47.いいものを買いたいです
西門の方はあまり来たことがなかったがこっちも東門と変わらず活気があり出店もある。
朝ご飯も食べずに来たのでそういえばお腹がすいている。
せっかくなので屋台で昼食を頂くことにして、色々見回ってみる。
「シロークは何か食べたいのがあるか?」
「シャンシャン」
小声で聞いてみるとどうもパッと見ではお気に召すものはなかったようでフードの下で首を振っているのがわかる。
それならなんでもいいかと、ウルフの肉を串に刺して焼いたものとパンを買って近くにあったベンチに座って食べる。
シロークも気になるものがなかっただけでウルフの肉を差し出せばコソッと食べていた。
フードを被っているおかげで周りからは俺が食べているように見えるはずだ。
パンは柔らかくて美味しかったので食べ終わった後にまとめ買いをしに行ったら売りに出ていたおばちゃんにびっくりされた。
地図によればこの辺のはずなんだけどな……
ギルマスに貰った地図は道まで細かく書いてる訳では無いのでなかなか見つからない。
もしかしたら店の看板とかでてないのかな?
もしそうだったら見つけるのは困難だ、ここら辺かなと思ったところをうろちょろしているとふと小さな小道か目に入る
建物の間にあり昼間なのに薄暗く人気のなさそうな小道で期待せずに入ってみれば
「あった…」
小道に入って少し歩いたところに看板があり『イッシュ工房』と書かれている。
ギルマスに紹介された店と同じ名前なのでここで間違いないだろう。
あかりもついてないので開いているのかも分からないがとりあえず入ってみようと店のドアを開けようとすると不思議な光景が目に入る。
建物の壁にはたくさんのドアがついている、大きさが全て違っておりすごく小さいものや少しだけ小さいもの隣にはギルマスより大きな扉もある。
これ全部おなじとこに繋がってるよな?
どのドアも並んでいるのでそれぞれ別の部屋につながっているということは無いだろうけどオシャレにしては大きさ以外普通の扉だし意図がいまいち分からない。
もし違う部屋だったら謝ろうと考えながらとりあえずいちばん普通の扉を開くと扉からベルの鳴る音がした。
扉の中は明るく壁側には時計や置物などアンティークが沢山置いてある。
正面の方には小さなカウンターもある
ここであってるよな?
雰囲気的にも普通の家と言うよりは店のようだし後ろを振り返れば先程あった沢山のドアが全て繋がっている。
ドアも売ってるってことかな?
「はいはーい、今行きますね〜」
カウンターの奥から声がしたと思えば髪と目が赤い若い女の人がでてきた。
「おや、普通のお人ですね。いらっしゃいませ、本日は何をお探しですか?」
普通の人?
よく分からないことを言っているしなんかこの人の魔力の流れが変?
気になることは多いがとりあえず目的のものがあるか聞いてみる。
「あの、ギルマス…冒険者ギルドのダクマって人にここを紹介されたんですけどここにはベットとか家具とか売ってるんですか?」
パッと見では小さい置物が多く家財が売っていそうな感じはしない
「ええ、取り扱ってますよ。現物は大きかったり量があったりしてかさばるので全てアイテム袋に閉まってるんですよ」
ちゃんと家具も売っているようで安心だ。
もし売ってなければギルマスにパンチしなきゃいけないとこだった。
テーブルや椅子なども買うつもりなのでそう伝えると奥からたくさんのアイテム袋を持ってきてくれる。
「この中に沢山入ってるんで見せていくので気に入ったのがあれば言ってくださいねー」
そこからはしばらく色んな家具を見せてもらい女性の口車に乗せられたとこもあり思っていたよりも買い揃えてしまった。
まぁ、お金は沢山あるし邪魔ならアイテム袋に入れておけばいいので問題ないけど
買うものも決まり女性が会計と荷物をまとめててくれて暇になった俺は気になることを聞いた。
「そういえばなんであんなにいろんな扉があるんですか?」
「あぁー、お客さんたくさん買ってくれたし特別に教えてあげますよ。いい人そうだし」
まぁ、普段の売上がどんなもんか知らないが今日の売上でしばらく遊んで暮らせそうなくらいは買ったな。
「お客さん、異種族の方々ってどう思います?」
意外な質問だ、別に俺のことがバレてということでもなさそうなのに
「どう思うって言われても別にどうも?知り合いに何人かはいますけど」
ボックさんやエリ、俺と違うという意味ではそこら中にいる人たちだって異種族だ
「おぉー、既に知り合いがいるんですね。やっぱりお客さんも人ではないです?」
「たまたまですよ」
怪しむような目線を向けられたのであくまで淡々と答える
「はは、まぁそう言われて、はいそうです。とわ言わないですよね。でも私は確信してますよ?」
「何の話ですか?」
バレてる?ここまで話してた内容では怪しむところはなかったはずなのに急にどうして?
部屋の中に少し剣呑な空気が流れる
「仕方ないですね、お客様のために私が一肌脱ぎますか」
女性はそう言うと後ろを向き突然上着を脱ぎ出す
「は?!」
俺はいきなりのことですぐに目を手で覆い隠す
「はは、そんなに慌てなくてもいいですよ、背中のものを見てほしいんですよ」
女性は笑いながら言ってるがそう言われてもと思いながら少しずつ見ると女性の背中が顕になっていて恥ずかしくなるが背中に大きな赤い石がついてるのが見えた。
「なんですか、それ」
女性の素肌には似合わない拳ひとつくらいある透明感もある大きな赤い石が背中に完全に引っ付いていた。
女性は「よいしょ」と言いながら服を着直してこちらを向くと自己紹介をしてくれた。
「私はイッシュ工房のオーナーのアイン。大昔にあった帝国に作られた人造人間なんですよ」
人造人間!
言われてみればこの人の魔力は中心のあの石から流れていて最初に感じた違和感の正体がわかった。
「その扉は色んな種族の人が入ってこれるようにしたんですよ。ちなみにそこは裏口で大通りの方に別店舗で一般向けのお店もありましたよ?」
色んな謎が一気に溶けるがいちばん重要なことを聞けていない。
「それよりどうして俺が人間じゃないと?」
ここだけはしっかり聞いておかないと今後こんな調子でバレてしまっては困る
「そりゃ簡単な話ですよ。そんな歳の子供でこんな大金持ってる子はなかなかいないし、私より強い人初めて見ましたし」
お金は貴族や商人ならまだ持ってるだろうだろうけど強い?
「強いって俺は何もしてませんけど?」
「それくらい見れば分かりますよ、体の動きや魔力の流れ、総量全てが桁違いですね。こんな種族見た事ないんですけど」
そりゃ俺だって師匠以外の魔人とはあったことがないし、師匠も何回かはあったことあるみたいだったがそう多くはなさそうだった
「心配しなくても私が魔力視が得意なもんでわかっただけで他の人にはバレないと思いますよ」
どこまで信用していいか分からないがバレてしまったものはしょうがないので念だけ押しておく。
「他の人に言ったら後悔しますよ」
「こんな太客の情報は漏らさないですよ、それよりお客さんの名前もそろそろ教えてくださいよ」
確かに女性に名乗ってもらった以上こっちも名乗らないと不公平か。ただ信用しすぎるのも問題なので種族だけは伏せておく
「コハクです、冒険者をやってます。種族はまだふせさせてもらいますよ」
「コハクくんですね、よろしくです。種族も私が知る限り候補が二つくらいなので別にいいですよ」
魔人はおとぎ話にも出てきたりするので数こそ少ないがそこまでマイナーでは無いので魔力了解が見えてるならバレている可能性もあるけど確定しないことが重要だ。
それより人造人間なんて初めて聞いた。少なくとも師匠からも聞いたことは無い
「あ、もちろん私のことも秘密ですからね」
「それは、もちろんですけど」
「気になるのはしょうがないですね、でも私も自分がどうやって生まれたのかはよく分からないし私を作った帝国はとっくに滅んでいるので説明しようも無いんですよ」
俺のを秘密にしてるのでアインさんことをいうわけはないが俺が人造人間がどういう種族なのか気を使って教えてくれた。
分からないということ以外は何も分からなかったけど。
「異種族の方は人目を避けて行動しますからね、ああいうくらい小道をよく通られるんですよ」
なるほどそう考えれば色々理にかなっているのがわかる。
どうも俺が見ていた地図は大通がひとつズレていたらしく表通りには普通の店がたっているらしい。
「異種族同士よろしくお願いしますね」
「よろしくお願いします」
お互い握手をして会計も終わり荷物も全て俺のアイテム袋に入れて扉に手をかけ出ようとすると
「次は首元のヘビちゃんのこともおしえてくださいねか」
師匠の作ったフードからシロークの魔力が見えた!?
どうやらアインさんの魔力視は師匠と並ぶレベルのようだ
「また来ます」
「シャーン」
シロークも自分がバレたことに気づきフードから顔を伸ばして気まずそうに挨拶をする
そのまま扉を開け外に出るとくらい小道に出る。
なんか部屋の空気感もアインさんも独特な空気感があって少し疲れた。
「今日はもう帰ろうか」
「シャーン」
本当はお皿やタオルなど細かいものも買って帰ろうと思っていたがどっと疲れたので今日はもう帰ることにした。
家に着く頃はまだすこし日が顔を出していたがあと一時間もすれば沈みそうなくらいだ。
フライパンなども買っていないが家のキッチンにはオーブンがあったのでそこを洗い直して簡単にお肉を焼いてシロークと食べた。
寝るには早いのでシローク軽く掃除をしながら買った家具を置いていく。
ベットはもちろん昨日眠った部屋に置き家中の窓にはカーテンをつける。
シロークもいるし個人情報を守るのは大事だ。
掃除や家具おきなど始めてしまうと凝ってしまい終わる頃にはいつもならもう寝てる時間だった。
今日もシャワーだけを浴びて念願のベットでようやく眠ることが出来た。
アインさんのところに売っていたものの中でも特に良い奴を買ったので凄いふかふかだ。
シロークも気に入ったようで体を沈めながら気持ちよさそうに目を閉じている。
「おやすみ」
「シャーン」
俺もベットに体を沈め星を眺めているといつの間にか眠りについていた。
明日は何しようかな
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