母フェミナ•マグナの過去
フェミナの視点
私は手を繋ぎながらとある街で買い物をしていた。
そこで大きな声を発する男の人がいた。隣には女の子が座っている。
私は気になり、母の手を離して、そちらに向かった。
「おっ…これはお綺麗なお嬢ちゃん。この奴隷、気になりますか? エルフ様、 お友達にどうですか? お買いになりませんか?」
男の人が明るいトーンで話しかけて来た。
愛想の良さそうで、それでいて心には獣を飼っていそうな、邪悪な人を食ってやろうとする獲物を定める様な眼光をしていた。
私が高そうな服着てるからだろう。お金持ちだと見抜いたのだ。
友達かー。人間じゃん。違う種族の友達か〜欲しいな〜でもお金で買う友達って…んー?
痩せ細ってる。可哀想…腹ペコみたい。お腹いっぱい食べさせたいな。
「いくらペクニア?」
私は奴隷商に聞いた。この魔法使える時代に奴隷商やってるなんて。って言っても…魔法使える人一部なんだったけ。
ハイエルフと違って、まだ人間は…そのせいで格差が凄いとか。そのせいで売られたのかな?
この子?
「ちょっと、私に相談も無しに買おうとして、この子は。」
追いついて来た、ママが息を荒らげながら、この子は目を離すと、どこかに飛んでいくんじゃないか、そんな心配そうな表情をしていた。
「ママ〜買ってぇ。」
得意のおねだり。これで拒否られた事はない。
「買います! いくらペクニア?」
即答である。愛を感じる。けど甘々過ぎる気して怖くもある…ふふ。
それから女の子を買った後、女の子と並びながら家に鼻歌交じりに帰った。
ねぇねえ貴女のお名前は? 私フェミナ•マグナ。
プルクラ•ブレヴィスです、お嬢様。
フェミナで良いよ、お友達になって欲しいので。えーとプルラ! あなたの名前愛称でプルラはどう?
ご自由におじょ…フェミナ様。
それよか、お腹空いてない? ご飯にしましょう。
お腹空いてます。
じゃあ、ちょっと待ってて。
しばらく経ち料理が完成。プルラを呼んだ。
これは…なんですか? この料理…私…食べても良いんですか?
驚きの表情を浮かべて、彼女が目を輝かせて言う。
「どうぞ。好きなだけ食べて。でも食べ過ぎには注意ね。」
プルラに促した。彼女はご飯をお行儀よく食べている。イメージで結構一気に食べると思っていたけど…綺麗な食べ方だった。
「フェミナ〜貴女はなんて、優しいの〜。ママ感動して涙が止まらない。」
大袈裟な。私はママを慰めた。
ちなみに私は、ハイエルフの姫で、母は王女。そしてここは、お城。
王女なだけあって、母は天然…と言うか変わった性格だ。
とはいえ、私はもっと変わった性格だ。気まぐれなお姫様と陰口叩かれるぐらい。
それから2年の月日が流れた。
私とプルラの2人お城の庭で、レモンティーを飲んでいた。
お花が綺麗に咲き誇り、自然の芝生があたり一面緑に染まって、寝そべりたくなるほど、柔らかい毛布の様だ。
座っている何者にも染まるほど、白い椅子と前にある机が、緑の草と対比をなしている様に、バランスの取れた見栄えになっている。
「プルラ〜大好き! ねぇ、プルラってなんで奴隷にされちゃったの? 私、プルラのこともっと知りたい。」
「私生まれつき体が弱くて、ママも体弱くて死んじゃって。パパが再婚したら、即売られたんだ。辛かったけど。でも、今はフェミナと知り合えて幸せだよ。」
プルラがにっこりと微笑んで、私をぎゅーと抱きしめた。
彼女の温もりで、生きてる喜びを実感する。
「私もプルラと知り合えて幸せだよ〜。優しくて、器用で、可愛くて、頭がよくて、話が上手で、性格全部好き!」
私は手を広げ、プルラの良い所を、親指から数えるように折る。
「一個性格じゃない様な〜。私もフェミナの良いところあげないといけなくなったじゃん。
えっとぉ、ドジな所と、甘えん坊で、だらしないとこと、落ち着きがないところと、飽き性なところが全部好きだよ。」
「一個も褒めてないよね? この〜。」
「えへへ。」
「えへへじゃなーい。もーう。」
プルラの頬を軽く掴んだ。プニプニして気持ち良かった。
「だって、本当に良いところあげだしたら、キリがないもん。」
その言葉に私は頬が染まるのを感じた。もう、
なんだよー。
「フェミナと、色々な国回りたいな〜。フェミナ、お姫様だから無理なんだろうけど。」
「他の国に挨拶ぐらいは行くけど、あまり頻繁じゃないね。いつかは、行きたいね。」
レモンティーをすすり、パパとママに頼んでみようかとも考えた。
「ずっと友達でいてくれる? フェミナ。」
鳥の鳴き声がプルラの声と重なって聞こえた。
「もちろん。永遠に友達だから!」
私は力を込めて言った。
それから一年後、私は病院の一室でプルラを見守っていた。
レンガの地面に、ベットが置かれていた。
毛布に包まれて、プルラが横たわっている。
ハイエルフの医師の必至の治療も、実を結ばなかった。
彼女は、1ヶ月前に流行病にかかってしまっていた。元々体が弱いプルラ。普通の人はそれほど重い症状にはならない場合があると、医師から伝えられていた。
そろそろ覚悟しなければいけない、いつ亡くなっても…おかしくないと…それを聞いて私は、生きた心地がしなかった。
目の前が真っ暗になった。大切な人がいなくなる…それは私にとって…エルフという不老である自分には、初めての経験だった。
「私…もっと生きて…たかった…私の夢ね…フェミナと楽しい旅行する事だから…さ。」
プルラが弱々しくも、それでいて美しい声で私を見つめた。その目は愛に溢れていた。
誰もが彼女の瞳を見れば、愛情深い女の子だと思うだろう。
その夢に今すぐにもでも、答えたいと私は考えた。
「何言ってるの…生きて2人で絶対世界を旅行しようよ。」
彼女を励まして、私は泣くのを我慢して、勤めて明るく言った。
プルラと一緒にお買い物に行って、お揃いの髪飾りを付けた思い出。楽しかった日々が想像で広がる。
絶対に叶える。確信に近い気持ちで私は彼女と約束を結んだ。
「うん…絶対…だよ。でも…守れる…かな?」
彼女がそう言うと、ベットから手をぶらりとさせ、目をゆっくりとつむった。医師が首を振り、無念そうに亡くなったことを告げた。
「プルラ…? ねぇ…嘘だよね? やだよ…私をおいて…言っちゃ…だって私ハイエルフで…ずっとこれからも生きていくんだよ? そんなの寂しいよ…うぅ…あぁ。」
我慢の限界だった。私は嗚咽をあげて泣いた。
何故彼女が亡くならなければならないの?
誰か教えて。彼女が何か悪いことをしましたか?
私は、心で怒りの感情を激しくぶつけた。
彼女の顔は、ただ眠っている様に穏やかだった。お疲れ様プルラ…頑張ったね…ゆっくり休んでね。
自分は見ているだけで、何も出来なかった。その悔しさが、私にある決意を固めさせた。
もっと生きていたい。プルラの言葉が、胸に突き刺さったからだ。もっとプルラと沢山の思い出を作りたかった。
短いよ…あぁ。私はプルラとの楽しかった思い出が、私の頭の中で駆け巡る。涙が溢れて止まらない。
私…攻撃魔法しか使えない…から。誰よりも回復魔法勉強して…どんな病気も治せる魔法…プルラみたいな子助けれるようにするから…天国から見ててね。
…そうだ。生き返らせれる魔法編み出せば、またプルラに会える。そしたら世界旅行しようね。




