マギの葛藤
俺は目を開けた。気絶してたのか…アリエナは…スビアが倒したんだったな。
手は…回復されてるけど…指が…ない。駄目だったのか。
「あら、お目覚め? 指ね…アリエナってやつだけ? そいつ爪に毒塗ってて、あなたの指は、壊死してて、治すのは無理だったの。」
「俺が甘かった。スビアも危険に晒してしまった。」
指を組もうとしたら、指がなかったことを忘れていた。本当になくなっちまった。それが悲壮感にさいなまれた。
「私マギの甘さ大好きだから、その甘さのせいで、危険になっても、何度でもあんたを守ってあげるから、変わらないで欲しいんだけど?」
スビアのフォローが俺の心を軽くした。甘さか。強いな彼女は…8歳に負けるなんて。
励ましに年齢は関係ないか。
「ありがとう…」
「ううん、私のわがままだね。指失っちゃたのに、こんなこと言うのもね。」
「良いさ、母さんも無事だったなら。」
俺は、ほっとして胸を撫で下ろした。
「無事よ。あんたのおかげで元気になったから。」
しかし、回復魔法はもう…使えない…攻撃魔法は、指が無くても使えるとは言え…大幅な弱体化だ。
だけど、あそこでアリエナの命乞いを無視して殺していたら、俺もあいつらと変わらないんじゃないか…そう思うと、複雑な心境だ。
もちろん手を差し伸べるのはやりすぎだったろう。スビアがアリエナにやられてたら、俺は奴らのように残酷な魔族の様になっていたかも。
そう思うと、片手の指で済んでよかった。俺は右手を見て、ため息をついた。
俺がこの世界に来たのは、友達の彼女のストーカーに殺されたからだよな。その時のことを、スビアに庇われて思い出した。
昔のことが頭の中で脳裏によぎる。
お前は優しいすぎなんだよ、だから他人に利用されるんだよ。
優しいのかな?
自覚無しかよやべーな。お前金貸して、逃げられたことあったろ?
うーん、でもそれは…仕方ないって言うか、かした俺も…悪くね? 別にそんなの優しいとは関係ないって。
…いや…逃げたやつがわりぃだろ? 金は借りたら返す。当たり前の事出来ないやつがよ。それよかそいつを責めない、お前が本当に心配なるよ。
…他人を庇って死ぬ…か。友達の言う通りだったな。でも後悔はしてない。あのあと彼女は、ストーカーから逃げ切れたろうか?
むしろストーカー野郎をぶっ飛ばせなかった、後悔はあるな。
あ…中学の時ぶっ飛ばして、大問題になった事思い出した。
友達に騙されて、無実の人を殴った過去がある。忌まわしき過去だな。
そこは俺の欠点だ。
実は違ったじゃすまないからな。
転生したからには、きちんと調べないと…勇者が俺の父親を殺した黒幕かは、念入りに調査して、もしそうなら…そうだとしたら? 俺は彼にどうして欲しいんだろうか?
…復讐する。つまり殺す…のか? 人間を? 警察に突き出して、断罪させる?
そう言えばこの世界の裁判所や、警察システムはどうなってるんだろう。
お世話になった事ないからな。この村を出たらまず図書館に行くか。この異世界に来て、7年過ぎは経ったけど、言語と魔法の練習で必死で、そこまでこの世界の事詳しくないんだよな。
あとは母に聞いた情報だけ。
まずはこの世界をおさらいするか?
スビアちょっともうちょっと横になってる。レニスは無事? 後で礼言わないと。
「無事よ。石にされたおっさんだけ、犠牲者はね。エルフ達は、戦わずに隠れてた。私の親も…くっ…後で話そう。」
レニスの師匠が…そうか、けど石化なら助ける方法はあるはず。
俺は頷いて、ベットで横になって思考に耽った。このあと村から出なきゃいけないよな、やっぱり。この世界について色々考えないと。
この世界はプロスペリタスって言うんだよな。覚えづら! 世界史の教科書みたいだ。
オクタウィアヌスって皇帝思い浮かぶよ。
プロタって名前で良くない? んでこの世界のお金、ペクニアって名前のが単一通貨みたいに使われてるらしい。もちろん他にも金はその国によって違う物はあるって聞いた。
そしてこの世界の魔法の種類
攻撃魔法これ王道。生存戦略とも言える。でも人を殺める魔法であり、そんな気軽には俺は使えない。
もちろんそれイコール、使わないってわけじゃない。
回復魔法は、人を治したり、毒やら麻痺を治す。俺にはこっちのが向いてる。
で…なんだっけ? そうそう、召喚魔法と…強化魔法と…あとは…ワープ魔法? 魔族にしか使えないんだっけ。
それから、封印魔法…神様を封印したやつだ。
時空魔法これも、神様と戦って死んだ人間1人だけが使えたんだったな。そんな魔法あれば神様に匹敵するよな。
あとは…状態異常魔法…生まれた時に使えるかどうか、まさに運ゲーだな。後天的には使えないようだ。
あとは生活を支えるその他に分類される魔法だ。
やはり俺が習得しないといけないのは、回復魔法だな。母さんの手足になる。攻撃魔法は、任せよう。
俺は考えがまとまり、ベットから立ち上がった。




