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25散歩してやるせなくなる

 秋になり暑さも抑えられ夕方の散歩と地形偵察が楽しみになり、リックを背負って河原を散歩に出かける。

 土手からは市内が一望でき山も視界に入り新しい建物の出来上がりも確認できる。


 新しい建物が出来たら近所まで地形偵察気分でスマホで写真をカシャっと拝借。


 それを行きつけの喫茶店で秘密工作員の私は顧客に報告し、たまにネタが良ければ先輩からコーヒーをご馳走になる。


 川の側の遊歩道から植物、魚の観察をし福ちゃんに質問され


「オジサン、物知り博士」


 などとおだてられ、知らないものは2人で昔の図鑑で調べたりするのが日課になった。


 河原の植物に関しては小学2年の時、市の展覧会に提出して表彰され話題になったが、100種類の夏草を押し花にして提出したが殆ど兄とお袋が手伝ったと云うか完璧な押し花図鑑。


 夏休み遊んでばかりで宿題が間に合わず、31日に宿題を放棄して就寝のち目覚めたら魔法がかかって出来上がっていた。

 

 押し花を押さえるセロテープは細くカミソリで切り取られ10歳年上の兄が植物の名前を英語で表記。

 

 コレは小学生が制作した夏休みの宿題で無くなってしまった。

 先生は見せしめの如く市の展覧会に提出し、それからは友達が植物の名前を聞くので、先回りをして観察し、名前を覚えた苦い経験がある。


 今になって福ちゃんから尊敬されるのは嬉しい。


 ある場所に差し掛かると福ちゃんは硬く目を閉じて震えだす。どうかしたのかと尋ねると、弱いかすれた声で


「なんでもない」


と、答える。しつこく尋ねると


「ここから眺めるところが嫌いだ」


と、つぶやいた。


この辺りは半年前に新聞、マスコミを騒がせた賃貸マンションがある。


 もしかしてこの子は健太?いや、どうでもいい。

 

 僕と福ちゃんは今が幸せならそれでいいんだ、





 それでいい。

 




何度も心の中でつぶやいた。

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