コモリの町4
ありがとう、とそういう彼女は。
「どうかしたのかしら」
左腕がなかった。
「その」
「腕ね、アーニャちゃんにも泣かれたけど仕方ないのよ、と言うより腕だけですんでよかったわ、あの主に襲われたんですもの」
主、要は巨大なありだ。
「何度か襲われたことが」
「ええ、住み家に何度か入ったわ、その度に仲間が何人も死んだわ」
そういう彼女はあまり悲しんだ様子はない。割りきっているのかそれとも。
「けど私には家族がいたからどうにかなったわ」
「どうして」
「ウエダさん、あなた顔によく出るから気にした方がいいわよ」
顔に出ていたらしい。
「それとごめんなさい」
「なにが」
「私なんかを助けるために」
「ああ、その事はいいよアーニャのためだったし、それにお礼もあった」
「殺されるかもしれないのに」
「その可能性あったの」
気にはしていたのだが言われると驚く。
「アーニャちゃんにもこの町には近付くなって教えてたんだけど、仕方ないか」
だがもう終わったのだ。
「それで聞きたいんだけど主って何で、あの時なにがあったんだ」
「主に関しては地中から現れる化け物よ、あと数も多いわ」
そこら辺もありだった、ただしサイズが違うと言うだけで。
「それであの時だけど、投げ込まれたグレネードをどうにかしようとしてね、けどアーニャちゃんが無事でよかった」
「そっか、で聞きたいんだけどこれからどうする」
「これからね」
そう言って、視線をはずす。
「私は」
そうしてアーニャを見る、と言うか彼女はぐっすりと寝ている。
「まずこの町をでないと行けないわね」
「そんなにいや」
「武器がないなんて、襲われたらどうするのかしら」
「じゃあ傷が癒えたら出ていこうか」
「いいの」
「別にどこでもいいんだ、と言うより色々見てみたい」




