未完.エターナルエンド
「カケル、なんで〈性技〉なんて習得しているの!?」
扉を開けて開口一番、白亜の言葉が核心を突いた。
「なんかおかしいと思ったんだよね。カケルに触れられる度に、ぞくぞく~ってするし、挙句になんにも考えられなくなってカケルの言いなりになるなんておかしいもん! 絶対、なんかあると思って――」
「ストップ、ストォップ、白亜!! フェリシテいるから!!」
「…………あ」
「…………」
フェリシテが僕を見る目が怖い。
「か、カケル。いま〈性技〉を習得していると聞こえたが、本当か」
「あ、ああ」
「……そうか」
フェリシテは僕の答えに呆然として、そして言った。
「私は近所の女性たちの話をよく聞いているのだが」
ああ、終わった。
仲間のかけがえのない信頼を、ひとつ失った。
「どうせロクデナシなら〈性技〉くらいあればいいのにぃ、だそうだ。良かったなカケル。男としてはどれだけ無能でも許される凄いスキルらしいぞ」
心から「おめでとう」と言われて、僕は困惑する。
そういえばフェリシテ、幼いころに唯一の肉親であるお兄さんと死に別れて、ずっと一人なんだっけか。
じゃあそういう教育も受けてないんだよな……。
しかしそこでふと、疑問に突き当たる。
「……あれ。なんで白亜が〈性技〉のこと、知っているんだ?」
「え?」
今度は白亜が呆けた。
というか「なんで知っているって……なんでだろ?」と自分でも首を傾げている。
なんだか白亜が考え込んでしまったので、その日はいろいろと有耶無耶になって終わった。
◆
次の日、街を出るときに殺人があったことを知った。
なんでも街の若いゴロツキが路地裏で惨殺されていたんだそうだ。
正直に僕らは宿にいたことを話て、なんのお咎めもなく無事に門を出た。
◆
その光景を、私は見ていた。
そうただ見ていた。
白亜と呼ばれる私。
白亜と呼ばれていたことのある私。
カケルとひとつになったことのある、あ、これはそういうエッチな意味じゃなく、ステータス的に一つになったっていう意味での、私。
天使エルミーユを使役して、神として君臨する私。
……カケルと両思いで一緒に異世界に来た私。
……カケルのことが好きで、好きで、たまらなく好きだったのに、高校生活最初に玉砕した私。
……カケルに何の興味もなくて、告白されたことすら迷惑で、振った私。
どれもこれも、全部私。
私が、カケルを巻き込んだ。
私が全ての原因。
この私はカケルが作り出したと思っている、「カケルのことが好きで、好きで、たまらなく好きだったのに、高校生活最初に玉砕した私」なのに。
私が「告白してオッケーしてくれたカケルが欲しい」なんてエルミーユに言ったのに。
両思いだった私が、異世界で神になったのがすべての始まりだった。
全ての平行世界のカケルとハクアを両思いにしてカップリングしよう大作戦は、今も他の神々に知られることなく、遂行されている。
カケルに興味のないハクアと、ハクアに興味のないカケルを、あらゆる並行世界から抹消しながら。
……あーあ。全部思い出しちゃった。
カケルと約束した、誓った「貞淑であること」があやうく汚されかけたから、それがトリガーとなって私は全部思い出した。
あーあ。何も知らなければ良かった。
なんという茶番。
なんという喜劇。
ああ、でも。
わたし、大好きなカケルと一緒に生きて行けてすっごい幸せなんだ。
好きだよ、ずっと好きだよ。
いつまでも一緒にいようね。
来世も、前世も、いついかなるときも。
私はカケルを愛します。永遠に。愛しています。
長らくエタっていたこの作品、仕方がないのでプロット暴露しつつ〈デウス・エクス・マキナ〉しました。
この作品を好きで読んでくださった方々には本当に申し訳ありませんでした。
正直、今日1話目から読み直して「なにこれめっちゃ楽しいじゃん」と思えたのは、作者にとっては幸福なことでした。
なにしろ「どう頑張ってもこの作品はこれ以上面白くならない」病にかかったためエタることになったからです。
これで良かった。このままで良かった。
そう思えたのは救いでした。
でも残念ながら、もう雑なプロットしかなく、今の私の技量では途絶したこの物語の続きを書く能力も時間もないことは確定的に明らかで、このような形で完結させることとなりました。
ひとえに私の未熟ゆえですが、どうか寛大な心で、私の次以降の作品をチラっと見て奇跡的に趣味にあったら、読んでやってください。
私は今連載している方に全力を傾けますので、この作品ではこれにて失礼します。
ではまたどこかで。




