廃墟にて7
寒さで目が覚める。
「さむっ」
外はまだ真っ暗、いや。東の方から太陽が上がっていく。辺りが明るくなっていく。これが朝だ。
「おはようウエダ早いわね」
「うわっ」
急に声、飛び退く。
「そんなに驚かなくていいじゃない」
「いやごめん」
正直気配すら感じなかった、急に後ろに現れた感じだ。
「けどウエダ、咄嗟に銃構えられないと死ぬわよ」
「はい」
「要訓練ね、荷物まとめようか」
そう言われ荷物、と言うかごみをまとめる。それがすぐ終わるとアーニャが続けて話しかけてくる。
「じゃ行きましょうか」
「物拾いにか」
「いえお金稼ぎよ、銃は持った」
「持ったよ」
「なら適当に撃ってなさい」
「了解」
AKを手に持ち、セレクターを確認。後はリボルバーをベルトに挟み、用意は完了だ。
「なら私の後に続いて」
「了解した」
かっこよく言えばツーマンセル、端から見れば兵士に金魚の糞のように着いていく一般人だろうが気にしない。今は生きるのに必死になるときだろう。まずは部屋の出入り口であるドアに張り付きアーニャが外をうかがう。
「いないわね、出るわよ、もし人がいたら躊躇わず撃ちなさい」
「分かってるよ」
人を撃つ、生きるためには仕方ない、仕方ないと言い聞かせる、もう撃ったんだ言い聞かせる。
「移動」
アーニャが外に出る、それに続いて部屋を出る。
「あれで全部だといいんだけど」
あれとは昨日遭遇した敵だろう。
「その可能性は」
「さぁ知らないわよ、わかったら苦労しないわ」
「いや経験則でもいいからさ」
「なら半分くらいかな」
「そっか」
敵がいる確率は50%、多いのか少ないのかは分からないが、いない方がいい。そんなことを階段を降りながら思う。
「いなそうね」
「そっか」
足音は自分達のたてるものしかなく、後は物音ひとつ聞こえない。そんなわけで外に出るまで警戒を続けていった。




