プロローグ
新作始めました
エタらないように頑張ります
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世紀末と聞いて思い浮かべるのはなんだろうか、ある人は砂漠になった町、ある人はわずかな食料を巡っての殺し合い、ある人は覇王とかなんとか妙な二つ名で呼ばれる筋肉の塊のような男、等々色々と思い浮かべる人がいるだろう。俺自身がそんな感じだった。だったと過去形なのは。
「体験するとは思わないよ、はぁ」
今その大勢が思い浮かべるような世紀末の光景を目前に見ているからだ。
周りの様子を確認する前に自分自身の記憶を確認するために、これまでのことを思い浮かべる。と言っても名前はウエダ、年齢は21、身長体重は180の75、顔は普通、髪型はスポーツ刈りと言う本当に普通の男だ。なんか聞いたことのないような武術をならっているとか職業殺し屋とか面白いようなことはなく、ただただ普通の大学生だ。それくらいで直前の状況を思い出しても見るが就活で失敗したとか失恋した、はたまたひかれそうな女の子やトラックが突っ込んで来たとか死ぬような状況ではなく、普通に家にいてゲーム、と言っても怪しげなタイトルではなくごくごく普通の市販品のFPSをやっていて目を閉じて開いたらここにいた。
「意味がわからん」
思い返してみても、何もわからない。と言うか不意の心臓発作やいきなり自宅が爆破されたとかでもあったのかもしれないが、そうなるとさっぱりわからない。
「まあいいか、ひとまず今の状態を確認しないと」
さっぱりわからないのであれば、さっぱりわからないままほっとくとして今は荷物を点検する。
「…………はぁ」
点検するといっても本当に何もない、あるのは直前まで着ていた灰色のスウェット、それにいつも履いている黒のスニーカーだけだ。
「これはもう死ぬだけかな」
泣きたくなる持ち物をほっとくとして周りの様子を探る。辺り一面ほぼ砂漠。以上だ。水もなければ人もいない、そんな状況で世紀末と判断したのは簡単だ。4kmぐらい離れた所に崩壊しかけたビル郡が見えるのだ、それこそ世紀末系の話でよく見る感じの崩落具合だったので世紀末と判断したのだが、もしかすると砂漠地帯にいるだけかもしれないし過去の遺跡がどうこうと言うわけでファンタジー系の世界かもしれない。どちらにせよ近付かなければならない、近付かないときっと野たれ死ぬ、太陽は東側にありまだ暑くはないが、日が昇っていくにせよ沈んでいくにせよ灼熱か寒冷で死ぬ。死んでしまう。そこまで思うと急に身震いする。
「なんなんだよ、どうしてこうなったんだよ」