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光と影のファンタジア

森の中に更に進んで行くと、霧が出てきて、不気味さが増して、何かが突然飛び出て来そうな雰囲気を醸し出していた。


木の根っこの部分やら、下草に苔がこびりついていた。ただ地面の感触は、草が生い茂っていて、意外にも弾力があって心地よい。


「ゴブリンいないわね? 見かけたって聞いて来たんだけど。やっぱり数が減ったかしら?」


スペルビアが首を傾げて、腕を組んで口火を尖らせた。


「ちょっとそろそろ帰ろうか? なんか嫌な予感がして来た。こういう時は、碌なことにならない。」


ティミが体を震わせて、スペルビアに警告した。 ノリノリで来た様に思えたけど、急にティミが、不安そうな表情になっていた。



その時、何やら足音が聞こえた。ゴブリンかな? エルフや人の足音ではない。


カサカサと、茂みが動いて、何が飛び出して来た。


皆がビクッと体をたじろぐ。目の前に遭われたものを、俺は見つめた。


それは、全身に真っ白な毛が生えていて、目を見張ったのが、頭部に一本、神々しいまでに光り輝く角が生えていた。



「ユニコーンね。脅かされたわ、害はないから無視して、もっと奥に行きましょう。」


ユニコーンには、一切構わず、スペルビアは、茂みの中を進んだ。


俺は、ユニコーンのつぶらな黒い瞳に目を奪われた。もっと見てたいけどな。残念…ユニコーンってこの世界じゃ珍しくないのかな? と疑問に思いながら、スペルビアを見失わないよう、すぐに彼女について行った。



「いたわ! ゴブリンよ!」 スペルビアが興奮しながらゴブリンに指をさして、俺たちに知らせた。



50メートルぐらい離れている所にいた。何やら棍棒の様な凶器を持っている。仄かに血の跡が見える。それがゴブリンの恐ろしさを、醸し出していた。


「本当にやるの? 大丈夫か?」


俺は、彼女の身を案じて言った。ゴブリンに油断して、殺されたら敵わないからな。


「大丈夫よ。何かあってた時の為に、ティミドゥスも連れて来たんだから。心配いらない。見てなさい! 私の強さを。」


自信満々に彼女が言った。そしてゴブリンに近寄り、魔法を放った。


「喰らいなさいデーモンインテルフェクトール!」


スペルビアの声か、もしくは、魔法のドーンと言う音で気がついたのかは、分からない。



ゴブリンがこちらに気づいて見るのも束の間、ゴブリンはもうそこにいなかった。いや、跡形も無く消えていた。魔法で完全に消滅した様だ。棍棒の破片が少しばかりその場に落ちていたから、分かった。


「はっはっはっ! どう私の力! この力であんたを守ってあげるから、感謝しなさい!」


得意気にスペルビアが言った。


「確かに凄い! 俺の魔法より強力かも。」


俺は驚いて言った。どうやら口だけの女の子じゃない様だ。ティミが見事だねと、拍手をしていた。


「ふふふ、さて私は満足。帰りましょう。」


そう言って鼻歌交じりに、スキップしながら、彼女が俺たちを抜かして、前に進んだ。


その時、ゴワッーと声がした。すぐにさっきユニコーンが現れた、茂みの中から、ゴブリンが3体一気に現れた。距離は、150メートルか。


「きゃー。」

スペルビアが驚きの声をあげて、尻餅をついた。


「大丈夫か、スペルビア」


俺は彼女に近寄り、声をかけた。


「これが大丈夫に見える? 腰が抜けたわ。ティミドゥス、弓で攻撃して。数が多すぎる。」


スペルビアが尻餅をついたまま、ティミに声をかけた。


「お…おう…分かった。」


彼は、動揺しながら唾を呑み、弓矢を震えながら手に取り、ティミが狙いを定めた。


すると更に2体ゴブリンが、3体いるゴブリンの背後から新たに現れた。 


それを見た、ティミが弓矢を落とす。


「えっ…一体何体出てくるんだよ…あ…あ。うわぁ〜。」


ティミが、突然悲鳴を上げながら、俺たちを残して逃げ出した。


「えっ…? 嘘でしょ? 婚約者置いて逃げるなんて…そんな。」


スペルビアが、失望感と恐怖で、彼女の表情が哀しみを伝えていた。体が小刻みに震え泣いた。


「別にまたさっきの魔法使えば倒せるよ。気を取り直そう。」


俺は腰をかがめ、彼女を励まして言う。


「それができたらすでにやってる…さっきの魔法一回しかまだ使えないの…早くマギも逃げて。私のせいであんたが殺されちゃったら、ヤダ、絶対嫌だから!」


彼女が尻餅をついた状態で俺を軽く手で押した。


「俺が君を置いて、逃げるわけないだろう。ゴブリンと戦うよ。」


そうスペルビアに伝え、俺は彼女を守る様に前に出た。すでにゴブリンは50メートル先にまで近づいていた。



「ちょっと、嘘…駄目よ、弱いあんたじゃ死んじゃう。なんで逃げて欲しくない人が、逃げて…逃げて欲しい人が逃げないのよぉ…ばかばか。でも…あんたと2人で死ぬのも悪くないかな。ごめん…私のせいで。」


彼女は、泣きじゃくって目を手でさすった。



俺は彼女の頭を撫でた。結構優しいところあるんだと、感心してそうした。


ふぅ…さてとやるか。緊張感からため息を漏らして、俺は人差し指をゴブリンに、向けた。


今の俺ならゴブリン5体でも、それほど脅威には、感じない。魔法の練習は、4歳から母と隠れてやっていた。その成果を今女の子を守る為に出す。


「くらえ! 閃光神指雷鳴(センコウシシンライメイ」


指先から魔法を放ってゴブリンの頭部に直撃させる。一気に光の光線を5つに分けて撃った。


見事に決まった。ゴブリン全員が仰向けになった。


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