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魔の増す間に  作者: 負けうさぎ
異世界生活の始まり

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26/50

24.寝る前の食事は程々にしましょう

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします

宿屋の窓から朝日が入り込む。

鳥も目を覚ましたのだろう、先程からちゅんちゅんと鳴き声が聞こえてくる。


きっと今窓から外を見ればいい景色なんだろうな……


俺はこの世界に転生して師匠からコハクという名前も授かり初めての街で事件に巻き込まれたりと色々あったが今何をしているかと言えば


「集中力が切れてるよ、あと少し辛抱しなさい」

「はい」


勝手に一人で黒幕のひとりを始末しに行った罰で帰ってきてから四時間ほど魔力感知の修行をさせられている。


宿屋に帰って昨夜のことを報告したらそれはもう怒られた。

声を荒らげるような怒り方ではなく静かな怒りでしかも笑顔のはずなのに般若に見えるという高等技術を駆使して怒られた。


前世と合わせれば一般的には高校は卒業位の年齢はあるのだが怖すぎて泣きそうだった。

正直ちょっと泣いた……


それから一時間ほど説教をくらった後、罰として魔力感知の修行をつけられている。


これが自分の魔力を操作しながら人には無い第六感を鍛えるようなもので体力も気力もゴリゴリ削られる。

色々あった後というのもあってすごくきつい。


師匠も魔獣の群れを追い返したりエリたちの治療なんかで疲れてるはずなのに俺に手本を見せるようにずっと同じように魔力感知を見せてくれている。


しかし、魔人というのは凄いものでこうして習ってしまえば自分でも面白いようにみるみるできるようになる。

実際数刻前に会った黒いモヤのようなやつがいるのならこの技術は早めに会得しておかなければならないというのもあり、集中はすることが出来た。


「よし、終わっていいよ」


その師匠の合図で俺はベットに倒れ込む


「ふわぁ、疲れた。疲れました師匠!」

「お前が勝手なことをしなければ家に帰ってからでいいかと思ってたんだけどね」

「うぅ、でも魔人の体は本当に凄いですね。一日でだいぶ習得出来ましたよ」


ウルバとかいう魔法使いは俺の魔力が見えてなかったあたり魔力感知はそう簡単なものでは無いのだろう。


「いや、それに関してはお前の元々の素質だな。魔人は魔力が多く体が頑丈というだけで別に技術の習得にそこまで他の種族と差は無い」


そうなのか、てっきり魔人という種族の恩恵なのかと思っていた。


「前世で暗殺という仕事をしていた事で気配を感じ取る力は元々備わっていたんだろう」


なるほど、ここで前世の経験が生きていたのか


「でもこれであの黒いモヤの気配も察知できるんでしょうか?」


元々気配を察知する能力はあった、それでもあのモヤには何も感じなかった。


「さぁね、私は見てないからなんともね」


しかし師匠はどうもその事に差程危機感も疑問も抱いてなさそうなのは何故なんだ?


「師匠は怖くないんですか?今この瞬間にもあの黒いモヤは来るかもしれないんですよ?」


どこから来たのかも分からないのだ、ここに今来てもおかしくは無い


「大丈夫よ、絶対私の方が強いからね。そんなことより早く食堂に行ってご飯を食べるよ」


一体その自信はどこから来るんだ……


この人には謙遜とかないんだろうな、と思ったがそんなこと言って機嫌を損ねても困るので絶対言わないけど……


「ちょっと待ってください!すぐ準備します」


とりあえずお腹が減っているのは間違いないので急いで食堂に行けるようまたローブを被り支度をする


「行きましょう、修行のせいかものすごくお腹が減りましたね」

「私も今ならおかずを一人で一皿食べられそうだよ」


師匠とふたりで食堂へ向かうとまだ朝が早いこともあってか他のお客さんはちらほらといる程度だった。


食堂にいた店主にメニューを告げると手が空いていたのかすぐに料理が運ばれてきた。


ちなみに今日のメニューは俺がパンとサラダと赤身魚の煮付けだ、師匠はサラダとスープに白身魚のフライを食べていた。


いつもであればおかずは二人で半分こしていたのだが夜中に沢山活動したことと修行で疲れていたこともあり二人ともお腹がすいていたため一人ひと皿も食べた。


しかしここの料理は相変わらず量が多いので食べ終わる頃には二人して少し苦しかった。


食事も終わりそれぞれ果汁のジュースを飲みながら今日の予定を確認する。


「そういえば今日は冒険者ギルドに行くんですよね?」

「あぁ、ダグマに頼まれたからね。確認することもあるんだろう」

「次は師匠も一緒に中にはいるんですよね?」

「そう根に持つな、おかげでDランクから始めることが出来たろ?」


前回は師匠が一緒に入ってくれなかったため絡まれることになったからな。

いや、師匠もパッと見は綺麗な女性だから一緒でも別の理由で絡まれてたかも……


「この街はいつ出るんですか?もう用事は無いですよね?」

「そうだね、今日の冒険者ギルドでの話次第なところもあるけど明日か明後日くらいには帰ろうかね」

「なんだかたった数日なのに長くこの街にいたような気がしますね」

「色々あったからね」


まさか初めての街で事件に巻き込まれるとは思ってもいなかったしな……

師匠も遠い目をしている。


「あれだね、転生者いるところに事件ありというのはよく言ったものだね」


遠くを見ていた師匠がふと訳の分からないことを言う


「なんですかそれ?」

「昔からある言葉だよ、転生者ってのはどうもやたらと厄介事に巻き込まれるらしくてね、そんなことも言われてたんだよ」


転生者というもの自体、世間からは眉唾程度にしか思われてないのにそんなにことわざがあるのか。

しかし失礼な話だ。


「別に俺がなにかしたわけじゃないですよ」


そう、俺は何も首を突っ込んだわけでも企んだ訳でもない、完全に巻き込まれたのだ


「だから巻き込まれ体質だと言ってるんだよ、これからもきっと色々なことがあるよ」


そう言いながら師匠は楽しそうに笑いながらジュースを飲む。

俺としてはのんびり料理でもしながら過ごしたいんだけどなとも思ったが


「それも悪くないかもですね」


前世では誰かを助けたりするなんてことは無かったし感謝されることなんて当然なかった。

今はボックさんという一緒に戦った人もでき、ギルドマスターからは心からのお礼を言って貰えた。


しかし前世との一番の違いはなんといっても師匠の存在だろう。

こんなに俺の事を信頼して大事にしてくれる人は今までいなかった、怒ったら怖いが。


それを考えたら何があっても大丈夫な気がした。


その後のんびりと果汁のジュースを飲んでいると宿の客らしき人達がどんどん食堂に来たので俺たちは部屋に戻り一旦軽く睡眠を摂ることにした。


修行のせいで寝ていなかったのでベットに潜ればすぐに眠りにつくことが出来た。


「ハク……コハク!」


ゆさゆさと体を揺らされ名前を呼ばれる。

ぼんやりと目を開くと師匠の顔があった。


「ほら、起きなコハク!冒険者ギルドに行くよ!」

「ふぁい」


目を擦りながら何とか体を起こすと窓から見える日はもう傾き始めていた。


「よく起きれましたね師匠、ふぁ」

「私には起きたい時間に目が覚める魔法なんてものもあるからね」


なんだそれ羨ましい


嘘かほんとか分からない師匠の言葉を聞きながら顔を洗い出かける支度をする。


「そんな魔法あるなら教えてくださいよ」

「はいはい、帰ったら教えるからとっとと準備しな」


師匠は俺を起こす前に支度は終わらせていたらしく、のんびり窓際にある椅子に座りながら優雅にお茶を飲んでいた。


俺はそれを傍目に見ながら急いで準備をする。


もう少し早く起こしてくれてもと思ったがギリギリまで寝かせてくれていたのも師匠の優しさなんだろうと思う。


その後すぐに支度は済み冒険者ギルドへ歩いて向かう。

道中やたらと衛兵が多くすれ違ったがきっと昨日のことで色々調べているんだろう。

領主の息子が殺害されるということもあったのだ、いつも通りとは行かないだろう。


しかし特に声をかけられるようなことも無く冒険者ギルドにはすんなりと着くことが出来た。


「また絡まれたりしませんかね?」

「冒険者になったんだ、その時は頼んだよ」


ニヤニヤとした表情でそういう師匠にげんなりとしながら扉を開こうとしたその時。


「ぬべらば!」


扉を壊しながら冒険者ギルドの中から人が飛んできた。



この扉多分俺が壊したのをせっかく直したんだろうに……


そう思いながら人が飛んで言った方向を見ると冒険者らしきがらの悪そうな男が頬に殴られたようなあとを残し気絶している。


「師匠、既に面倒くさそうなんですが」

「そうだね……」


絶対に中で何が起こってるんだろう事が確定してしまい流石に俺も師匠も帰ろうかなと考えていると大きな声が聞こえてきた。


師匠の顔を見ると仕方ないとばかりに首を振っているので俺も渋々と中に入る。




はぁ、もう帰りたいな……


今回も読んで頂きありがとうございます。

どんな評価、感想でも励みになりますので良ければお願いします。

次回も是非よろしくお願いします( ´ ▽ ` )

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