表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界学園いざなぎ高校園芸部  作者: 桂虫夜穴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/13

6、夜中の物音

そして、夜中…



カリカリ、ポリポリ…


「おい…ヨッシー…何か、物音がしねぇーか…」


「ああ、ネズミかな…

何か、かじってるみたいな音だな…」


真横で添い寝した七草とヨッシーは

コソコン話しをした。


「スマホで、ちょっと、照らしてみろよ…

お菓子を食われてたらヤバイぞ!」


「そうだな…わかった…」


ヨッシーはスマホを手にすると

音のする方へ、スマホのライトを向けた。


「わっ!」


「ヒッ!」


「何ーーっ!」


そこには、床に座り込んだ部長の背中があった。

その姿をスマホのライトが

サーチライトの様に照らした。


「ぶっ、部長…何、やってんだ…こんな夜中に…」


部長の返事は無い。

黙ったまま、その背中が小刻みに震えている。


「どうしたんだ?」


「何事ですか?」


みんな、起きてきた。


ヨッシーが部長を心配した。


「部長の様子が、おかしいんだよ…..

んん..おかし........い…

お菓子っ!

そうだ!みんな見ろ!部長の回り!

お菓子の空袋が散乱してるぞっ!

それに、床も粉だらけだ。」


すると部長が突然泣きなだした。


「ウッワーーッ!

ごめんなさーい!

ごめんなさーい!

つい.........つい........

また、つい......やってしまいましたぁ…

え〜〜ん!」


「本当だ...やってくれおった。

大事な食料をほとんど平らげとるぞ!

こりゃ、絶望的だ。」


七草の、どうしてくれるんだ発言に

部長は更に大声で泣きながら

謝罪の言葉を口にした。


「えーん!本当にごめんなさーい!

何の言い訳もしませーん!

死んでお詫びしますぅー!

ごめんなさーい。」


そんな部長をヨッシーが諭した。


「部長…その気も、無いクセに

軽々しく死ぬなんて、言うもんじゃないよ。

アンタ、らしくないよ!

とにかく、立って…

みんな…テーブルに着こう。」


ヨッシーが部長を抱きかかえるように支えて

椅子に座らせた。

部長は、まだ、嗚咽が止まらない。


「千晴…大丈夫か…

もう、やってしまった事は、しょうがない。

謝罪の言葉も聞いたし…

後は動機だな…あっ、いかん…

変な言い方をしてしまったな。失言だ。

理由だけ、聞かせてくれ!

何で、こんな事…やってしまったんだ?」


七海が優しく穏やかな口調で部長に尋ねたが

部長は、まだ、涙が止まらない。

絞り出すような声でやっと、話し始めた。


「ううっ、うう…

そっ、それは、うう…

さっ、昨夜の…かっぱ…えびせんが…

凄く美味しくて…あの味を思いだして…

明日の…うまか棒は…うう…

どうなんだろう?って

そう、思ったら…期待感で、眠れなくなって…

少しだけなら…自分の分だけならって

そう思ったら…つい……つい…


それを食べ終わったら

今度は七海君の分なら…

後で謝れば許してもらえるかなぁ…って

その内…だんだん、やめられなくなって

止まらなくなってしまって…

また、つい…やって、しまったんですぅ~

え~~〜ん!」


「だから、もういいって

短亀ちゃんならいざしらず…

部長のエーン!は、かわいくないんだよ!

それに、いつもの、つい…なんだろ…

もう、しょうがないよ。

吐き出して貰っても食えねーしな!」


七草の諦め顔に対してヨッシーは部長を気遣った。


「しかし…まさに「やめられない。止まらない。」

だったんだな。

初めて、それを体感したんだ。

しょうがないよ。

恐るべしは駄菓子君達だ。

彼らの威力に対しては部長も完敗ってわけだ。」


「シャインマスカットにも、負けてたがな!

まっ、仕方ないか!

彼等はフルーツ界の神7

いや!センターと言っても過言ではなーい!」


七草の、おふざけに

またまた、ヨッシーツッコミ!


「だから過言だ!

それに、AKBで例えるな!

Z世代には響かんぞ!」


「ヨッシー!アンタ!さっしーの弟子の

村重杏奈にしばかれるよ!」


「アンタこそ、勝手に弟子とか決めつけて

消されても知らないよ!」


「こっ、怖えーな!

今のは、撤回だ。」


「よろしい!」


「ところで、何の話しだった?」


「バカタレがーーっ!

食糧が底をついたって話しだーーっ!


「そっ、そうだよ!ヤベーよ!

食べ物を探しにいかんとだな…

ちょっと、外に出てみるか…

夜中だし、誰も、おらんのじゃないか…

ちょっと、小窓から覗いてみよう。」


七草とヨッシーが

小窓のカーテンを開けて外を覗いた。


「あれ?」


「うん?なんか変だな…」


二人は顔を見合わせて、再び、外の景色を見た。


「ワーーッ!」

「ええーーっ!」


みんなも一斉に小窓に集まった。


「校庭だーーっ!」

「戻ってるーー!」

「うそーっ!」

「マジーーッ|」


「しかし、何で、戻れたんだ?」


七海の素朴疑間に七草!


「何で異世界に行ったのかさえ、わからんのに

そんなんわかるかっ!」


「それは、そうだな!ハハハッ!」

「はははっ!」

「ウフフッ!」


みんな、先の見えない不安から解放され

ホッとして笑いが溢れた。




"ガラガラッ!"開き戸が開け放たれた。

校舎に設置された防犯用ライトが

校庭を照らしている。

広いグラウンドには誰もいない。

園芸部員は、みんな外に出て

思いっ切り深呼吸をした。


「空気って、こんなに、うまかったか?」


七海の言葉に部長も共感した。


「そうですね。

狭い部屋に、みんなで、こもってたから

少し、酸欠だったかも…」


「新鮮なものは何でも美味いのさ!」


七草の言葉に部長が

「ハッ!」とした顔をした直後

両手で顔をおおった。

また、泣いているようだ。


「ううっ…良かった…良かった…です。

これで、食事の心配がなくなりました…

本当に良かった…です。」


「そこ〜?

飯より、元の世界に戻れた事の方が嬉しいだろぉ!」


七草の言葉の後にヨッシーが部長を気遣った。


「部長…責任、感じてたんだな…

まっ、良かったな。

これで、帳消しだ。」


ヨッシーは、そう言いながら

部長の肩を抱き寄せた。


「なんか、安心したら腹減ったな。

みんな、コンビニ、行こーーぜ!」


七海の提案に、みんな気勢が上がった。


「おう!」

「いいねー!」

「はい!」

「レッツゴー!」

「七海!ありがとーっ!」


「七草!また、オマエ!

パン買うくらいの金、持ってないのか?」


「七海!アンタ、私のお菓子食ったろ!

お礼として、私におごれ!」


「何で、奢れって命令されてるのかわからんけど

まっ、イイか!

あれで、一晩、気が、まぎれたからな!

腹の足しには、ならなかったけど…」


「七海、腹一杯食ったモンの横で

それは、キツイぞ!」


部長が真っ赤な顔をして

バツが悪そうにしたが、すぐに何か閃いたようだ。

一瞬で顔色が明るくなった。


「本当に今回は申し訳ありませんでした。

お詫びに、私が皆さんの分も

全てコンビニの支払いはさせて頂きます。

お弁当でも、お菓子でもジュースでも

お好きな物をどーぞ!

遠慮なく召し上がれ!」


「マッ、マジか…ヨッシー行くぞ!」

「オウ!」

「あっ、待ってくださーい!」

「お言葉に甘えまーす。」

「よしっ!行こう!千晴!」

「はい!」


防犯用ライトが

駆け出した六人の姿を

グランドに、長く、影絵のように映し出した。



続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ