63商店街会長VS殿様
訳もわからないままに商店街の理事会に出席させられてしまった。
席に着くと冷たい視線とザワザワとした擬音が耳に入って来る気がする。理事の1人が会長に質問をした。
「会長!なんでガリバーが理事会に出席しとるんや?コイツは商店街と関わり無いよね。むしろ、市街地改装ビル側やろ!」
ヤバイ!想定通り。高級な魚を扱う魚政の鎌雄から質問が飛んだ。
3つ年下で、僕を1番憎む鎌雄から意見が出たのはまずい。
小学校でコイツに"オカマ"つうアダナを付けたのはこの僕で、男気はあるが"オカマ"で通る。
親父は魚のカマが美味なので、鎌雄と命名したが、誰が聞いてもオカマを連想するだろう。
親父を恨めつうの。
「ガリバー、黙ってないで、なんとか言えガリバー!この独身歯ぎしり野郎。カイショナシ」
僕は殿様から預かった印籠をかざすと秒速で鎌雄は黙り込んだ。
「ガリちゃん、ヤバイ事が起こったらこの印籠をかざしてみぃ。解決間違いなしや。会議が終わったら返してな、大事なモノやから」
なんだ?この印籠。人生で初めて優位に立てた瞬間だった。
そこで会長の挨拶から始まり
「本日の定例会は商店街の活性化を考えて頂きたい。今までは、テナントが空いてもすぐ埋まる商店街でした。私事ですが、持ちビルに食品スーパーが撤退のち、まだ決まらない状況です。本日はオブザーバーとしてガリバー君こと○○○○○君を新理事として迎えました。ヨロシクお願いします」
周りからは帰れコールが聞こえる。
「よそもの!帰れ」
「ガリバー、商売してないよね」
「帰れ」「帰れ」「帰れ」「アホ」「カイショナシ」
恨みはらさで・・・大勢に印籠は効果があるのか?
かざしてみせた。
なんと、岩に染み入る蝉の声てなもんで、ワーワー言ってた連中がピタリと収まった。
なんじゃこの小物は・・・スゴイ!
会長から指名され挨拶を促されたので一言
「ガリバーこと○○○○です。本日はオブザーバーですので意見は言えませんがよろしくおねがいします」
拍手無し。完全アウェイ感。
本日は協議の段階なので、サラッと終わった。その後、会長から呼び止められ
「ガリバー君、君は○○君の弟なんだって、彼は僕の高校のテニス部の一級下で真面目が羽織着てるような感じ、君も彼の弟だから期待してますよ。ところで、彼は元気ですか?」
「東京に居ますね。音信不通です。会長さん、同じ畑に同じ茄子はならないですよ」
何が兄貴が真面目だ。
40年バイトの僕に何を期待するんだ。更に会長は付け加えた。
「殿様から聞いたけど、君は懐刀的存在らしいね。それと、殿様の印籠をチラチラさせんといてくれる?」
「ああ、コレね」
ポケットから取り出しかざしてみると、会長がひざまずき、両手を広げて床に付ける土下座をした。
初めて本格的な土下座を見た。
コレなら飛びかかる事ができない。この印籠は商店街にとって、ライトセーバーより凄い。




