希望の光と影
俺はスビアに外に出ると告げて、彼女が頷き、私も出るわと2人で部屋から出た。
外の景色は普段と変わらず、昼の暖かい日差しが気持ちよかった。
ふと横を見るとレニスが壁に寄りかかっていた。俺に気がつくと彼女は、クスッと笑顔を振り向けた。
「おー、お目覚めですか? 待ってましたよ。」
「レニス! 俺を待っていたようだ。怪我はなかった? 魔族との戦いレニスが頑張ったから、追い返せたよ。」
右手を上げて、すぐ右手の指がないのを思い出し、右手を下げて左手を上げて挨拶した。
「怪我は、ないです。まぁ…倒せなかったのが心残りと言うか、この剣たいしたことないので、いい剣ならグサリですけどね。」
残念そうに鞘を体の前に持ってきて、引き抜き剣を見ながら悔しそうに呟いた。
「そうか、ならレニスに相応しい剣で有れば倒せたのか。頼もしいな。」
本当に頼もしい8歳だよ、彼女がいてくれて助かった。
「はい! …それより、マギのその右手の指…治せなかったみたいですね。」
すぐにレニスが気づいた…やはり彼女の観察力は凄いな。
「ああ、名誉の負傷ってやつかな。悲しんでも指は生えてこないし、諦めるよ。」
自重気味に笑顔で答えた。
「いえ! 諦めないでください。実は私に考えがあります。教会に行けば、マギの指も、師匠の石化も治せるかもしれません。一緒に行きませんか?」
そうなのか…凄いな教会って。
でも俺の指は治せても…レニスの師匠石化しちゃったんだよね? 前世の世界だと、石化したら死んでるよな。
本当に石化解除して生きてるのかな?いやいや、普通死ぬでしょ?
ドワーフだから平気? だって臓器も脳も石化してるんだよね? 治ったら…ご都合主義だぞ。
でも治らない場合…石化魔法強すぎるよな?
気になるなぁ。もちろん生きてて欲しい。だけど生きてるとしたら、表面だけ石化してるって考えたら、どうだろう? でもその場合息は出来ないし、食事も取ってない。
ええっ…謎だ。でも石化魔法そうだとすると、この村の大人達が、戦わずにみんな逃げ出すのもわかる。
「なぁ、石化って解除しても死んでたりしないよね? ちゃんと治る?」
「治りますよ。マギ知らないんですか? 石化魔法の歴史を。」
「歴史? 知らない。」
俺は首を振り、彼女をまじまじと見つめた。
俺は、そのまま彼女の話を促した。
「昔の偉い人が、飢餓に飢えた時期があって、食糧不足の為に開発した魔法です。それが魔族の手によって改良されて、魔王が危機に陥った時守る為の魔法なんです。なので本来は、攻撃用じゃなくて、保護魔法みたいなもんです。」
「うーん? でも魔王は不死身じゃん。死なないのは分かるけどさ。それにしてもよく知ってるね?」
「勉強と剣の修行は欠かさずに、毎日やってました。マギの…お役に立てる為に…えへ。」
あー可愛い。健気だな。8歳だから…ごめん恋愛対象には、ならないけど。それでも心に来るものはある。
それにしても…勉強かかさずは偉いな。俺なんて、前世は、勉強すると眠くて、全くしてなかったよ。
欠伸が止まらなくて…まぶたが重くて、うとうと…勉強出来ない前世今度は、エルフだから寝ながら勉強出来る! ってことはないよな。
おっと…それはともかく、石化解除して復活出来るか未知数だよな?
レニスは大丈夫って言ってるけど。
「マギ、私パパと話してくる。またね。」
スビアが手を振って、神妙な表情で言った。
何か気に病む事でもあるんだろうか?
「ああ、スビアまたね。」
俺は手を振ってスビアを見送った。スビアの緑の髪が風にそよいで、気品を漂わせた。
「またです。」
レニスも同じ様に見送った。




