74ある日突然
今日は楽しいすき焼きの日。
ガレージのシャッターが開き、チャイムが鳴り、そこには華子さんが居た。
「ガリバー君、手伝って!早く、車どけなさいよ。沢山の荷物があるの」
とりあえず、いつも僕の軽ワゴンを隣のコインパーキングに入れて、華子の外車を僕のガレージに。
僕は華子さんの髪をアップにした和服姿と、うなじに見とれてしまった・・間髪入れず華子は僕に注意した。
「ガリバー!どこ見てんのよ!」
「いや、いつもと違うもんで」
「まぁ、どこ見てんのよって、前からこのセリフを考えてたの。今日はおめかししたんだから、美容院に行ってきたのよ。どお?」
「ビックリというか、輝いてます」
「まぁね」
「ガリバー!食材を入れなさい。私、今日は和服だから、アンタ、働くのよ」
華子さんは僕に命令口調のち、かっぽう着をを羽織った。
なるほど、和服は汚れちゃダメだもんな。
華子は保母をしてる時、僕の母親から着付け、フランス刺繍、料理を習いに遊びに来た。
保育園では園児のスモック、シューズ入れにフェルトなどでアップリケをお袋と創作したり、優しい先生と云う一面もあった。
「ガリバー君、食材は岡山の農協の部長さんから私に送られた物ばかりだけど、見て、最高級の物ばかり」
何だ!マスカットのお化け桃太郎ジャイアント、ネギよし、玉子よし、肉よし、全部よし!
話に聞くと農協の部長は華子にメロメロで、フラワーサン岡山はアンテナショップ第一号店として最高の食材を配備し、従業員はリストラ無く、フラワーサンで働く。安価で街中の噂の店舗になっているらしい。
「ガリバー君!〆て¥50.000。売上ありがとうございます」
「華子さん、サンプル品でしょ」
「私、知ってんだから、お父さんの古銭をくすねて、お金有るって聞いた。罰当たり、親不孝者!お財布見せなさい・・・毎度ありがとうございます。アンタにまだ借金あるんだからこれくらいの事をしてもいいじゃない」
金を貸してるのは僕のほうだよ。
「それと、今日は私、お連れがいるの。決して邪魔しないからって言うからしょうがなかったの・・」
「華子さん誰?」
「殿様」
「今日の主役は大学生。殿様が来れば、台無しになる」
「ガリバー君、あれから殿様の電話があって、すき焼きと言えば殿様やって言い張るのよ。で、場所を聞かれて、ガリバー宅・・・
ゴメンなさい」
「華子さん、しょっちゅう電話あるの?」
「毎日!年寄りのストーカー」
ピンポーン
「大学生かな?少し早いな」
「ワシや!」
殿様だった
「ガリちゃん、相変わらず ちんまい家に住んでるのう・・身体は大きくなったけど、家は大きく な、り、ま、せ、ん。」
アンタの家が、大きすぎ。いらんお世話、ほっといてって感じ。
華子さんの前では、子供のようにのぼせあがってしまう殿様に困ってしまうよ本当にもう・・。
「殿様、僭越ながら今日は、大学生のお祝いですき焼きをするので、お願いします」
「ガリちゃんがワシの下請けやったら、大学生は孫請けやろ。わかっとるがな、今日はお祝いやから、飛騨牛を持ってきたで、華ちゃんのために。あっ、しや、しや、華ちゃん、挨拶のハグや」
殿様は無理矢理、華子さんにハグをして、僕の方に振り向き勝ち誇った顔をする。
「ガリちゃん、華ちゃんと手も握ったことないんやろ?ほんま、ダルビッシュの気持ちやで。
ガリは完封負け」
「殿様、ふざけないで!ガリバー君、支度するから手伝って」
とりあえず殿様を上座に座っていただいて、福ちゃんは僕の横、支度の華子さんは流しの近く、大学生はこの辺り。殿様が駄々をこねた。
「あかん、アカンて、ワシ90近くで、ソソがあったら、アカンから、華ちゃんの横。少し狭いがここがベスポジ!しやけど、華ちゃん綺麗やで、新地のママ以上や」
新地に行ったことはないが華子さんのような訳の分からない事を言う人が沢山居ると僕は思った。




