3靴を買いに行く
夜が明け朝が来た。
だれしも訪れるのであるが、いかんせん、ここ8年は変化なく朝起きて歯を磨き、タバコの一服からスマホニュースを一通り目を通して、バイトに出かけるか行きつけの喫茶店でスポーツ紙を読む。
バイザのウェイ、隣に腹話術人形が横でヨギボーをベッド代わりにしてよこになってる。
子供の頃野良犬の子供を拾って朝になって母にもとの場所に返すよう叱られたり・・
今になると後悔するよな・・深い不安がよぎる。ポジティブに考えるべきかネガティブに考えるべきか。要するに自分の生活環境は変わってしまう腹話術人形といっても所詮人形。
又、子供の頃の思い出が脳裏をかすめる。
両隣りに同じ年の女の子が住んでいて人形で遊んでいたので仏壇から仏様を拝借して一緒に遊んでるところを隣のお婆ちゃんに見つかって
母親から大目玉を喰らった・・それから人形と仏様の縁はないはず。
ここは僕も博徒の端くれトランプの奇数が出たら腹話術人形を元の場所に戻すことに決めようとしたら耳元で
「卑怯者!偶数の方が確率が低いゾ!」
確かに、低いなと思った瞬間背筋が寒くなった。
なんで腹話術人形の声が聞こえるんだ?
昨日は酔って夢うつつであったが、今日はシラフで聞こえる僕のイデアが聞こえた様に感じるのか?
「オジサンしか聞こえないから大丈夫。ぞんざいに扱ったらタダじゃ済まねえぞ」
怖い怖い怖い!コイツ、チャイルドプレイのチャッキーか?これからホラーと生活するのか?
「だから、オジサン、お利口にするからこの家に置いて欲しいよー」
はい、そうですかとは言えない雰囲気に腹話術人形は答えた。
「オジサンも人生色々あったけどマシ、僕なんかよりマシな方さ・・・いじけた考えも持ちたかったけど、それさえできなかったんだ・・オジサンと生活したいですwwこれからの娑婆の生活を見てみたいから、迷惑かけないから、ねえねぇ置いて」
話を聞いていったいコイツ何者なんだって、いじけることさえできなかったって・・考えていても無駄な気がする。この人形は一生まとわりついてくる気さえする。腹をくくってコイツを怒らせない様にしなければと僕は思った。
マジマジ見ると靴下を履いていないし靴もない服と靴下と靴を買いに行こう。