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母フェミナの愛と強さ

「ふふ、2人きりになりましたね。濃い話でもしますか?」


レニスが口に手を当てて頬を赤らめた。


恋の話? 俺にはそんな話無理だ。


「濃密な話です!」


濃密な…どんな話だ? 一体…何を話そうって言うんだ?


首を横に向けて考えると、母の姿を見つけた。


「あらあら、ごめんなさい。2人きりせっかくなったのに、私ってばタイミング悪いわね。」


良かった、元気そうだ。


「母さん! 大丈夫だよ、会いたかった。」


ああ、母さんが無事で本当に良かった。母に思わず抱きついた。


「まぁ…女の子の前で甘えん坊ね、よしよし。」


「良いんですよ、お母様。家族3人で話しましょう。」


「レニスは家族じゃないだろー。」


普通にツッコミ入れた。友達であって、家族ではないだろう。


「将来の花嫁というか…旦那様というか。」


気が早い。最近の子は…ませている!


「許嫁ってやつね! やるわね! うちの子供。でも将来何があるか分からないから、もう少し考えた方がいいわよ、レニス。」


もっともな意見である。確かに将来のことは分からないよな。


「はい、お母様。言う通りにします。」


「素直で偉い! でも…悪いんだけど、ちょっと私とマギね…」


「なんだ、まだいたのか! 早く出ていってもらおうか。まったくとんだ疫病神だ。魔族どもが攻めてきたのは、お前のせいだってな。魔王を封印してそのことを告げずに、住むなんぞ、騙し討ちだな。」


スビアの父親が怒鳴って言う。いつの間に、こんな近くに…気が付かなかった。


「すぐに出て行きますよ。」

母さんが不貞腐れて言った。スビアのお父さんは、ふんと鼻息荒く去っていった。


「ムカつくわねー。魔法で亡き者にしてやろうかしら?」


両手を腰に当てて、母が言った。


「母さん…ちょっと! それは駄目だよ。」


さすがに…スビアの一応は、お父さんなんだから。同族だと殺人犯にならないのかな?


「分かってるわよ、ジョークよ、半分本気だけど。」


ジョークにまったく聞こえませんでした、はい。

「埋めますか?」


レニスが母の顔を見上げて言う。


「レニス、それ良いね!」


母が親指を立てた。


ちょっ…2人とも物騒だよ。


「誰を埋めるって?」


おわっ村長いつのまに?


「気配を消す魔法でずっとここにおったわ。言いたい放題だな。私だけの意見じゃなく、村民全員一致で、フェミナとその息子マギは、この村から追放が決まってるのだ。」


気配を消す魔法…覗きとかに使ってないですよね? 村長…そんな…前世だとめっちゃ欲しがる男が多そう。



「魔族に狙われたおかげで、引っ越さないといけなくなったしな。全く家族揃って疫病神じゃ。」


ため息混じりにスビアの父が憎しみを帯びた目でいう。


「私はわかるけど、マギが疫病神? 取り消して下さい。追放と、疫病神って言った発言は。息子は何もしてない。」


はい、むしろ村を守ったつもりです。母の意見に俺は頷く。


「魔族に対抗したじゃないか。同罪じゃ。」


そう言う受け取り方もあるのか。でもそれで逃げてもよかったけど、俺たちがいなくなって、魔族も立ち去るとは、思えなかった。


対抗するのはやむを得ないよ。


「ふざけるな…何が同罪だ。取り消さないなら、この村を吹っ飛ばす。もちろん一番先はあんたの、命を消す。」


母が指をスビアの父に指して言う。ヒートアップしている。いつも村で1番美しい母の顔が、この時は、険しい表情で、怖かった。


「なんだと? そんなこと出来るはずがない。」


驚いた表情で、うろたえたように村長が言う。


「そうだよ、母さん。村長も村を守る気持ちで言ってるんだろうし。」


俺は、母さんの気持ちが嬉しい反面、村長の村を守りたい気持ちも大事にしようと言ったが、俺の言葉を母が制した。


「マギは黙ってて。出来るわよ。私を誰だと思ってるの? 魔王を封印したのよ。この村消し飛ばすくらい訳ないわ。取り消してくれるだけで良いの。」



「はは…そんな脅し、私が間に合うけるとでも?」


「簡単よ? もしかして私を聖人か何かと勘違いしてる? 格下だと思って舐めてるの? 子供が魔族と戦ってるのに、何もしないで、逃げ回ってた情けない男どもだけをやるわ。」



「くっ…悪魔め。貴様も魔族と一緒じゃ。だが…本気なら、言うことを聞くしかないようだな。」


「そうゆうこと。やっと話しが伝わったわね。」


村長が逃げるように立ち去った。


「…ふぅ。まったく母さんは。なんで脅しだよ。本当にやるのかと思った。」


俺は、ほっと胸を撫で下ろした。


「マギは甘いわねー、優男め。時には怒ってやんなきゃ、話の分かんないのもいるの。息子が何にも悪くないのに、村を追放されるなんて、我慢ならないもの。」


母に叱られてしまった。俺の為に村の人たちに怒ってくれたんだろう。母の愛情を感じて俺は、幸せを肌身に感じた。


「お母様、尊敬します。めっちゃかっこよかったです。」

レニスが拝むように瞳を輝かせて言う。


「いや…母さんが庇ってくれるのは嬉しいけどさ、村長の言い分も一理あると思う。別に擁護するつもりはないけどさ、村を守る為に追放したんだと思う。」


一応彼等にも、平和を壊されたという怒りもあるだろうから、母にそのことを話した。



「マギ、村長の言うこと一理もないからね。魔族を甘く見過ぎ。奴らが攻めてきたのは、私が狙いだった。その後は? エルフ一族皆殺しにするわよ。

それが分かってるから、私は、はっきりと言うの。」


「マギが罪悪感、感じるだろうな~って思って村を出る提案をしただけで、実際関係ないからね? 

魔族は、人間もエルフも、逆らう者は皆殺しって種族だから。」


手で目を抑えて、困った風に母さんが言う。


「魔族か。確かにそんな感じだったね。それはそうと、母さん村を出る準備しないとね。」


「マギそのことなんだけど、私もついて行くからね。」


レニスが笑顔で、当たり前のように俺に伝えた。

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