7、謎の少女 現る!
「おはよ…」
えっ⁉︎ なんだぁ?
知らんヤツばかりがウロチョロしとるぞ!
なんかイベントでもやるのか?
そんな話、聞いとらんぞ。
しかし、制服は、みんな同じだ。
今時、セーラー服なんて、
この界隈じゃウチの学校くらいのもんだ。
まぁ、いい!考えても始まらん。
とにかく部室に行こう。
みんなも、戸惑ってるだろうな!
"ガラッ!」
私には、重た過ぎる鋼鉄の横開き扉が
今朝は勢いよく開いた。
アイツ、油差してくれたかな?
「うっ!誰!?
きっ、君達、何してるの?
ここ、園芸部だけど!
それに、そこ、私の席なんだけど…
定位置なんだよ。
そこも、そこも、あっ!そこは、部長の席だから…
怖いよ!怒らしたら…野獣みたいな女だから!
羊の皮を被ったメス狼だから…
狂犬みたいに噛みつかれるよ!」
アレッ?なんだ?反応なしか!
それに、なんか、みんなポカーンと、してるど…
ちょっと、待ってよ。
みんなの視線が集中してるんですけど
どう言う事…て、言うか、みんなどうしたんだよ。
どこ行ったんだよ。
いつも、みんな教室に行く前にここで
ペチャクチャ、だべってんだる。
一体どーしたんだよぉ?
「あの~、申し訳ありませんけど。
どちら様でしょうか?」
なっ、なんだ、この巨乳お嬢様風は?
「ちょっと、待ってよ!
あなた、人に名前聞く時は
自分からって言う謎の常識があるでしょ!」
ここは上から行かんと…
なんか部室乗っ取られてるっポイぞ!
こいつらに…
「そうですわね!
私とした事が失礼しました。
私は、ここ、「いざなぎ高校園芸部」で
部長を務めさせていただいております。
冬本千晴と申します。」
「ええっ⁉︎ 部長!そんなバカな!」
そんなはずない!
ウチらの部長は、こんな巨乳じゃないよ。
もっとシュッとして…
あ一っ!そんな事は、どうでもいい!
どうなってんだ?この状況は…
落ち着け。落ち着け。
それにしても、なんかおかしくないか!
ありえんだろ。こんな事。
あっ!そうか!わかった。やってくれちゃったね。
あれだ!ドッキリだ!いや待て、モニタリングか!
カメラは、どこだ?カメラ、カメラ。
何台か、隠しカメラ…仕掛けてるんだろ。
どこだいったい!
それで、どこか、別室のモニターで
こっちを見ながらゲラゲラ笑ってるんだろ!
誰が申し込んだんだ。まったく。
それにしても、よく採用されたな。
するってーと、こいつらは、エキストラか?
タレントか?しかし、見た事ないよ。
私が疎いのか!
まあ、最近は情報弱者に陥ってしまってるが…
どうする?
ここは…折角の番組をぶち壊すわけにもいかんだろ。騙されたフリしてやるか?
まぁ、あとで、お仕置きタイムを作って
みんなをヒイヒイ言うまで
こっぴどく締め上げてやるよ。
とにかく、それじゃ、騙された演技、はじめるか!
「あはは…びっ、びくりしたなぁ。
だって、突然、みんな入れ替わってるから…
異世界でも、来たのかなぁ?」
「えっ!ああ、そうかもしれませんよ。
異世界!そうですよ。
きっと、そうですよ!」
「部長!また、面白がってるだろ!興味深々か?
今の流れで異世界は極端過ぎるだろ!
彼女も、バツが悪くて
ちょっと冗談言っただけだろ。
困ってるようだから
もっと、冷静に話を聞いてやった方が
良いんじゃないのか?」
おっ!この小娘さん。中々、わかってるじゃん。
しかも部長に臆する事なく、注意喚起するとは…
ただモンじゃないな!
それにしても、なんだ?このヘアリボンは…
水色って、悪目立ちし過ぎでしょ!
「あっ、ありがとうございます。
朝、普通に起きて
登校して、校門を抜けたら
全然知らない人ばかりで…
訳が、わからなくて、凄く戸惑っています。
私は本当に園芸部員なんです。
そうだ、自己紹介が、まだでした。
失礼しました。私の名前は…」
「タッタラ~ン♪はい!ドッキリでしたーっ!
ハハハハツ!」
ええっ!やっぱりそうか!そうに決まってる。
映画やドラマじゃあるまいし、何が、異世界だよ!
そんなに簡単に行けるか!
目が覚めたら異世界なんて、耽楽すぎる。」
「ナクサ!ふざけんな。
冷静に話を聞いてやろうって言ったのは
アンタだろ!」
「ヨッシーさん!その通りですよね!
七草さん!私のこと叱責しといて…酷いです。
私は恥をかかされ損じゃないですか!」
ええ?ちょっと待って。ドッキリじゃないの?
今の一言は、おふざけ?
そんな、嘘でしょ!
じゃあ、どう言うこと
私の今置かれている、この状況?
助けて~っ!ナッシー!どこ、行ったんだよぉ!
ちょっと、今、ヨッシーって
長身モデルモドキが呼ばれてたな。
ナッシーとなんだか、カスってるな。
やっぱり、異世界なのか?ここは!
いやぁ~~〜!
「あーあ、へたり込んじゃったよ。
七海、起こして椅子に座らせて、やりなよ」
「ああ、そうだな。
七草!お前みたく華奢で軽いぞ!」
「まあ、とにかく落ち着いて頂きましょう。
お茶でも淹れますわ。
ああ、もうすぐ授業が始まります。
大急ぎで用意しますね!」
どうする。どうする!やばいぞ!
さすがの私もこの状況は掴みきれん!
一旦、帰宅しかないな。でも、どうしよう。
ウチのドア開けたら知らん人ばかりだったら
母ちゃんも父ちゃんも居なくなって
他の人間がいたとしたら…
「怖えーーよぉーー!」
「まぁ、ひどく怯えてらっしゃるわ。
はい、お茶でも飲んで落ち着いてください!」
いっ、いかん!心の声が、つい、溢れてしまった。
それにしても、優しいな。
みんな、親身になってくれている。
小娘を除いてだが…
アイツは私の、この状況を面白がってる。
しかも、それに乗っかって
何か、やらかそうとしている。
アイツは無慈悲でヤバイやつだ。
「あっ、ありがとうございます。頂きます。
あっ、美味しい!へ一っ
朝から、このお茶は贅沢ですね。
しかも学校で…」
「なんだ、わかってるじゃん!
コーヒーも美味いぞ!
どっちも最高級の茶葉と豆を
部長が厳選してるからな。
しかもお茶は家元
コーヒーはプロフェッショナルの資格取得と
この、お嬢さまは完璧を期しておるから
素人の淹れるヤツとは、一味も二味も違ってるんだ。
それを一口で見抜くとは、お主!
ただモンじゃないな。」
あら!褒められちゃったよ。
お世辞言っただけだけど...
もちろん、美味しいとは思うけど
そこまで味の違いなんてわからんよ。
なんだコーヒーのプロフェッショナル資格って
そんなのがあるのか?知らん。知らん!
「あっ、ああ、そうなんだ。部長さん。
凄いんですね。
どうりで、美味し過ぎると思った。」
「まぁ、舌が肥えてらっしゃるのね。
折角ですからコーヒーもご馳走いたしますわ!」
「わわわっ!あっ、いえ!!
ありがたいですけど、これ以上はもう。
それに、ここで落ち着いてる訳にも、いかないので
家の方に帰って見ます。」
「そうですわね。
私達も、そろそろ教室に行かないと
朝礼がはじまります。
では、私達は、ここで!
幸運を祈ります。」
何ちゅう優しい笑顔だ。この部長さん!
私が男だったら一目惚れしてしまうレベルだよ。
まっ、とにかく、取り敢えず帰宅だ。
「皆さん、おさがわせして申し訳ありませんでした。
何か勘違いだったら良いですけど…
とにかくウチに帰って見ます。
では、失礼します。」
部室の前でみんなが見送ってくれた。
相変わらず回りは知らない生徒ばかりだ。
居ずら過ぎて走って校門を出た。
「何だったんでしょうね?」
部長の疑問に七草が答えた。
「ああ、今の時期になると
ああ言うのが現れるんだよ。
受験ノイローゼって、ヤツだ。
かわいそうにな。
受験戦争の犠牲者だ。
あっ、ヤバッ!遅刻だよ!急げーーっ!
ドタバタとみんな部室を後にした。
続く




