↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜  作者: 五十嵐紫
第15章:聖域封鎖編:教皇の『最終コマンド(デリート)』を阻止せよ!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
56/60

オフラインの聖域へ! 物理的侵入(オンプレミス)ハッキングの開始です

「……聖教国の首都、聖地エルサレム。物理的な防壁は騎士団が突破したけれど、本丸である『大聖堂の地下サーバー室』は、彼らが隠し持っていた『最後の物理的遮断装置(エアギャップ)』で守られているわ。……通信が届かないわね」


聖地エルサレムの門前。私はL-Padを片手に、眉をひそめました。

私たちの目の前には、空を突くような巨大な大聖堂がそびえ立っています。外からのハッキングを受け付けないよう、あそこだけは魔法的な電波すら通さない「真空地帯」が展開されていました。


通信が繋がらない。つまり、私が外から操るドローンも、GVNによる真実の検証も、ここでは役に立たないのです。


「……レティシア、通信が遮断されているということは、向こうはこちらのハッキングを完全に防いでいるということか?」


ユリウス王子が私の横に立ち、剣を抜いて警戒を強めました。


「ええ。……だからこそ、物理的に侵入して、あの中枢サーバー(コア)に直接このL-Padをプラグイン(物理接続)しなきゃいけないわ。……物理的な距離をゼロにする、これぞ究極の『オンプレミス(現地設置)』ハッキングよ」


「ガハハ! 結局は俺たちの筋肉の出番だな! 物理的な障壁なんて、この俺の拳で風穴を開けてやる!」


お父様が愛剣を高く掲げ、咆哮しました。

論理と武力。その両輪が揃った今、聖教国の「最後の聖域」を攻略する準備は整っていました。


聖教国の首都は、静寂に包まれていました。私たちが流したGVNの「真実」によって、教皇の嘘が暴かれ、聖都の人々は今や教皇庁の命令を聞かなくなっています。

しかし、大聖堂の内部には、教皇に心酔する「選ばれし信徒」と、彼らが守る「古の魔導計算機」が稼働し続けていました。


「……行くわよ! 物理的な障害物は、お父様とお兄様、ユリウス様にお任せします! 私はターゲットのサーバー室まで、最短ルートで突き進むわ!」


「了解だ! レティシア、背中は任せておけ!」


お父様が扉を蹴破り、大聖堂の中に踏み込みました。

内部では、聖教国の親衛隊が待ち構えていましたが、お父様の圧倒的な突進力の前に、防壁を展開する隙すら与えられません。


「……シエルお兄様、私のL-Padの同期を維持して。……万が一、私がサーバー室でハッキングしている間に、敵が『世界樹(ユグドラシル)』の方に逆ハッキングを仕掛けてきたら、直ちにこの回線を切り離して!」


「任せてくれ! ……聖域内部の魔力トラップは、僕がこの魔力解析デバイスで無効化する。……君は、データの心臓部へまっしぐらに向かうんだ!」


シエルお兄様が、大聖堂の至る所に仕掛けられたトラップ魔法を、次々と解析・解除していきます。

物理攻撃(お父様)と技術解析(お兄様)の連携により、私たちはまるで水を得た魚のように、大聖堂の最深部へと近づいていきました。


そして、ついに。

大聖堂の地下、深淵のような静けさを湛えた部屋に到着しました。

そこには、巨大な水晶柱が何本も並び、青白い光を放つ「中央演算コア」が鎮座していました。


「……あったわ。……これが、世界中の『Holy-Link』を制御していた親(ルートサーバー)ね」


私は震える手で、L-Padのケーブルをサーバーのコネクタに差し込みました。


「――接続(コネクト)、システム・ルート権限(Root Access)!」


その瞬間、画面が真っ赤に染まり、警告音が鳴り響きました。

部屋の中央に、教皇の姿をした「魔導ホログラム」が投影されます。


『……愚かなる者よ。……神の規格(Holy-Link)を捨て、魔の通信網(L-Protocol)を選びし者よ。……貴様らには、この世界の真実を消去する『最終コマンド(デリート)』を味わってもらおう』


ホログラムの教皇が、嘲笑と共に手をかざすと、サーバー全体から凄まじい「魔力の奔流」が逆流してきました。


Force_Delete = (Total_Magic_Energy * System_Cache_Size) / Permission_Denied_Count


変数の定義:


 ・Force_Delete: システムを強制削除するための魔力圧力

 ・Total_Magic_Energy: 教皇庁が数百年かけて蓄積した負の魔力


 ・System_Cache_Size: サーバーが保持している全人類の歴史データ量


 ・Permission_Denied_Count: システムが拒否したアクセス回数(レティシアの攻撃による蓄積)


「……この魔力値、尋常じゃない……! ……システムがオーバーフローして、全世界の記録をゴミ箱に捨てようとしているわ!?」


「レティシア! ……その演算、僕の演算ユニットで一部引き受ける!」


「ダメよ、お兄様! ……これを受けると、あなたの脳が焼き切れるわ! ……私が……私が直接、この『負の魔力』をリコンパイル(再構築)するしかない!」


私はL-Padにキーボードを投影し、教皇が流し込む「破壊コード」を、自らの魔力で「無害化コード」に書き換える作業を始めました。

高速で流れるコードの雨。三歳の脳には過酷すぎる情報量ですが、前世で培った「徹夜のデバッグスキル」が、私の指先を限界まで加速させます。


「――try...catch(エラー処理)、展開! ……破壊パケットを全て空関数(Null)に置換して……!!」


大聖堂全体が激しく揺れました。

教皇のホログラムが、驚愕の表情で崩れていきます。


『な、なぜだ……! ……神聖なシステムの深層領域(カーネル)を、なぜ三歳の赤子が理解できる!?』


「……神聖なシステム? ……笑わせないで。……ただの古いコードの塊(レガシー)じゃない。……**『枯れた技術(枯れた技術を大切に)』**っていう言葉を知ってる? ……私は、あなたの作った『枯れた技術』の弱点を、生まれた時から知っているのよ!」


私は最後のエンターキーを叩き込みました。

私の魔力が、サーバーの中枢に「ルート権限」としてインストールされます。


《権限奪取完了。……システム・オーナーを『聖教国』から『グランヴェル王国』へと移行します。……全システムを再起動(リブート)……。》


画面に表示された進行バーが、100%に到達しました。


その瞬間、大聖堂全体を包んでいた不気味な青白い光が消え、柔らかな、朝日を思わせる温かい光が灯り始めました。

聖教国のサーバーが、私の手によって完全に「ホワイトハック(浄化)」されたのです。


「……やったわ。……これで、この世界の通信は、教皇庁の支配から解放される。……世界中のルーターは、もう誰の命令も聞かない『真実のネットワーク』の一部になったのよ」


「レティシア……!」


駆けつけたお父様とお兄様が、倒れこんだ私を抱きかかえてくれました。

画面の向こう、大陸各地の端末が、一斉にグランヴェル王国の紋章を掲げています。

教皇庁の権威は、これにて論理的にも物理的にも完全に崩壊しました。


「……終わったよ、レティシア。……君は、世界を救ったんだ」


ユリウス王子が、静かに微笑みながら、サーバー室を見渡しました。


……しかし、これで全てが終わったわけではありません。

私のL-Padに、不可解なログが流れています。

サーバーの最深部――教皇すらアクセスしていなかった「隠しディレクトリ」に、まだ「何か」が残っているのです。


(……これは? ……この暗号化の形式……私のL-Protocolでも解読できない……!?)


三歳の聖女は、勝利の瞬間に、新たな「世界の秘密」の入り口に立たされていました。

教皇庁が隠し続けていた、この世界の「本当のOS」とは……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。