表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/33

ティミドゥス•フォルティスの過去

ティミの視点



「兄ちゃん…また出掛けるの?」


僕の家のお兄ちゃんの部屋で僕は、見上げながら言った。

僕は寂しがりながら、お兄ちゃんを引き止められないか考えた。



「ああ、冒険の旅さ。俺は親と仲悪いからな。ティミ俺にとってお前は宝だ。」


お兄ちゃんは冒険家だ。たまに帰って来るぐらいだから、友達も兄ちゃんのことは知らない。


お兄ちゃんは、僕に色々なことを教えてくれた。魔法の事、冒険であった体験…巨大なモンスターを見つけた事。


お兄ちゃんは、なんでも知ってる。僕にとってまさに英雄だった。



お兄ちゃんに憧れて、僕も冒険家になりたいと思った。不思議な木の実を発見したり、綺麗な自然の風景を見て、満喫したりしたい。



僕の自慢のお兄ちゃん。いつか紹介したいなぁ。そうしたら、こんなカッコいいお兄ちゃんがいるって、みんな驚くだろうな。



「僕も兄ちゃんが宝!」


お兄ちゃんの足に抱きついて、大きな声で言う。


「ふふこいつー! なぁティミ、俺は友達が俺のこと置いて逃げずに、代わりに死んだことがあってな。」


お兄ちゃんが僕を抱き抱えた。楽しそうな表情から、悲しみを感じさせる表情に変化した。


その友達は、僕の知っている人だろうか?

お兄ちゃんにとって、その人も宝だったのだろう。お兄ちゃんの瞳が、その人を懐かしんでいる様に訴えている。


深くは、僕は聞けなかった。お兄ちゃんのその辛そうな表情を見ると、思い出したくなさそうだからだ。



「どうしたのお兄ちゃん、いきなり?」


僕は心配になり聞いた。


「いや…お前にはそうなって欲しくないんだ。だから危ない目に遭ったら逃げろ。助けようなんて思うな…批判されてもな。2人だけの秘密の約束。」


僕の頭を撫で、お兄ちゃんが言って、僕は頷いた。


「うん、危なくなったら逃げれば良いんだね。でも逃げなかったらお兄ちゃんは、死んでたの?」


それは嫌だ。けど…お兄ちゃんとの約束は…絶対に守る。複雑な…とても心が痛む。僕は、どうしたらいいんだろう。


「もう…死んでる様なもんだ。だから危険な旅とかしてる。命だけは、助かった様なものだ。

お前が逃げても、俺は褒めてやるからな。」


お兄ちゃんに褒められるなら、していい事なんだね。



それから…お兄ちゃんが亡くなったと知らせが届いた。


その時の状況が事細かに記してあった。目撃者が多数いたんだ。


人間を助ける為に…どうして…お兄ちゃんが死ななきゃ…なんないんだ!


僕は記してあった紙を握りしめた。けど、続きが見たいから、また紙を伸ばして読んだ。



…魔族の1人に殺された。そう記されていた。

虚栄ヴァニタ・ティオ…左眼に怪我を負わせたが、生きてると書いてあった。


…こいつは、まだ生きてるんだ。こいつをやるまでは絶対に死ねない。



僕は強くなると心に決めた。

そして同い年では、誰よりも強くなった。


でも…お兄ちゃんの笑顔はもう見れない。いつも抱きしめて髪を撫でて褒めてもくれない。


僕は強くなって、人を見下す様にさえなった。

お兄ちゃんが側にいれば、それだけで良かった。


お兄ちゃんは何故僕を置いていったの。お兄ちゃんこそ逃げれば良かったんだ!


…今ならお兄ちゃんの気持ちが分かるよ。人を助けたいって気持ちが。



でも、婚約者を置いて逃げたのは、お兄ちゃんのせいじゃない…僕の心が弱かったんだ。


僕とは、それほど親しくもないマギが、僕が頼ったら、助けてくれたんだ。


マギのお母さんも、突然の訪問に快く迎え入れてくれた。そのお母さんが苦しんでる。


僕はこのお兄ちゃんの様に優しい2人を、見捨てて逃げるのは、無理だ。



だから…ごめんお兄ちゃん…僕2人を助ける…約束破ってごめんなさい。


もしここで死んだら、天国で僕を叱ってくれ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ