2一晩泊めてあげる
ひとまずこの子の寝床を確保しないといけない。
僕は8年前お袋が他界してこの家は一人暮らし。
増築だらけ65年築40坪の敷地に二階建ての家は一人暮らしの僕にとって生活圏はトイレ、風呂、洗面と洗濯機あたりなのでトイレに近い10平米の部屋を棲家にしてる。さしずめワンルーム住まいのようなもの。
玄関脇の10平米の部屋は親父が応接間として使用。13年ほど前にお袋さんが畳ベッドを置いて寝室にし、他界後僕が転がり込んでベッドの横に喫茶店仲間の歯医者から頂いた、滅多に使用しない高級サイクルトレーニングマシン、お袋が残した壁掛けデジタル液晶テレビ、エアコントレーニングマシンが邪魔するのか、かなり狭い。
シングルベッドで人形と寝るのは窮屈だし、他の部屋で寝てもらうのは寂しい気もする。体長90センチの人形の寝床・・・
僕の頭の中はこの人形を元に戻すべきか悩みがシーソーの様に交差する混沌モード。
すると
「ヨギボーがあるよね」
???、、、何処から聞こえたかって??、
一人暮らしの僕のほかにコイツしかいない。まさかと思いつつ昔、2階の兄の部屋だったガラクタ置き場にヨギボーを取りに踊り場の照明を点け階段を上がる。
階段を上がり踊り場から南に上がると兄の部屋と客間、西に上がると超ガラクタ部屋の僕の部屋。
ヨギボーは小粒の発泡スチロールが詰まった座椅子。アメリカ製で喫茶店仲間がコマーシャルを見て衝動買いをしたまでは良かったがあまりのデカさに彼の狭小住宅にミスマッチ。5個買った内の2個処分。そのうちの1つを頂いた。
までは良いが僕も椅子がわりはベッド、食卓の椅子は外食専門でもってお袋さん他界後未使用。
ひとまずヨギボーを下ろし、ベッドの横に置いてみた。サイズはギリギリ、トレーニングマシンとも接触もせず一通りの腹話術人形のベッドは確保でき、膝掛け毛布を布団がわり寝かしてみたが目は空いたまま
寝かしてみたい。人形の仕組みを探ると首の延長にレバーが2つ上は目の開閉、下は口の開閉。しばらく上のレバーを下げては上げ、下のレバーを下げて口が空いて喋る様子を楽しむ。
これを腹話術師はあたかも生きてる様に表現するのか・・・・なるヘソ!
僕は腹話術師ではないので上手くは表現できないけど、セロハンテープで上のレバーを固定すれば目が閉じるはず。
手紙も書いたことがない僕は家の中を探検する様にお袋の文房具置き場は確か電話台の引き出しの中。電話の横は手作りのペン立て引き出しの中は古びた電話帳、麻紐やら死にかけの経年劣化のガムテープ、画鋲、カッターナイフ。
骨董文具のオンパレードですww〜
片隅に直径3センチ余りのセロハンテープ発見!なかなかテープの端が見つからない・・爪で擦りようやく10センチ程のテープをカットし、腹話術人形の目を閉じることに成功!
スヤスヤと寝る様が表現ができましたワ。
ちょっと寂しいので人形ケースから緑色のテディベアーを横に置いて子供の雰囲気の景色が表現できたような。
「おやすみ」って言ったのは何年ぶりだろうか。