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23スイカの種

 盆中コロナ禍で帰省したいが帰って来るなと言われる始末。


 僕は金沢から一山超えた富山県城端と云う街出身で本籍もその場のままで戸籍謄本を貰うのも城端まで出向き、めんどくさい。


 田舎の人はもしコロナでも持って帰れば噂の広がりはコロナより早く伝達され親戚に迷惑がかかる。


 お袋は15年前に夏が過ごしやすく静養の為叔母の築35年70坪の家を500万で購入し700万掛けて改装した。


 田舎の家は土地は安いが祭りごとが多く町内会費は都会の10倍以上庭の管理を造園業者に任せ豪雪なので、雪吊り、剪定、雑草処分など立派な家屋は維持費がべらぼうに高い。


 年3回は掃除に帰ってたのですが2年の月日が経ち親戚に内緒で4時間車を走らせ到着のち風通し 締め切った家屋の独特な匂いがするので窓は全開 蜘蛛の糸が目立つのでハタキなどで処理 窓をクリーニング 床に掃除機を当てて埃を吸い込む 雑巾掛け 

 

 これだけでも4時間は経ってしまう。


 その後は庭の雑草の処分業者を入れてるにも関わらず雑草は勢力旺盛2年放置した結果全部合わせると30坪ほどの庭は苔と雑草の勢力図が変わるほど無残なもので崖の下の庭、裏の庭は放置で縁側の松、ツツジが植る石で付き山のある庭を集中して片付けたが4時間はかかったがこの庭で福ちゃんとスイカを食べて種を飛ばしたかった。すでにスイカは冷蔵庫で冷やされてる。


 その前に風呂に入る。サッパリした体で農協の経営するスイカを4分の1ほど購入し包丁を入れ福ちゃんと縁側で食べる。福ちゃんは香りを嗅いで


「夏だねーオジサン、お庭に種を飛ばしていい?」


「いいですよ」


「オジサン、カメラ、カメラ、スマホで撮って」


 スイカを持つ姿の写真を数枚撮って、喉の渇きを潤すスイカを平らげて庭に種を撒き散らした。


「オジサン、スイカの種はどうなるの?」


「芽が出て来年は庭のあちこちで大きなスイカが収穫。できるかな」


「オジサン、この辺りは僕が蒔いた場所だから踏まないでね」


「はい、はい」と、いい加減な返事をした。


 時間は夕方近くなりヒグラシが鳴いた。


「何、この鳴き声なんなん?」


「ヒグラシ」


「何?鳥?」


 ・・・ヒグラシを知らないんだ・・なるほど大阪ではヒグラシの鳴き声は聞かない。殆どが温暖化でクマゼミかな


「福ちゃん、正解はセミだよ。夏の夕方前に鳴くからその名前なんだよ」


「セミ!どんな形のセミ?死骸を見たい」




 その日一泊して親戚に内緒で帰宅した。

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