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75ある日突然

 ピンポーン


 大学生が来た。


「お邪魔します。自転車は家の前に置いていいですか?」


「いいよ」


「これ、お礼にいただいたお金で買ったシャンパン」


「ガリバー君と違って礼儀正しい青年ね」


「華子さん、いらんお世話や ほっといて」


 まずは、大学生の持ち込みのシャンパン、福ちゃんはりんごジュースで乾杯の音頭を殿様に任せた。


「大学生、大学院に進んだ事のお祝いとして一言・・・・・長すぎるので割愛・・・・・乾杯」


 卵を用意の前に福ちゃんは生卵を見て怖がってはいけないから、あらかじめ全員分を解いた。


 折り紙大のすき焼きの飛騨牛は霜降りで口の中で噛まずにとろける。


福ちゃんは一言


「オジサン、こんな牛肉初めて食べた。美味しい」


福ちゃんはじめ殿様、大学生、全員満足し、〆のうどんに差し掛かって、僕はみんなの話が聞こえなくなって、テレビの画面が消えたように意識がなくなり、テーブルにへたり込んだ。


「ガリバー君、もう。酔っ払って、しっかりして」


 大学生が、華子に言った。


「ガリバーさんを動かしたらダメだ!早く救急車を呼んでください」


 救急車到着のち僕はICUに運ばれた。華子が


「ガリバー君、しっかりして!あなたは私の生きがいよ!」


 僕の手をしっかり握りしめた。


 華子の手を握ったのは初めてで、暖かく、涙に濡れていた。


看護師さんが入り、状態を伝えた。


「心拍数が異常に上がってますね。これ、最後のラストスパートなんです」


「ガリバー君!もっとゆっくり走りなさいよ」


華子の応援も虚しく僕はゴールのテープを切った。心電図の波は凪になり、音が消えた。


福ちゃんが大声をだして僕を呼びだした。


「オジサン、どこにいるの」


「あの世だよ」


「シャカシャカ、オジサンのところに連れてって」





福ちゃんに風が吹き、砂が吹き飛ばされるごとく消え去った。

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