55華子のお願いⅡ
夕方までになんとかキッチンを片付けないと大変なことがおこる。
玉子は冷蔵庫。玉ねぎは駐車場の風当たりの良い場所に吊るす。野菜は冷蔵庫の空っぽの野菜室。ハム・・・買い物は片付いたのち・・オニオンスープは洗ったタッパに入れて冷凍室。
使った食器は何年も残ってる食器洗いでたわしで洗って乾かしてそこそこ終了。
福ちゃんに確認後『合格』
何かとめんどくさい。『夕方に帰るから』だから、3人分の食事を用意しなければ何かと面倒な事が起こる。
例えば『どうゆう事!夕方に帰るのに晩御飯の用意が出来てないの』
例えその2
『あなご飯を買ってきたから3人で食べよ』
どちらか有り得る。
福ちゃんに相談すると
『予想は2通りか・・コンビニで冷凍鍋焼きうどんを買えばいい』
『ナイス』
作戦完了のちインターホンが鳴った。2回鳴った。モニターに華子のドアップの顔。
「早く開けなさい」
玄関を開けると僕を押しよけトイレに直行、のち一言。
「トイレはまずまず片付いてますね。
お酒飲んであのカドを曲がるとい
きなりしたくなった」
そこで福ちゃんは
「オジサンが股間に地図を描く場
所ね」
華子さんに福ちゃんの囁きは聞こえないけど頭を1発叩いたら。
「オジサン、俺の超能力見せたろか」
華子が一言
「カドで漏らしてるんだ」
福ちゃんユリゲラーか?
トイレに直行前、下駄箱に置いた土産をいただいた。
それは神戸で有名な小籠包とおかずパン。パンはこんがりフランスパンの中にチーズが入っている。神戸っ子は小籠包をウスターソースに付けて食す。
後は朝のオニオンスープで神戸って感じ。
華子さんナイス!福ちゃん喜んでるよ。
食事が終わり華子はマイ茶っ葉からお茶を出し、話を切り出した。
「朝の思いつきなんだけど、
店頭で男が料理をつくる
題して"男が作ってなぜ悪
い!男の料理"どう思う?」
「誰がつくるの?」
「あんたよ!最近業績悪く
って、力貸して」
「ガリバー!男の子でしょ」
確かに生鮮スーパーは超大手が近所に出店すればひとたまりもなく潰される。
華子のスーパーも旦那が社長をしていた頃3店舗あったが、今は駅近の商店街に店舗が残るだけ、従業員の生活を考えると、たまらんだろう。
大手にM&Aしても、従業員は助かるかも…しかし、華子、経営者側には今の経営状況では1円も残らない訳で、何か策がないといけないのだろう。
先代が八百屋からここまでに大きくしたのだけれど華子の生鮮スーパーも大店法の被害者かも。
「ガリバー、お願い。
あんた暇でしょ」
いつものように訳の分からない勝手な言い方にムカついたが、いらん世話にもなっている。
めんどくさいけど華子さんだけが僕の事を気にかけてくれてるような・・・ひと肌脱ぐ気にもなる。
「やりましょうか」
「ガリバー、そうこなくっちゃ」
「その代わり条件がある
福ちゃんも店頭に出して」
「そのガラクタ人形もいい
わよ」
福ちゃんの目からメラメラと闘志が込み上がる様子が感じられた。
「ガラクタと言ったな
繁盛店にしてやる
覚えておくがいい
土産に免じて許す
けど」
こいつ、土産に弱いんだ。
華子は神戸でお酒を飲んだらしく2tトラックで家まで送りつけて欲しいとの事で、福ちゃんを留守番させトラックに乗った。
華子は一言、僕に尋ねた。
「ガリバー、私のことどう思う」
その返事どうすればいいの?華子さんは好みのタイプだけど声も大原麗子に似てキュンと来るが、初めての出会いがラブホの鉢合わせで、今まで異性を感じなかったし、僕からのアクションは一度もない。
しかしここは、思わせぶった態度をとろう。
「今日は酔ってるから返事は
またにする」
やった〜言うてもうた。初めてこんなセリフ言うてもうた〜
華子は答えた
「まってるわ」
華子の心の中は僕をコントロールするかを思ってるだけ。
全く65才の男と66才の女の会話ではない。




