58店頭販売福ちゃんの提案
華子の店の帰り道、殿様は僕に指示をした。
「華子さんの会社の決算書及び確定申告書の報告が欲しい。ひとまずお金を貸す訳だから知る権利がある。例えガリバーの企画が成功しても
経営が上手くいくとは限らない。あの子の考えは如何に高く会社を売却したいはず。子供、孫も会社に入れてないんだろ?あの子も引退の歳に近づいている。歳を取るとやる気も失せる。
後3年が限界やね。その前に高値でM&Aされるように手伝ってあげたい。ガリバー君頼む」
華子の前でのぼせきった言い方はなんなんだ。
僕は尋ねた。
「なぜ真剣に考えるのですか?」
殿様は答えた。
「ワシはあの子のファンや〜
一生涯ファン。ワシ、あの子と手も繋い でないんやで〜ガリバー、あの子に手出しとらんやろな」
「手も繋いだ事ないです」
「よかった。て、ことは君と同じ位置にいるつう事や!ハハハハ、いっしょや、いっしょや」
くだらない。
このギャップの有る話し方を奥様に聞かせてやりたい。
年寄りと付き合ってる暇はない。
福ちゃんと店頭販売のスケジュールをケーブルTVと協議しなければならない。
爺様を送りつけて家に帰り福ちゃんからの案を聞きたかった。
早くしないと僕のお金が減ってしまう。
「福ちゃん、僕のお金が無くなる。なんとかして」
「その言い方引っかかるよな、お願いする言葉遣いか?あ〜ん元い!」
「元い!こんな事ではお金が無くなります。
なんとかしてください」
「しょうがない・・では講じて使わそう」
おまえ、俺の先生か?
「良からぬ事を考えたか?」
「考えました」
「素直でよろしい、お利口、おりこう。では、講じる。まず、めでたいイメージを育てる。餅つきをオープニングで行い、売れない落語家の呼び出し太鼓からの小話を交えて、はっきり言って、モールにないイベント、神社の祭りに近い催しをしないといけない。何%オフとかお金に関わる事は、あいつらに任せたらいい。
ふれあいを施せばいい、祭りの縁日に安売りは無いよね。商店街の理事長とも話し合い商店街の活性化を話し合い、腹話術福ちゃん全員集合。この街腹話術会長に音頭を取ってもらって、福ちゃん全員集合。福ある商店街にするんだ」
僕はバイトの日にこの街腹話術協会会長に挨拶し、福ちゃんを10体ほど商店街に遠征させる事を承諾していただき、ケーブルTVの撮影のスケジュールも済ませたが、華子の会社の補助金申請はしたものの、行政の審査が遅い。これでは殿様に出していただいても地獄の火の粉は自分に降りかかる。
持ち出しが多く、貯金は減るばかり、福ちゃんなんとかしてくれ!
「オジサン、殿様に相談してみれば」
「意地でも相談したくない」
「夏目漱石さんもいうてはります。意地を通せば窮屈だって、わかる?」
「・・・」
「オジサン、オイ!意地張ってる場合じゃないぞ!金や!金減ってくぞ!」
「しょうがない、金持ちに相談に行くか」
殿様は開口一番
「決算書見たんか?」
「いや〜まだ早いかなと思って・・殿様!僕の貯金が30万ほど減ってます」
悲壮感が漂うように表現したけど返事は
「おまえ貯金、なんぼ持っとるの?」
「180万になっちゃいました」
「少な!嘘やろ〜退職金積立あるやろ、ワシ、アドバイスしたやろ ローン返済で10年前に切り崩しても、今も積み立てとるやろ」
「アッ!忘れてました」
「何〜忘れてた?困るより、ダイマルやね・・・まぁ、お金に無頓着がおまえの利点でもあるが、それで1000万は持っとるね。マンション購入した時より高く売れるで、なんやったらワシが安く買うたろか?見積ってもガリバーは片手持っとるようなもんや。
華子さん旦那が亡くなって二軒の店舗を売却しても商売は借金が付きものや、銀行が黙っとらんやろねー。そしてこのコロナ禍や、あのクラスの店舗なら半年で500万は赤字やろ。
ガリバー君、東大の赤門って知っとるか?
そうや、君の故郷加賀藩前田家に許される色の赤門や。ほな、黄色い門は?えっ?知らんの?
水戸光圀の黄門様や。助さんや格さんや、まだまだですぞ。ワシの出番は今じゃないと言うこっちゃ。早よ、決算報告書持ってこい!ガリバー君、僕の華子さんを助けたってぇなぁ〜」
「そんな〜」




