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10.〈永遠に変わらない愛〉-白亜side-

 カケルの肩に額をくっつけて、私はウトウトしながら幸福感に浸っていた。


 身体にわだかまる気だるさと甘い痛みを味わいながら、眠るのももったいなくて、カケルの呼吸を聞いている。


 ……私がこんなにはしたない子だったなんて、知らなかった。


 一緒の部屋に泊まろうだなんて。よく言ったなあ。頑張ったね私。


 宿の受け付けの人、変に思わなかったかな。ちょっと、いやかなり恥ずかしい。


 お金の心配を口実にしたけど、このゲームみたいな世界ならウサギを倒してなんとか稼げる気がする。経験値はステータスに表示されないけど、要はゲームみたいにいっぱい殺せば強くなるんでしょ? 最初はビックリして苦戦したけど、身体は思ったより良く動くし、きっと天使さんが何かしたんだろうなあ。重い剣を振ったにも関わらず、腕は筋肉痛になってないみたいだし。


 でもこれで踏ん切りがついたのだと思う。異世界でカケルとふたりで生きていくことに。言葉が通じるのが分かって多少は安心したけど、カケル以外に頼れる人がいないってやっぱり不安だった。天使さんの助けはあるけど、それもカケルを通じてのことだから、私ひとりじゃ生きていけないわけで。


 だいたいカケルは天使さんといつでも話せるってズルい。何を話しているか気になって仕方ない。……あれ、もしかしてこれ嫉妬? うう、そんなまさか。私ってこんなに独占欲が強かったっけ。新しい自分を発見だね……。


 ああでも、もうお父さんとお母さんには会えないのか。駆け落ちみたいになっちゃったなあ。ごめんね、好きな人についていっちゃって。


 カケルに告白されてから、世界が違って見えるようになった。恋するってこんなに素敵なんだね。中学のときはパっとしなかったカケルだけど、高校に入ってからは……うん、あんまり変わらない? どこに惚れたんだっけ、私。どうしてカケルについていこうと思っ――


 ――わたし一条(いちじょう)白亜(はくあ)は、松田(まつだ)(かける)を生涯変わることなく愛することを誓います。


 頭がぼうっとして、何も考えられなくなる。じんわりとした何かが脳の中を満たして、私はしばし陶然としていた。


 あれ、いま何を考えていたんだっけ。まあいっか。


 そういえば私のギフトは、見つめていると行動が成功するようになるんだよね。カケルはいま寝てるけど、もしかしたら良く眠れるようになったりするのかな。だとしたらきっと、明日はスッキリ目覚めるに違いない。かなり見つめたはずだから。


 そろそろ私も寝なきゃ。うう、串焼きからなんにも食べてないから、おなか空いたなあ。せめてムード作るの、夕食の後にすればよかったかな……。

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