別言語になっているとかそんなことはない。さらに言えば聞こえてくる音も日本語だ、別言語を翻訳してあるみたいな感じはない。要するにここは日本語圏なのだ、だが目の前の彼女は海外系の顔付きをしている。いったいここは何処なのだろうか。
「動くな」
「ついたよ」
「早かったな」
考え事をしている内に団長の元へとたどり着いていた。団長は全身迷彩服で完全防備、みる限りただの軍人だ。彼は銃を構えてはいないが、俺たちを中心に半円を描くように武装したやつらが7人ほどいる。正直怖い。
「でアーニャを捕らえた奴がなんのようだ」
「アーニャを離しなさい」
彼女の名前はアーニャらしい、今はそんなことはどうでもいい。
「用は1つ、取引をしたい」
「取引だと」
「ああ、商品は彼女の命だ」
「…………そうか」
「団長、あいつ殺してしまえば」
「黙ってろ、で要求は」
「要求は3つ町までの護送と一人分の食料と金、ついでにこの辺りの知識だ」
「それだけか」
「それ以上だと頭を撃ち抜かれかねないしな」
睨み付けている人質の姉と思われる人物をみる、一睨みで震え上がりそうだが耐えるしかない。
「いいだろう」
「団長」
「全員銃を下ろさせてくれ暴発されたら困る」
「わかった、だが」
「分かってるよ」
銃を下ろしたのを確認して、俺も押し付けていた棒を下ろす 。
「ふぅ」
「最低っ」
そう言われビンタされた。