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1腹話術人形との出会い

  11月の夜は肌寒く駅から徒歩8分の家までもかなりトイレを我慢。

 てか、なるべく水難のことは想像せず.本日の小学校の65歳になった同窓会の友達の顔を思い浮かべたり、あの頃若かった担任は80前だが髪は紫、ジャケットも紫。

 

 なんだかなぁ〜なんて思い出し笑いをしながら用水路脇のゴミ捨て場を通り過ぎると呼ぶ声がする。


「おじさん、おじさん」


「ン?」


「本日は粗大ゴミの日だったかな・・金曜だけど朝に処分されるはず・・なんだ?この人形?」


 仏壇は委託業者から丁寧に処分不可の貼り紙をされ放置される。この人形には貼り紙はない。


 酔ってる、幻覚、錯覚。、歳なのか。色々な想像が頭の中でハテナマークが増殖。


「アッ!知ってるww〜こいつこないだお笑い番組にコントなんかで道具に使われてた腹話術人形だな・・壊れて放されたのか、回収業者が人形なので処理場に持っていかなかったのか・・」


酔いも手伝って


「おまえ、ヘソねぇじゃネェか?」


 なんて、子供頃流行ったコルゲンコーワの穂積ぺぺのいたずらなコマーシャルを真似。のち尿意をもよおし用水路に放水するや否やどこからか


「こら!」


 チャックを素早く上げ股間に水気を感じその場を立ち去り2つほど角を曲がると


「こら!ちょと待てよ・・この、股間地図野郎」


 腹話術人形が道端に転がってる


「なんだコイツ。幻覚だ!間違いない」


 ダッシュで帰宅。玄関を開けるにも鍵が無い。


「オジサン、これ落としてたよ」


「腹話術人形が鍵を持って差し出した〜」


 慌てふためいて股間の地図は拡大する。

しばらく深呼吸をして腹話術人形から鍵を奪い玄関を開ける。靴を脱ぎ捨てトイレに駆け込み便座に腰掛け滴すら落ちず幻覚の確認で股間を覗くとジワーとしっかり湿ってる。頬を叩くと痛い。


 着替えて洗濯機にオーストラリア大陸柄の下着を放り込み、開けっぱなしの玄関に気付き・・もう一つ気付いてしまった。


「あいつ、表に居るのか」


 そっと空いた玄関から表を覗いたら


「いた」


 そのまま数分凝視した。

動かない。よく見るとかわいいかな


「夜も遅いし預かりましょうか」


 人形を眺めながら観念し、口から言葉を漏らしてしまった。

 腹話術人形の口元がパックリ空いたように見えた。

腹話術人形が勝手に動くはずはない。

 

 この人形は腹話術師が人形の後ろに手を回し、取手で目を開けたり閉じたり口を動かしたり首を伸ばしたり、回したり、体を前屈みにするなどし、あたかも生きてるかのように表現するのは腹話術師のテクニックからくるもののはすだよね。


「アララララ、ヤバイ!気持ちが緩んでしまった」


 と、腹話術人形は焦った。


「お愛想しなくっちゃ家に入れて欲しいです」


 って聞こえたような???空耳か?


「裸足なのか・・寒いだろ・・おうちに入ろう」


 人形に話しかけると


「おじさん あ、り、が、と」


 


 確かに聞こえた。



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