ティミの憎悪とルナの友愛
「凄い音がしたけど、なんだったの?」
ティミが、自宅の部屋から出てきて、慌てて駆け寄ってきた。
魔法の爆発音は、確かに凄まじかった。
「あら、驚かしちゃったわね。魔法のお勉強中よ。ティミも参加したい?」
母の優しい声が、この場を、ほんわかとした空気にした。
「あー、僕もしたいです。魔法の勉強。」
和やかなムードだ。ティミと一緒にすれば更に上達が早まりそうだ。
その時遠くから、女の子の声が聞こえた。
「おーい! お揃いじゃないですか。」
おー、レニスにスビア…うん? 後ろにいるいのは誰?
「よく聞いてくれたわ、実は…ね。」
スビアが説明を始めた。魔族…この2人は双子の…身寄りがないのか。それでうちで面倒を見るしかないことになったと。
「ふざけるな! 魔族と仲良くしろって? 追い出せよ、僕たちが寝てる隙に殺されるかもしれないじゃないか。」
ティミが叫んで、拒絶した。
「そうね…ティミの言う通りかもね。」
母さんが頷いて、同調した。
確かにそうだけど…でも、この子達を見捨てるのは、さすがに賛成出来ない。
俺は、魔族の双子を見た。
男の子は、俯いている。女の子は、体を震わせている。このまま追い出したら、人間に殺されるだろう。
だけど、前に戦った魔族とは、雰囲気というか、敵意を感じない。もちろん隠そうと思えば出来るだろうけど。
「なぁ、ティミさすがに可哀想だろ? 身寄りがないなら、当分俺たちと言うか、母さんが面倒みるしかない。それと、なんでそんな魔族を毛嫌いするんだ?」
俺はその理由を聞いた。もちろん遠回しに母さんにも、なぜそれほど、嫌悪するのか気になることを暗に聞いた。
「僕の…僕の兄さんを魔族が殺したからだ! 魔族は生きてちゃいけない存在だ。この世から完全に抹殺すべきだよ。君や、マギのお母さんだって酷い目にあったじゃないか! もう忘れたの?」
ティミが憎悪の目で双子の魔族を睨みながら、激しい口調で訴えた。
「あんたねぇ、その魔族と、この魔族は別人格よ。ティミドゥスの言ってること、はっきり言えば差別よ。この世でエルフが悪さしたら、そのエルフが全部悪人なる訳?」
スビアがティミに言い返す。彼女のトーク力は、とても子供とは思えないほど、優れている。言い負かされる子供多数の為、距離を取られていたんだ。
レニスも聞いていて、嬉しそうに何度も頷いている。なんかスビアへの信頼感を感じる。
「あらあら、スビアに言われたわね。そうねぇ、魔族の人格を認めるのは…でも難しい問題よ。実際子供の魔族でも、平気で命を奪う種族なのは間違いないことだから。」
「そうだ! お母さんの言う通りだ。スペルビア、早く追い返せ。僕の目が汚れる。」
ティミが怒鳴って、目を手で覆う。
「あんたね、はぁ。もう私の弟妹みたいなもん。追い返すのは、認めないから。大体思ってたけど、口調がキツいのよ! 私の耳が腐る。」
スビアが言い返す。口喧嘩なら、彼女に軍配が上がるだろう。
確かに口調がキツいのは…同意するけど、2人ともなんだけどな?
ティミも言い方悪いけど、俺たちの身を案じて言ってる部分もあるだろうな。
「なんだと! 君の方がキツいよ、君の罵声は聞き飽きた。僕は認めない! …僕が消えれば良いんだろ? くっそ、後悔するぞ。」
ティミは、涙を浮かべて、この場から猛スピードで立ち去った。
身のこなしが早い、僕はティミと叫んで、心配になり後を追った。
すぐに連れと戻すから、みんなは、そこにいてと伝えた。
フォルトゥナの視点
「やれやれ、世話の焼ける男の子ねー。」
ため息を吐きスビアが言う。私達を助けてくれた女の子。
感謝の気持ちで胸がいっぱい。でも、そのせいで男の子と言い争いになってしまった。
「でも、心配…私も追いかけようかな? 進んだ方向、危険な森の方だよ。魔族が襲ってくるかも。」
レニスも、助けてくれた。恩人の女の子。
やっぱりここは、自分が行くべきだと思案した。世話になるのだから、震えて、何も男の子と話せなかった。きちんと伝えれば、きっと分かってくれる。
「レニス、必要ないわ。ティミドゥスは、あんたより強さ上だもん。襲われても、返り討ちにするでしょ。」
お兄ちゃんに行きたい気持ちを目配せして伝えた。
「私、行きます。自分の言葉で、あの男の子と話し合って、友達になれるって認めて貰います。」
私は、彼らの後を追いかけた。でも、喋り方には…自信がない。私を作った母と、お兄ちゃんとしか、ほとんど喋ってないから。
もしかしたら、口下手で上手く伝えられないかも。口調も普通…後で研究しよう。
今はやれるだけやろうと、自分を奮い立たせた。




