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13.〈クリエイト・ウォーター〉と〈ウォーター・スピア〉

 わずか十分ほどで白亜は〈属性魔術:水〉を習得してしまった。


 ……あれ。〈期待する瞳〉(ウィッシュ・スター)で取得経験値が増えてる僕と同じペースってどういうことだ?


 考えられるとしたら、そもそも〈期待する瞳〉(ウィッシュ・スター)が発動していなかったとか。いやでも〈剣技〉は確実に経験値が増えていた。でなければ、僕があんな短時間で鉄の剣を上手く振れるようになったりはしないだろう。それとも〈ウォッシュ〉のときだけ発動していなかったとか?


 あ、もしかしたら白亜は水属性の適性が高かったとか? もしくは逆に僕が低かったとか。天使が敢えて「適性を無視して」と言ったということは、本来なら僕が使うのに苦労していたということじゃないだろうか。うん、ありそうな話だ。


 とりあえず白亜が無事に〈属性魔術:水〉を習得できたから、理由はどれでも構わないけど。


「ねえカケル。他の魔法はどうやって使えばいいの?」

「ああ、それな……」


 スキルが増えたのはいいけど、肝心の他の魔法の使い方がわからないのだ。でもそれは天使に聞くまでもないかもしれない。僕は〈エンサイクロペディア〉を開いた。


 パタリと仮想の本が開く。項目は〈属性魔術:水〉について。うん、やっぱり書いてあったなスキルについての詳細な記述。


 ――地・水・火・風の下位四属性のなかのひとつ、水属性について一定以上の技量を有する者が取得できるスキル。上位属性である〈属性魔術:氷〉との互換性はないが、多くの場合、氷属性を扱える者は水属性も扱うことが出来る――


 うん、説明はいいや。魔法は、と。あったあった。


『〈クリエイト・ウォーター〉:手元に水を作り出す魔法。生み出せる水量は術者の魔力に依存し、一度の行使で[最大MP×100]ミリリットルを生成できる。消費MPは1点である。』


『〈ウォーター・スピア〉:水の槍を作り出し射出する魔法。威力は術者の魔力に依存する。消費MPは3点である。』


 レベル1と書いてある欄にはふたつの魔法があった。ちなみに〈ウォッシュ〉はレベル2のところに書いてあるから、難しい魔法だったらしい。〈コール・レイン〉という雨を降らせる魔法がレベル10で最高難易度のようだ。


 ……パッと見、そんなに強くない。下位属性とか書いてあったし、氷属性はもっと攻撃力が高いのかもしれないな。それともレベル11以上の魔法があるのか。


 ひとまず低レベルから順番に使ってみよう。


「〈クリエイト・ウォーター〉――うん、出る出る」

「わ、ズルい。……〈クリエイト・ウォーター〉!」


 僕と白亜は大きな水の塊を出して、その場にぶちまけた。


 ……うん、タライでも用意しておけば良かったなこれ。水がもったいない。


 でも白亜はそんなことお構いなしに「次は? 次は?」と聞いてくる。嬉しそうだなー。よおし次いってみよう。


「次は〈ウォーター・スピア〉……おっと」


 パシュっといい音がして水の槍が地面に突き刺さった。剣の柄より細く、全長1メートル弱くらいの先端の尖った水の棒と言い換えてもいい。地面に穴が空くくらいの威力があるなら、十分に実用的だ。


「白亜、地面に向けて撃ってくれ。間違っても僕に向けるなよ」

「わ、分かった……〈ウォーター・スピア〉!」


 同じように水の槍が地面に撃ち込まれる。白亜は「おおおー」と大げさに喜んでいた。あ、攻撃魔法でもいいんだ。意外と過激だなあ。


「よし、次は〈ウォーター・コート〉か。〈ウォーター・コート〉。……〈ウォーター・コート〉! ……ううん、ここまでか?」

「あ、じゃあ私がカケルを越えるよ~……〈ウォーター・コート〉!」


 しかし白亜が唱えても何も起こらない。やっぱりレベル2魔法はまだ無理か。


 白亜は眉をハの字にして悲しそうな顔をした。そんなに魔法が使いたいか。ちなみに〈ウォーター・コート〉は水の膜で全身を覆う防御魔法で、火属性の魔法と物理攻撃に対して効果があるらしい。消費MPが4点と書いてあるから、MPが足りないわけじゃなさそうだ。単純に技量が足りないのだろう。


「…………」

「そんな顔するなよ。この分ならすぐに上達するって」

「ほんと? 才能なくてここまでとかない?」

「ないない。というか多分、白亜は水の魔法、僕より得意だと思うし」

「……そっかなあ?」


 あ、なんか嬉しそうだ。まあ〈期待する瞳〉(ウィッシュ・スター)のお陰で僕もそう変わらずに使えるはずだけど。僕は〈剣技〉を活かして前に立って、白亜に魔法で支援してもらうってのもいいかもしれないなあ。


 午前中の修行はこのくらいで一旦休憩にして、僕らは昼食をとりに行くことにした。

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