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コモリの町6

「南にいきたいの」

「えぇマーニャねぇ」

 マーニャさんのところに戻ってくる。この病院は面会時間なんかも決められていないので相談する時間はたっぷりある。

「南ねぇ」

「南には何かあるのか」

 なにがあるか、それが問題だ。もし南が危険地帯なら避けたいし、むしろ安全なら行ってみたい。

「それが南にいけばいくほど、情報があやふやで道がわからないのよ」

「マーニャねぇでも」

「ええ」

 情報があやふやなのはたぶんこっちの方に来るひとがいないのだろう。だがそれは安全だからか危険すぎて越えられないか、そのどちらかだ。

「わかる限りのルートは」

 それさえわかれば記憶を便りにある程度の危険度がわかるかもしれない、と言うかそれしか頼れるものがない。

「それすらも」

「えぇっ」

 判断する材料がない。

「行ってみようよ」

 そんな中、アーニャがそういう。

「行ってみないとわからないじゃない、ならいってから考えましょうよ」

「いやいく道が危険なら」

「ならウエダは残るの」

 残る、その手段もあるが、残ってどうなるのか、この世界の知り合いは今は彼女たちだけだ。

「私もアーニャちゃんに賛成ね」

 だがだからといって今ある、ある程度の安全を捨てて、ってあぁそうか。

「俺もいくよ、当たり前だろ」

 ここもある程度安全でしかない、安全は自分で作るしかない。そのためには様々なことを知り、実力をつけていくしかない、ならこの程度の危険で二の足を踏んでどうするのだ。

「なら今すぐにでも南に行きましょう」

「ええ」

「けどマーニャさんの傷がある程度癒えてからじゃないと」

「そっ、それは当たり前じゃない」

 アーニャが慌てる、すっかり忘れていたようだ。

「はぁ怪我人に無理させようとするなよ」

「そうよアーニャちゃんウエダの言うとおりよ」

「ふん、私なにか買えるところ探しにいってくる」

 そう言って大急ぎで出ていく、恥ずかしかったのだろう。

「ウエダ、私も早く治したいから」

「ああ、また明日な」

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