スビアとレニスのひととき
スビアの視点
「ルナ頑張れ! そうそう…スビア~私より、ティミが強い? むー、聞き捨てなりません。私のが強いです!」
家の前の庭で、レニスが1人騒いでいる。
仕方ないので絡んでやるかと、ため息を吐いて、彼女の方に向かいあった。
すると美しい赤い瞳に、私は一瞬心を奪われた。
首を振り、咳払いをして気まずい気持ちを振り払った。
それは、レニスの可愛さに心を奪われた、そんな恥ずかしい気持ちが湧き出たから。
もちろん女の子に恋するとかじゃなくて、その可愛さが羨ましい…羨望のようなものだ。
頭を撫でてあげたいとか、仲良くなりたい、そんな感情…はっ? 私は何を考えているのだろう? 幻想だ、そんなこと。
「あんたは2番目なの。もう決まってるの。」
「2番目? 1番目は取れな言って言うんですね? ならスビアは3番目の…」
「はいー、お終い! それ以上言ったらあんたのそのお口に魔法ぶっ放す!」
レニスの唇を人差し指で指して言う。
「魔法じゃなくて、お菓子がいいです。お菓子をください。」
彼女が無邪気に両手を出して、目を輝かせて言う。
それに私は苦笑した。
「なるほど…おかしいあんたには、それがお似合いね。」
天然だと思い、口の緩みを手で隠して言う。
「お菓子とかけてます? 親父くっさ。スビアから加齢臭を感じます。」
言い過ぎだろ、こいつめ! 腹立つ感情から、思いっきり言い返してやりたい気持ちに駆られた。
「あんたの汗臭さに、男を感じるわね。女の子じゃないわ。」
鼻を摘んで私は、手を振る。
「言いますね! その口に、唐辛子入れて火が出るか試してみていいですか?」
満面の笑みでレニスが揶揄う。あんたは~楽しくなってるでしょ?
ふふ、私もだけどね。
「出るわけないじゃない。火じゃなくて、罵声なら出せるわよ。ってか、自分で試せし。」
「嫌どす、私か弱い女の子なんで。」
ん? か弱い? やばい…笑い死にそう。私は、彼女から背を向けた。
ふー落ち着け、私。駄目…真面目な表情で、ものすごいボケをかまされたら、声に出ちゃう。
ここは、心を強くもって、しっかりと言ってやらなきゃね。
「さっき自分が1番強いとかほざいてなかった?
「…はめましたね? 私のこと、罠にかけた!」
なんだって? えーと…つまり…これか?
「…どういうこと? 自分で罠に突っ込んだってこと?」
私は、強いと言って、か弱いと言ったレニスが、墓穴を掘ったのに…それを罠にかけられたと、一人でボケとツッコミをしている。
我慢ならなかった。腹を抱えて爆笑した。
「…もういいです! スビアのばかぁ!」
ふぅふぅ、笑いすぎてお腹に痛みが走った。
「そうね、私…ばかよ。レニスのばかさに比べたら、ゴミ程度なほど。それはもう、あなたは、世界ランキング2位よ。誇りなさい!」
レニスに向き直って近寄り、肩をポンポンと叩いた。
「ちょっと! そこは、世界一にしてくださいよ、せめて。2位って中途半端!」
彼女が顔を膨らませて、文句を言う。
「1番ばかは、救いようないからいいのよ。救いのある2番目のばかなの、レニスは。良かったね。」
微笑んで言った。
「全然、良くないです! とりあえずばか、から離れませんか? 私スビアのことせっかく見直したのに。」
少しがっかりした様な表情で言われた。
知らないわよ。世話が焼けるわね、まったく~。
「見直したのって言われても、あんたが勝手に私の評価してるだけでしょ? でも、ま~褒めて貰ってやるか、仕方ない。」
「ぶーなんですかそれ? 意味分かりません。もー褒めてあげないです。褒めて欲しいなら、先にいっぱいして下さい。」
「褒めて欲しくないからいい。」
突き放す様に言った。
「えー。そんな…」
風船が萎んだ様にへこんでいる、レニスを抱擁して、頭を撫でた。
「あんたは、世界一可愛い女の子で、頼りになる子よ。さっきも助けて貰ったもん。ありがとうね。」
そう言うとレニスがぎゅっと手に力を込めて抱きしめてくる。
「ふふふ、スビアが世界一可愛いですよ、私は2番目です。」
ふん、ばか。私は心で呟いた。




