廃墟にて6
「ウエダ人殺したことは」
「あるわけ、うっ」
「はいはい吐いてきなさい」
「悪いううっ」
吐く、もはや何も吐くものはないが吐く。口のなかに吐いた物の味が残るなか、何度も何度も吐き続ける。
「うっ、うっ」
「全部出たウエダ」
「あっああ」
「ほら水よ」
「ああ」
水を飲む、うまい。ただの水、それもこの世界での普通の水なのだがうまい。少し飲むと落ち着いてくる。
「で殺したことないのね」
「ああ」
消え入りそうな声で答える。
「慣れるしかないんじゃない」
「それは、そうだよな」
慣れる、殺しに慣れる、殺すことに慣れる、それしか生き延びるすべはない、殺さずにすむ方法もあるのかもしれないがそれを手にいれるためには殺し続けるしかない。だから慣れる、殺したと言うことに、人の命を奪うと言うことに。
「で落ち着いた」
「ごめん、悪かった」
「ここまでひどいのは初めてよ、全く」
「ごめん」
「食べられる」
「今日はやめとく」
「そっ、なら収穫の方だけど4、6ね」
「それでいい」
「ならほら」
そう言って渡されたのは鉄の塊、銃だ。
「AK」
「詳しいわね」
「いや見たことあるってだけ」
もたつきながらも特徴的なマガジンを外し、弾を確認。再度装填してチャンバーに弾を入れ、セレクターを。
「んっ」
「どうかした」
「いや」
セレクターには日本語であれたの文字が、意味としては安全装置、連射、単射の頭文字であり問題はないのだが。
「いやなんで日本語なんだ、ここはロシア」
「ロシアってなに」
「あっ、ごめんなんでもない」
ロシアが消滅していた、まああるとは思うが名前が変わっているのだろう。
「けど銃使えるのね」
「一応ね」
「それがわかっただけでも収穫だわ、後はさっさと寝ましょう明日は早いわよ」
「了解」




