13、許してケロ〜!
休み時間の園芸部の部室。
七草は、いつのまにかテーブルに伏して
眠ってしまっていた。
「ナクサ!
ナクサッ!起きろっ!
ナッ、クッ、サッ!」
夢の中で聞き覚えのある声がした。
ヨッシーだ。
肩を激しく揺り動かせれていた。
「ええ...う、うう~ん...
おはよう...ヨッシー..
朝っぱらからどうしたんだ?」
「バカッ!寝ぼけてる場合かっ!
シャンとしろっ!」
ヨッシーは手の平で七草の頬っぺたを包んで
真剣な眼差しで、見つめた。
しかし、その顔は、圧迫され
お多福のようになっていたので
途中で、吹き出しそうになったが我慢した。
「えっ...ええ⁉︎
あっ!ヨッシーィーー!」
七草はいきなり立ち上がると
その勢いでヨッシーの胸に飛び込んだ。
「ヨッシー…ヨッシー...ヨッシー!
会いたかったよぉ!
寂しかったよぉ!
エーン!
エーン!」
ヨッシーは胸にすがって泣きじゃくる
七草の頭を幼子にするように撫でてあげた。
「ヨシ、ヨシ、ヨッシーだ!
もう大丈夫だ。
心配すんな。」
「ここにいたか!
まぁ、良かった無事で...
みんな心配したんだぞ!
朝起きたら、七草が寝床にいないって
ヨッシーが半狂乱だったって...」
七海の言葉にヨッシーが照れくさそうに弁解した。
「いやいや、七海...
そこまでじゃないよ...」
しかし、部長はヨッシーの思いを
ちゃんと七草に伝えてあげたかったようだ。
「いえ、本当に…..
ヨッシーさんを落ち着かせるのが大変でしたのよ...
まぁ、とにかく良かったです。
ああ、そうだ..
この状態では落ち着いて話もできませんね、
とにかく皆さん、席に着きましょう。」
「そうだ!美咲は!
美咲はどうした⁉︎」
七草はヨッシーに抱きついたまま尋ねた。
「えっ、ここにいますけど...」
最後尾から部室に入ってきた。
「いっ、いたのか....
そうか...
しかし、アンタ!
校内ウロチョロして大丈夫か?」
七草の指摘に美咲は戸惑い応えた。
「いえ、そんなに歩き回ってないですよ。
マスクもしてなるべく目立たなくしてます。
それに、おトイレくらい行かせてくださいよ。
自然現象ですよ。」
「生理現象だろ!」
「そんな事は今どうでもいいだろ!
アンタ達二人の問題なのに
しょうもない事で押し問答しとる場合かっ!」
「ヨッ、ヨッシー!その通りだよ!
私!パラレルワールドに行ってたんだよっ!」
「ええーっ!」
「何一一っ!」
「マジでーっ!」
「マジだよ!」
「じゃ、じゃあ
部員とも、あったんですか?
向こうの園芸部員とも?」
美咲が興奮して七草に詰め寄った。
「ちっ、近けーよ!
まぁ、しょうがねーか!
ああ、合ったよ!
みんなアンタの事心配してたよ!
部長さんなんか
「私の事ペチャパイって
言いふらかしているのじゃないかしら」
…って心配してたよ。」
「ナックッサッ!(怒)」
「は、はい...ヨッシー...わかりました。
ご両親も心配されて捜索願いを出したそうだ。
ウチは?
私の捜索願いは?」
「それは、これからの話だった...
ご両親にも、まだ、連絡していない。
昼休みに、みんなで相談するつもりだったんだ。」
七海の言葉に七草はボソッと応えた。
「そっか、やばかったな…
お縄になるところだった…」
「指名手配じゃないぞ!
何か、犯罪にでも、手を染めたのか?
心当たりがあるのか?」
七海が七草の溝落ちを貫くような質問をした。
「うっ、そっ、それは…..
あちらで、つい…
冷蔵庫の「まるごとバナナ」を...」
「食ったのか⁉︎ 」
ヨッシーの躊躇なき鋭いツッコミ!
「ああ~ごめんなさい!
朝飯くってなかっただよぉ~
空腹が私の理性に襲いかかっただよぉ
許してケロ~ッ!」
七草はテーブルに伏して謝罪の言葉を叫んだ。
「どこの方言だ!
カエルかっ!」
さらにヨッシーがツッコンだ後
七海が落ち着いた口調でまた、質問した。
「無断で食ったのか?」
「つい〜〜っ!」
七草が悲痛な叫び声を上げた。
「それは、部長の悪癖だ。
真似すんな!」
「ヨッ、ヨッシーさん…
それは、すいません。
悪い影響を与えてしまいまして...」
「あっ、いや、部長...
そんな、つもりじゃ...って何の話だ。
いつも、こうなんだからっ!」
「ヨッシー!パラレルワールド...だろ....」
七海の指摘にヨッシーが本題に戻った。
「そっ、そうだった...こっちは、何とかなったが
美咲さんが、なっ...
まだ、まだ、問題、山積みだ。」
「私と入れ替わりで
美咲も向こうに戻ってるんだとばかり思ってたよ。
そんな、うまい話はないか...」
「そこは、残念だったな。」
「そうだな。」
続く




