15.隠し事も楽じゃないです
すみません、熱が出てダウンしてました。インフルが最近は流行ってるそうなので皆様も体調にはお気をつけください
ガルニを倒したあと俺たちはそのまま広間の奥にあった扉をくぐり通路を歩く。
なんだか少し獣臭が漂っている。
途中にある部屋も調べながら行くのでなかなか時間がかかる
そこで気になったことを聞いてみる
「ボックさん、すごい強かったですね。以前は冒険者かなにかされてたんですか」
「実は本屋を開く前までは冒険者をしている時期がありまして」
「ギルマスと知り合いなのもその頃ですか?」
「えぇ、ダグマさんと彼の奥さんのラビッテさんとは現役の頃一時期パーティを組んでいましてね。その頃の縁で今だにお世話になっているんですよ」
元パーティーメンバーだったのか、にしてもボックさんはお世辞にもガタイがいいとは言えない、あのギルマスと同じパーティとは
「ふふ、意外でしょう?こんなヒョロそうな僕とあのギルマスが同じパーティなんて」
どうも思っていたことが顔に出てしまってたみたいだ
「すいません」
「いえいえ、いいんですよ。当時もよくパーティの凸凹具合は周りからいじられていましたから。でもとっても楽しい日々でした。」
ボックさんは当時のことを思い出しているのだろう、優しげな顔でつぶやく
「どうして冒険者を辞めて本屋に?」
あまりにも職種の路線変更がすごい
「冒険者稼業を続けるのは大変ですし、本は大好きでしたから。強いて他にも理由をあげるなら絵物語や、英雄伝を通して少しでも他種族のことを知って欲しかったからですかね」
「他種族……?」
「えぇ、コハクくんはまだ小さいからあまり知らないかもしれませんがこの世界にはたくさんの種族の人がいてそれぞれが争ったり歩み寄ったりしてこの世界を作っています」
俺は師匠に習っているから知っているし、なんなら俺自体が魔人という他種族なのだが当然それを知らないボックさんはそのまま話を続ける
「私はね、せめて今の子供たちが偏見を持たず彼ら自身を見てくれるように、そしていつかは差別のない平和な世界の手助けになればいいなと思っているんですよ」
それは、大人が語るにはなんとも夢のような話だったが真っ直ぐと話す様は眩しく見えた
「はは、なんてよくわかんないですよね。コハクくんは年の割に落ち着いているのでつい色々話しすぎちゃいますね」
「いえ、とても素敵な夢だと思いますよ。」
「ありがとうございます、もしコハクくんの身近に自分とは違う子が来ても一度友達になってみてくれると嬉しいです」
友達か……
どっちかと言えばこっちが避けられる側だからなー
まぁ、ここで嫌というのも変なので「分かりました」と伝えておくと、それだけで満足だったのか嬉しそうにお礼を言ってくる
自分が魔人だということを隠していることにちょっと罪悪感が湧き始めたので話を変えることにする
「それにしてもどこにもいませんね」
「もしかしてさっきの戦いの音で逃げ出したのでしょうか?」
「いや、複数人の子供をまとめて攫っていると考えるなら今の短時間でまとめて逃げたというのはないんじゃないですかね」
駆けつけたスタッフの話によればさらわれた子供の数は十人前後はいたはずだ。それだけの数、音もたてずに逃げるのは難しいだろう
「確かにそうですね、しかしそこまで考えることが出るなんてツクヨさんから一体どんな教育を普段受けてるんですか?」
師匠から受けてる教育?最近習ったことといえば肩の揉み方とかだ。
え?教育じゃない?いやいや、これもしっかりとした処世術だと言っていた。間違いない。シショウ、ウソツカナイ
「あはは、仲がいいんですね。ところでコハクくん気づいてますか?」
先程まで笑っていたボックさんの顔が少しだけ鋭くなる。それもそうだ通路に入った時点であった獣臭が奥に進むにつれてどんどんと強くなっていき、数メートル先にある通路の突き当たりにある扉から漏れていることが分かる
「どうやらこの先にいるのが人間だけとは限らなそうになってきましたね」
「ってことは向こうはこっちが近づいてることには気づいてる可能性が高いですね」
「えぇ、なおのこと慎重に進んだ方が良さそうですね」
番犬を飼っているのであれば当然こちらのことは主人に報告されているだろう、罠を仕掛けられているかもしれない。しかし
「いえ相手は子供相手に実験をするようなやつです、時間をかけるべきではないです。突撃しましょう」
「確かにそうですね。では僕を先頭に突入しましょう」
お互い少し緩んでいた気を貼り直し顔を見合せ準備が完了していることを確認したあと、扉を破り大きな部屋に出た
なんだこいつ……
扉を破るとそこは天井が異様に高い祈りの間のようなところでその中心には二メートルはありそうな狼のような獣が二本足で立ちこちらを見ながら唸っていた
「獣人族……」
ボックさんが信じられないものを見たようにつぶやく
「ボックさん、獣人族とはいったい...」
おそらく亜人の中の一種なのであろうが詳しくは分からないためボックさんに聞こうとした時目の前の狼は突然こちらに飛び掛り両腕の爪でこちらに攻撃を仕掛けてくる。
ギリギリのところで爪を回避し魔力を込めた足で狼の横腹に蹴りを入れるとそのまま吹き飛び壁にぶつかる
「ボックさん!こいつは一体なんですか!」
「おそらく、獣人族ですね。戦闘力は元の動物によって様々ですが見たとこあれは狼、獣人族の中で戦闘においては並ぶものなしと言われている種族です」
「なんでそんなやつがここに?!」
「わかりません、ただあの獣人意識のない暴走状態のようです。出なければ先程の一撃私にかわすことは出来なかったでしょうからね」
暴走状態?なんにせよ、目の前の相手やばいことはわかった。なぜなら今蹴り飛ばし壁にめり込ませたはずの狼は何も無かったかのように立ち上がり当たりを見回し叫んでいるからだ
「ボックさん、僕らの目的はこいつを倒すことじゃありません。エリたちの救出です。きっとあそこにある扉の向こうにいるはずです!」
「えぇ、わかっていますよ。しかし、この狼族がいる以上倒してしまわなければ安全に救出することも出来ません!それにこのままこいつを放っておけば街にどんな被害が出るか」
ボックさんの言うことはもっともだ、確かに広い町中にでも出られ先程のスピードで暴れられたら厄介だ。それならやることは一つだ
「それなら二人で急いで倒しましょう!お互いの持つ最大火力技でこいつを止めます!」
「それしかありませんね!」
お互いそれしかないと考えこちらに向かって爪を振るってくる狼の攻撃を避けながら魔力を貯める
俺は普段の練習よりも高密度の氷と炎の槍を五個ずつほど作る
ボックさんは拳に魔力を貯めている
それぞれが今できる火力の高い技を繰り出そうとした時奥の扉の方から声が聞こえてきた
「おぉっと、あまり乱暴されるとあなた方後悔することになりますよ、ほほ」
声のする方を見ると扉から半身をだしこちらを覗き見る太った男
「お前は、公園で魔法を教えていた!?」
「あぁ、そういう貴方は私をしつこくつけまわしていたストーカー様じゃございませんか、ほほ」
男の声に一瞬集中をとぎらせてしまった俺たちは再び狼の攻撃を避けながら男の方を見る、俺はまだこのくらいのスピードであれば大丈夫だがボックさんには少しキツそうだ
「後悔することになるって一体どういうことだ」
俺は男の言ったことが気になり聞き返すと太った男は扉越しでも分かるような嫌な笑みを浮かべると
「簡単なことですよ、その狼族はあなた方が探しに来たであろう子供が変身した姿なんですから」
男の口から出た言葉は衝撃なものだった
今回も読んで頂きありがとうございます。
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